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答申第50号

平成18年12月14日
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第57号に対する意見

1. 再検討の求めに至る経緯
   平成18年4月、当時の報道局スポーツ報道センターの職員が、過去5年余りの間に、架空の出張申請により出張旅費を不正に受け取っていたとして懲戒免職処分となった件に関して、視聴者から、「カラ出張で約1762万円を不正受給したとして懲戒解雇した元職員の弁済記録(弁済の方法なども含む)」という開示の求めがあった。
 この開示の求めに対してNHKは、NHKの銀行口座の預金取引明細表であると解して、人事、経理に関する資料で開示することによりNHKの事業活動に支障を及ぼすおそれがある文書であり、個人情報でもあることから、NHK情報公開規程第8条第1項第1号および第3号に該当し、開示することはできないとした上で、弁済方法についてはNHK口座への振込みによることを情報提供した。
 これに対してこの視聴者から、「一括返済以外の方法でない限りNHKの事業活動に支障があるとは思えない。また、本件は不正金の返済記録等であり個人情報であるとは考えられない。1762万円という金額は一個人が即返済できる金額ではないにも関わらず極めて短期間に返済されている。分割での返済なのか、過去に報道があったような退職金を充てたのか等の説明はなされるべきであると考える」として、再検討の求めがあった。

2. 不開示としたNHKの見解の要旨
   この視聴者が開示を求めている「弁済記録」とは、元職員からNHKに弁済が行われたことを記録した文書と認められる。また、再検討の求めの理由も合わせ考慮すると、弁済が一括でされたか、分割でされたか、また、弁済のための原資として退職金を充てたかどうかを示す文書であると解される。
 まず、弁済が一括でされたか、分割でされたかを記録した文書としては、元職員からNHKへの入金を記録した収納請求票が存在する。この収納請求票には元職員が具体的にどのように弁済したかの情報が記録されており、不正に支給を受けた金品の弁済といえども、本人の資産状況に関わる個人情報であり、NHK情報公開規程第8条第1項第3号に該当し、不開示とすべきである。
 また、この元職員が弁済するための原資として退職金を充てたかどうかを示す文書については、そのような文書をNHKは保有していない。
 なお、NHKの就業規則では、懲戒免職処分にした職員に対して、原則として退職金を支払わないと定めている。

3. 審議委員会の判断
   開示の求めおよび再検討の求めの対象となる「弁済記録」とは、元職員からの弁済金がNHKに入金されたことを記録した文書と、その弁済金の原資として退職金が充てられたかどうかを示す文書であると解される。
 元職員からの弁済金がNHKに入金されたことを記録した文書としては、収納請求票があるが、いつ、どのように弁済されたかを示す具体的な記録は個人情報である。しかし、今回の場合、不正が発覚して本人による弁済が行われ、懲戒免職処分が決まるまでの期間が5日間であり、極めて短い期間内に弁済されたことが明らかになっているので、一括弁済かどうかについては、公知に準ずる状態に置かれていると解される。
 したがって、収納請求票は、元職員以外の個人名を除き、NHK情報公開規程第8条第2項第1号の「すでに公にされ何人も知り得る状態に置かれているものまたはそれに準ずる状態に置かれているとみなすことができるもの」の後段に該当し、開示すべきである。
 また、元職員が不正に支給を受けた旅費の弁済に退職金を充てたかどうかを示す文書はNHKが保有していないと認められる。

4. 審議の経過
 
平成18年
 9月14日
 (第69回審議委員会)  第57号諮問、審議
 
 9月28日
 (第70回審議委員会)  審議
 
10月12日
 (第71回審議委員会)  審議
 
11月 9日
 (第72回審議委員会)  審議
 
11月21日
 (第73回審議委員会)  審議
 
12月14日
 (第74回審議委員会)  審議、答申

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