2018年05月31日 (木)

京の防災2018 第2回「災害時 障害者を支える」

災害が起きた時、被災者の緊急の駆け込み先となるのが避難所です。

しかし、その避難所で、障害のある人が必要な支援を十分に受けられない

ケースも少なくないと言われています。

災害時、障害のある人が直面する課題や改善に向けた取り組みを

取材しました。

発達障害 避難所に入れない

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九州中部にある熊本市。

おととし4月、激しい揺れが相次ぎ、大きな被害が出ました。

前田慶子さんは、地震の直後、市内の高校に家族で避難しました。

しかし、避難所となっていた体育館に入ることはできませんでした。

2人の息子の発達障害が原因でした。

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当時高校生だった長男は、特に「におい」に敏感で、大勢の人が集まる

体育館に耐えることができませんでした。

人と接するのが苦手な中学生の次男は、車から降りようとしませんでした。

結局、駐車場に止めた車などで寝泊まりする生活が数日間続きました。

 

発達障害 熊本地震でも多くの親子が

前田さんは、発達障害の子どもをもつ親の会の代表も務めています。

前田さんによると、地震が起きた時、発達障害の子どもをもつ多くの

親が、子どもへの影響や周囲への迷惑を心配して避難所には行かず、

車の中や自宅で過ごしたということです。

前田さんは、「発達障害は見た目だけでわからないことも多く、

障害のために避難所で列に並ぶことができなかったり、出された食事を

食べることができなかったりすると、わがままだと見られてしまうことも

あります。避難所に行くこと自体が親にも子にも負荷がかかり、ハードルが

高いです。災害が起きた時に安心して行けるところがわかっていれば、

一番理想的です」と話していました。

 

安心して避難できる避難所増やそう

発達障害の人をどう支えていくのか。

そのヒントになりそうな取り組みがあります。

今年4月、さまざまな宗教関係者でつくるグループ

「世界宗教者平和会議 日本委員会」が一つの支援策を発表しました。

発達障害の人を避難所で受け入れる際の手引きです。

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大きな災害など万一の時には避難所にもなる寺や教会。

東日本大震災などで、支援にあたった宗教関係者らが、実際に

被災者の声を聞き手引きを作ったのです。

 

手引きの中身は

手引きには、避難所で発達障害の人を受け入れる際に必要な配慮や

支援が具体的に書かれています。

例えば、周囲の音や気配に敏感な人たちのためにパーテーションなどで

仕切り、専用のスペ-スをつくること。

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列に並ぶのが苦手な人のために、支援物資を個別に配ることなどです。

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手引きを作成したグループの担当者は、「手引きをきっかけに、

少しづつ、発達障害の人たちに気を配る意識が広がっていけばと

思います」と話していました。

 

さまざまな障害 それぞれの支援を

災害時に障害がある人を支えようという取り組みは他にも広がっています。

向日市が作成したのは、障害者向けの「防災手帳」です。

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手帳では、視覚障害や聴覚障害などさまざまな障害の特性を紹介。

合わせて、それぞれの障害に応じて必要な配慮や支援が具体的に

記されています。

 

聴覚障害者 どのような不安を?

この手帳をいつも持ち歩いているという女性に話をうかがいました。

向日市に住む南やす子さんです。

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南さんは、生まれながらにして耳が聞こえません。

このため、万が一の時に、声を出して助けを呼べないことや、

必要な情報が入ってこないことを心配しています。

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手帳には、聴覚に障害のある人は避難所での放送が聞こえないため、

随時情報を伝えることが必要なこと。話しかける時には肩に触れて

合図することなど、支援のポイントが書かれています。

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自由記述欄もあります。

南さんはそこに「話しかける時はマスクをはずしてほしい」と

書き込みました。マスクがあると、相手の口の動きがわからない

ためです。南さんは「いざという時にこの手帳を示して助けを

求められるので大切にしています」と話していました。

 

障害への理解 そして備えを

障害のある人は、災害が起きた時により厳しい状況に追い込まれる

恐れがあります。災害が起きた時に、障害のある人たちを着実に

支援していくためには、日頃から障害そのものへの理解を深めて

おくこと。そして個別の事情に対応できるよう備えておくことが

大切だと改めて感じました。

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阿知波美帆

平成12年入局

経済部などを経て、京都局では行政や文化など取材

 


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