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答申第63号

平成19年10月11日
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第76号に対する意見

1. 再検討の求めに至る経緯
 

 「ソウル支局長の不正経理で使用された経費の支出目的(目的別割合で結構です)」という開示の求めが視聴者からあった。これに対し、NHKは平成16年9月7日付で公表した「ソウル支局長のずさんな経費精算問題」の文書を開示するとともに、補足説明として「経費は取材先との飲食代や取材協力の謝礼、取材のためのタクシー代、現地のスタッフの夜勤に伴う食事代などに当てられていた」旨の情報提供をした。しかし「ソウル支局長の不適切経理で使用された経費の支出の目的別割合」については「現地の外部プロダクションから提出された資料とNHKで保管していた経理資料とを照合した結果、約4400万円について不適切な処理と認定したが、使途を記載した文書は、大まかな割合を示した文書を含めて存在していないため、開示することができない」とした。
 これに対しこの視聴者から「私的な流用がなかったとしているが、経費支出の目的を調査して結論づけたとしか思えない。使途を記載した文書がないなら、私的流用なしと結論づけた根拠を示した文書を開示して欲しい」などとして再検討の求めがあった。


2. NHKの見解の要旨
   ソウル支局長の不適切経理の問題について、NHKでは、現地の制作会社から提出された請求書の写しとNHKが保管していた経理資料とを照合した結果、元支局長は実際の支払い額より多い金額の領収書を現地の制作会社に書いてもらっていたことが判明した。さらにその差額の約4400万円分の使途について元支局長や関係者への聞き取り調査や支局の公用口座および元支局長の個人の銀行口座の出入金記録の調査の結果、経費は取材先との飲食代や取材協力の謝礼、取材のためのタクシー代、現地のスタッフの夜勤に伴う食事代などに当てられていたと認定した。このため、元支局長について経理処理はずさんで不適切だったものの、私的な流用はなかったと判断した。しかし、元支局長は領収書をとっておらず、不適切な経理の支出については、その内訳について大まかな割合を含め具体的な使途を記載した文書は存在しない。
  なお、再検討を求める理由として「私的流用なしと結論づけた根拠を示した文書を開示して欲しい」旨の記載があるが、NHKは外部プロダクション側から提出された請求書や報道局総務部に保存されていた経理資料、当時の支局員や外部の関係者からの聞き取り調査、元支局長個人の銀行口座の出入金記録などによって私的流用はなかったと判断したものである。これらの文書は、非公開を前提として任意で行った調査をもとに作成されており、これらを公にした場合、今後こうした情報の収集が困難になるおそれが生ずるとともに、当該職員の懲戒処分を検討するための資料であるため個人情報に当たり、NHK情報公開規程8条1項1号と3号に該当し、開示できない。

3. 審議委員会の判断
   NHKは、「ソウル支局長の不適切経理で使用された経費の支出の目的別割合」に該当する文書を作成していないと認められる。したがって、文書不存在を理由に不開示としたNHKの取り扱いは妥当である。
 なお、NHKが私的流用なしと結論づけた根拠を示した文書は、懲戒処分を検討するための資料と解することができるが、これらの文書は、非公開を前提として任意で行った調査をもとに作成されており、これらを公にすると今後の内部調査の情報収集に支障が生じるおそれがあるとともに、当該職員の個人情報にあたり、NHK情報公開規程8条1項1号と3号に該当し、不開示文書である。

4. 審議の経過
 
平成19年
 7月12日
 (第87回審議委員会)  第76号諮問、審議
 
 7月30日
 (第88回審議委員会)  審議
 
 9月14日
 (第89回審議委員会)  審議
 
 9月26日
 (第90回審議委員会)  審議
 
10月11日
 (第91回審議委員会)  審議、答申

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