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これまでの放送 2015年6月27日(土)の放送

音楽に自由を ~ベートーベンの名曲集~ 何ものにも支配されない自由で自立したひとりの音楽家を目指した 「楽聖」ベートーベン。彼は、音楽の様々な様式に革命をもたらした。
彼の熱い志はどんな名曲を生み出したのか…
音楽に自由を
~ベートーベンの名曲集~
何ものにも支配されない自由で自立したひとりの音楽家を目指した「楽聖」ベートーベン。彼は、音楽の様々な様式に革命をもたらした。
彼の熱い志はどんな名曲を生み出したのか…

“音楽革命”① 
交響曲で新時代を開け

ベートーベンよりも前の時代の音楽家たちは、王侯貴族に仕え、彼らを楽しませることを目的に作品を生み出す、いわゆる“雇われ音楽家”でした。ベートーベンもまた、ドイツの宮廷に仕え、楽器を演奏し、作品を献呈していました。そんな時代にフランスでは市民革命が起こり、王侯貴族が支配する社会が大きく変わろうとしていました。「音楽にも新しい時代が来る…」ベートーベンは、何ものにも支配されない自分だけの音楽を表現し始めます。そんな中、民衆の自由を求めて闘うナポレオン(1769-1821)が登場。彼の姿に共感し創作意欲をかき立てられたベートーベンは、ナポレオンに自らを重ね、自分の中に沸き起こる感情や精神、思想などを、より強く自由に表現していきました。こうして書き上げたのが、交響曲第3番「英雄」だったのです。音楽家が何ものにも束縛されずに、自らのために音楽を書く。「英雄」は、そんな新しい時代の交響曲の先駆けとなったのです。
自由で斬新な交響曲 (楽曲解説コーナー)
交響曲第3番「英雄」には、それまでの交響曲にはなかった自由で斬新な作曲手法が盛り込まれています。
具体的には…
【印象的出だし】冒頭から演奏者全員が「ジャン」、「ジャン」と2回、大きな和音を奏でます。
当時、こうした手法は曲の終わりの部分で使われ、冒頭で使われることはありませんでした。
【リズム】3拍子の中に2拍子が感じられるリズム手法「ヘミオラ」を演奏者全員で奏でる部分が随所に出てきます。

“音楽革命”② 
バイオリンに光を

ベートーベンは、バイオリン・ソナタのジャンルにも大きな功績を残しました。彼をより深いバイオリンの世界に導いたのは、当時の著名なバイオリニスト、シュパンツィヒ(1776-1830)。シュパンツィヒの指導を受け、ベートーベンは、バイオリンという楽器が持つ可能性に開眼。バイオリン・ソナタの作曲に取り組み始めます。しかし、当時のバイオリン・ソナタは、モーツァルトなどが書き残した、ピアノの華やかな音色や技巧を際立たせた作品が多く、バイオリンは陰に隠れるような存在でした。「バイオリンにはもっと可能な表現がある…ピアノと対等に張り合うべきだ…」ベートーベンは遂に、この楽器の役割を飛躍的に高める作品を書き上げます。それが、バイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」。当時の名バイオリニスト、クロイツェル(1766-1831)に献呈され、この名が付けられました。曲はバイオリンの独奏で始まり、楽器の存在を印象づけ、ピアノをしのぐほどのダイナミックなパッセージや、ピアノとバイオリンが火花を散らすかのような掛け合が展開します。ベートーベンは、バイオリンが華やかに活躍する新しいバイオリン・ソナタのスタイルを作り上げたのです。

ゲスト

僕のところに眠っているベートーベンで 自分の映像や感情をつくりあげていく宿題をもらった気がする…

僕のところに眠っているベートーベンで 自分の映像や感情をつくりあげていく宿題をもらった気がする…

奥田瑛二(俳優・映画監督) 奥田瑛二(俳優・映画監督)

奥田瑛二(俳優・映画監督)

profile

映画やドラマに数多く出演
2001年から映画監督としても活躍

映画やドラマに数多く出演
2001年から映画監督としても活躍

楽曲情報

交響曲第3番「英雄」から第1楽章
バイオリン・ソナタ第9番
「クロイツェル」から第1楽章
ベートーベン
①マリス・ヤンソンス(指揮)
バイエルン放送交響楽団(管弦楽)
②神尾真由子(バイオリン)
ミロスラフ・クルティシェフ(ピアノ)

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