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次回の放送 2014年1月25日(土)の放送

よみがえったスワン ベートーベンの交響曲 第9番に続く“第10番"ともいわれる名曲だが、
何と着想から完成までに20年以上を要した労作でもある。
作曲者ブラームスは、この曲にどんな思いを込めたのか。
男の花道
ベートーベンの交響曲 第9番に続く“第10番"ともいわれる名曲だが、何と着想から完成までに20年以上を要した労作でもある。作曲者ブラームスは、この曲にどんな思いを込めたのか。

交響曲 第1番
交響曲 第1番

巨匠を超えろ!

10歳のころから作曲をしていたブラームス。20歳を過ぎた彼の次の課題は交響曲の作曲でした。ブラームスは、ベートーベンが得意としていた、音だけで完結する音楽を 目指し、おびただしい数のベートーベンの楽譜を集め、それらを書き写し、彼の作曲手法を自分のものにしようとしました。しかし、「このまま交響曲を書けば、ベートーベンのまねになってしまうのではないか…」と悩み続けます。書きかけた楽譜を破棄したり、書けても断片だけにとどまったり、交響曲が完成に至らないまま何年もが過ぎ去りました。そんなブラームスも、様々な曲を発表していく中で、オーケストラの扱い方に自信が持てるようになり、少しづつ交響曲を書き進めていきました。そして43歳のとき遂に、「誰のまねでもない自分の音楽だ」と胸を張って言える初めての交響曲が完成したのです。

恋心よ響け!

ブラームスが20歳のとき、作曲家シューマンの妻、クララに出会いました。彼女も作曲家でピアニスト、そして、ブラームスより14歳年上でした。ブラームスは、シューマン夫妻にその才能を認められ、かわいがられていましたが、次第にクララに対して恋心を抱くようになりました。シューマンが亡くなった後も交流は続きましたが、ブラームスの恋心はクララには受け入れられませんでした。それでも、彼の思いは消えませんでした。ブラームスはある時、旅先からクララの誕生日を祝う手紙を送りました。そこには、短いメロディーが添えられていました。これによく似たメロディーが、交響曲 第1番の第4楽章で聴こえてきます。ブラームスとクララは、音楽仲間として生涯、強い絆でつながれていたといわれています。交響曲 第1番には、愛する女性への思いが込められていたのです。

大先輩に敬礼!

交響曲 第1番には、ブラームスがベートーベンを尊敬していたと考えられる点がいくつも見られます。

①使われている楽器
ベートーベンの交響曲 第5番で使われているものとほとんど一緒です。同時期に活躍していたベルリオーズの「幻想交響曲」では、多様な管楽器や打楽器などが用いられていますが、そんな時代においてもブラームスは敢えて、ベートーベンの交響曲 第5番とほとんど同じ(いわば地味な)ものにしています。
②作曲の手法
ベートーベンは、交響曲 第5番で、「ジャジャジャジャーン」という音のかたまりを至るところで展開させて曲を組み立てていますが、ブラームスもこの手法を取り入れ、「ドーシドラーソ」という音のかたまりを展開させて曲を組み立てています。

ゲスト

田山涼成
(俳優)

田山涼成(俳優) 田山涼成(俳優)

楽曲情報

交響曲 第1番
ブラームス
小松長生(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
バイオリン 弓

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