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【京のええとこ】京丹後市 ちりめんでアート作品
京のええとこ連れてって
平田惟(リポーター)
2022年12月02日 (金)
2022年12月2日(金)放送
※京いちにちの見逃し配信はこちらから(放送後1週間配信)
放送の内容をテキストで紹介しています。お出かけの参考にぜひご覧ください!
古い町並みを歩いていると、機械の動く音がもれ聞こえてきました。
音につられて訪ねたのは、丹後ちりめんの工場。
京丹後市は、着物などに使われる絹織物の産地として栄えてきました。
丹後ちりめんの特徴は、シボと呼ばれる凹凸。
ヨコ糸がよられて縮むことにより、このきめ細やかなシボが生まれます。
しわになりにくく、染めた時の色合いや光沢がきれいに出ることから、京友禅など、多くの着物の生地として使われています。
京丹後で絹織物が盛んになったのは、「うらにし」という独特な気候のおかげ。
11月くらいから3月くらいまで、どんよりとした曇り空が続き、雪が降ります。
乾燥すると糸が切れやすいため、湿気が絹の織物には向いていたのです。
一時は1万を数えた丹後ちりめんの工場ですが、着物産業の斜陽化を受け、今では600軒ほどに減ってしまいました。
「やはり丹後からこの機音が消えるというのも大変寂しいことですし、次世代につなげていきたい誇れる仕事だと思っています。」
と丹後ちりめん職人の松田さんは言います。
丹後ちりめんを使って面白い取り組みをしている方がいると聞き、まちを探索すると、全面に柄がある、派手な車を発見しました。
出会ったのは、アーティストの大下倉和彦(たかくら かずひこ)さん。
丹後ちりめんを使い、シブキアートというオリジナルの芸術に取り組んでいます。
指につけた染料をシブキのように生地にかけると、独特の模様となって、シブキアートになっていきます。
「命を吹き込むというか、そういうつもりでやっています。呼ばれたところに手を出すみたいな感じですね。」
と大下倉さんは言います。
大下倉さんは明治より続く織元の家に生まれました。
多いときは従業員30人以上を抱えるほどでしたが、着物の需要が減り、16年前、工場を閉めました。
残った染料や生地を使い、シブキアートを始めたところ、口コミで広がり、今では海外でも人気です。
最初は戸惑いましたが、実際やってみると思わぬ模様ができて、少しずつ調子が出てきました。
大下倉さんは着ている服にシブキアートを施す、ライブペイントもやっています。
10分ほどで完成しました!気になる仕上がりですが、こちらです!
「アートという切り口でちりめんに関わることができるようになったので、この場でやり続けるということに、一つ意義があると思ってやっていますね。」
と大下倉さんは言います。
伝統を新しい形で残していく人々に出会った旅でした。