2020年06月19日 (金)

プロの矜持 【堀井洋一】

このブログをアップする日(6/19)、プロ野球が開幕します。

ところで“プロ”って、その神髄は一体何なのでしょうか?

今回、改めて考えさせられる取材がありました。

今回取材した方は、宇治市の桂伸也さんです。

KATURA.jpg

 傍らにある機材で何のプロかは察しがつきますよね。

そう、プロのカメラマン。

特に専門としているのが競馬の写真(以下、撮影・桂さん)。

uma1.jpg

uma2.jpg

18日放送の「京いちにち」でこの話題を取り上げたのですが

局内でも、放送前の編集やらリハーサルでこの方の写真が出る度に、

「うぉーっ」「すごい!」「かっこいいー」と感嘆の声とともに

刮目(かつもく)する人が数多くいました。

そんな方が、この度、こういう写真に挑戦されました!

kodomo1.jpg

 kodomo2.jpg

写っているのは近所の子どもたち。

じつはこれ、新型コロナで自粛生活を強いられていた子どもたちに

メッセージボードで思いを表現してもらおうという、

桂さんの、およそ1ヶ月にわたる新たな活動の結晶なのです。

今まで馬と騎手に向けていた愛機の望遠レンズを使った試み。

bouen.jpg

(レンズと本体あわせて5キロ!所々に見える凹みや傷がこれまでの歴戦を語る)

 

10数m、時には40mにもなる遠距離からカメラを構えれば、

このご時世気になるソーシャルディスタンスも難なくクリア、

日頃、培ったプロの技を遺憾なく発揮しています。

個人的に気に入ったのはこの写真

kodomo3.jpg

一連の写真の中では、めずらしく動きを感じさせる一枚。

ちょっとやんちゃな感じが、とっても可愛いじゃないですか!

カメラに詳しい方はご存じでしょうが、望遠レンズってブレやすいんですよね。

特に、桂さんクラスの望遠だと、普通は三脚で固定して使いますが、

競馬の撮影って、取材エリアは三脚禁止とのことで、

手持ちで5キロの重い機材を長時間ふり回して、疾走する馬を撮影する桂さんにとって、

この子の動きに対応してシャッターを押すなんてさぞかし朝飯前なんでしょう。

え?俺だって機材があればこのくらいのものは撮れるって?

多分、ムリムリ!

私、大学時代に撮り鉄をやって、この人ほどの長い焦点距離ではないものの、

望遠レンズも使っていた経験があるだけに、取材してすぐ、

「こりゃ、(私のような素人とは次元が)違うわ」と思わずつぶやきましたから。

 

そんな高度な技よりも、桂さんのプロの神髄に触れた時間がありました。

今回の活動を通して何か変わった部分ってありますかと聞いたときのこと。

「今までは、撮る相手ではなく、

依頼してくるクライアントに喜んでもらえる写真を撮ってきた。

今回初めて、

撮った人に喜んでもらえる写真というものに向き合った」とおっしゃったのです。

“被写体ではなく、クライアントに喜んでもらえる写真を撮る”

この姿勢、人によって、受け止め方は千差万別かと思います。

でも、私は、この人がこれで飯を食ってきた、25年間生きてきた

“プロの矜持”をここに見出したのです。

そして、だからこそ、コロナ禍の子どもたちを撮る今回の活動が、

この人にとって大きな意味を持つことを感じたのです。

これまで築いてきたプロの矜持を脱ぎ捨てた先に見える

新たな矜持は果たしてどんなものなのか?

桂さんにとっては、今は、新型コロナの影響で激減した仕事が

いつ元のように戻ってくるのかが差し当たっての関心事なので

こんな内省的なことを思索する余裕はないかもしれませんが、

新たな矜持の下でどんな写真を私たちに見せてくれるのか、

これからの一枚がとても気になる取材でした。


1

ページトップへ