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これまでの放送 2014年6月14日(土)の放送

いとしさと切なさと・・・ いよいよFIFA ワールドカップがブラジルで開幕!
そこで、音楽でもブラジルに注目♪
サンバとボサノバだけじゃない!
ブラジルのクラシック音楽の魅力に迫ります!
南米に咲いたクラシック
いよいよFIFA ワールドカップがブラジルで開幕! そこで、音楽でもブラジルに注目♪
サンバとボサノバだけじゃない!ブラジルのクラシック音楽の魅力に迫ります!

リベルタンゴ
リベルタンゴ

「ブラジル」+「クラシック」=?

ブラジルの音楽といえば「サンバ」や「ボサノバ」というイメージが強いかもしれませんが、これらの音楽よりも長い歴史を持っているのがヨーロッパのいわゆる「クラシック音楽」です。今からおよそ500年前、ポルトガル人がブラジルを植民地にした時に彼らはキリスト教とともに西洋音楽を持ち込みました。19世紀にはブラジル国内にオペラハウスまで建てられ、ヨーロッパで人気の演目がそのまま上演されました。そして当時は、ブラジル人の作曲家が書く作品も西洋音楽を模倣したものが主流でした。数百年にわたり、クラシック音楽はブラジルの音楽の中で大きな位置を占めていたのです。しかし19世紀末、ポルトガルの勢力が弱まった頃からブラジルの音楽も変わっていきます。この頃、ブラジルには外国からの移民が次々とやってきて、多くの民族によってさまざまな文化が混ざり合うようになりました。そうした中、人々の間に芽生え始めたのが「ブラジルらしさとは何か」という意識です。ブラジルの個性を見いだそうとする動きが起こったこんな時期に生まれたのが、「ブラジル風バッハ」でした。

ブラジル音楽を創った男

南米を代表する作曲家のエイトル・ヴィラ・ローボス(1887-1959)は、19世紀末にブラジルのリオデジャネイロに生まれました。小さい頃からクラシック音楽に親しんで育ったヴィラ・ローボスが特に強い関心を寄せたのが、バッハの音楽とブラジルのポピュラー音楽「ショーロ」。こうした音楽と触れ合ううち、ブラジルの響きやリズムがヴィラ・ローボスの心に染み込んでいったのです。彼はやがて、ブラジル中を歩き回り、各地に伝わる民謡やわらべ歌を採集していきました。そして30代半ば、自分の音楽を試そうとヴィラ・ローボスはパリへ渡ります。ヴィラ・ローボスはこのパリで、世界中からやってきた才能溢れる音楽家たちと交流を深めるうち、自分の中の「ブラジル人としての個性」を大切なものと感じるようになりました。「ブラジルの大地こそが私の音楽の教科書」と語った彼が、祖国ブラジルに帰国したのち書き始めたのが「ブラジル風バッハ」です。小さい頃から慣れ親しんだ「バッハ」の作曲様式と「ブラジル」の響きを融合させた9曲のこの連作はヴィラ・ローボスの代表作となりました。

「バッハ」と「ブラジル」

西洋のクラシック音楽の様式の中に、ブラジルの個性を融合させていったヴィラ・ローボスは「ブラジル風バッハ 第5番」でも「バッハらしさ」と「ブラジルらしさ」を溶け合わせました。まず「バッハらしさ」が表れているのが「繰り返しの音型」。バッハの作品にも多く見られるこの「繰り返し」が「ブラジル風バッハ」にも登場します。一方、「ブラジルらしさ」は「裏拍のリズム」に表れています。この第5番アリアでは、ソプラノがなめらかに旋律を歌っている中、チェロがピチカートで裏拍を刻んでいきます。この拍動感がブラジルらしさを感じさせる理由になっているのです。そしてもうひとつ、歌詞に出てくる「saudade(サウダージ)」という言葉にもブラジルらしい情感があふれているといえるでしょう。「恋しい 切ない 会いたい」…とさまざまなニュアンスの込められたこの言葉にブラジルの雰囲気を感じてみてください。

ゲスト

聴いていると子どもの頃に見たドラマの情景が浮かんできました。ブラジルの曲なので今度挑戦してみようと思います!

聴いていると子どもの頃に見たドラマの情景が浮かんできました。ブラジルの曲なので今度挑戦してみようと思います!

マルシア(歌手) マルシア(歌手)

マルシア(歌手)

さみしい時はブラジルの音楽を聴くと慰められる

さみしい時はブラジルの音楽を聴くと
慰められる

profile

日系3世。17歳までブラジルのサンパウロで暮らす。
1986年に初来日し「ふりむけばヨコハマ」で歌手デビュー。

楽曲情報

ブラジル風バッハ
ヴィラ・ローボス
天羽明惠(ソプラノ)
東京フィルハーモニー交響楽団(チェロ)

profile

天羽明惠(ソプラノ)

たしかな技術と表現力が内外で高い評価を得ており
主要なオーケストラの公演にもソリストとして出演

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