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答申第3号 平成14年1月10日
NHK情報公開審議委員会の諮問第4号に対する意見

1. 審議委員会の結論
  (1) 懇談会の総回数、支出総額、個々の懇談についての場所、出席者、支出額のリスト
NHKでは相手方を国会議員、大臣、官僚に限定した管理は行なわれておらず、NHKが文書不存在を理由に不開示としたことは妥当である。
  (2) 個々の懇談の記録
「事務または事業に関する情報であって、開示することにより、NHKの権利利益、地位もしくは事業活動に支障を及ぼすおそれがあるもの」(NHK情報公開規程第8条第1項第1号)に該当するため不開示としたNHKの判断は妥当である。

2. 再検討の求めに係る経緯
   NHK役職員と国会議員、大臣、官僚との懇談に関して、懇談会の総回数、支出総額、個々の懇談についての場所、出席者、支出額のリスト、個々の懇談の記録、を開示するよう求めが出された。
 については文書が存在しないため、についてはNHK情報公開規程第8条第1項第1号に規定する不開示情報に該当するため不開示とした。これに対し、開示の求めを行った視聴者から再検討の求めが出された。

3. 不開示としたNHKの見解の要旨
   個々の懇談(打合せ)の記録が開示された場合には、相手方との信頼関係の基盤が崩れ、その結果、外部の関係者からの任意の協力が得られなくなり、独立した事業体であるNHKの事業活動に著しい支障が出る。このため、NHK情報公開規程第8条第1項第1号に規定する不開示情報に該当する。

4. 審議委員会の判断
  (1) 懇談会の総回数、支出総額、個々の懇談についての場所、出席者、支出額のリスト
NHKでは、打合せについての記録は、個別の帳票の形で各実施部局が管理しているが、打合せの相手方による管理はされていない。したがって、特定の相手方との打合せについての総回数等を記録した文書や個々の打合せについてのリストは作成されていないと認められる。
  (2) 個々の懇談の記録
 以下の理由から、規程第8条第1項第1号に該当すると判断する。
自由な競争者としての立場の確保
 放送や新聞等のマスメディアは、表現の自由を守り、報道機関として国民の知る権利に奉仕し、健全な民主主義の発達に資するよう努めなければならない。この目的を果たすため、それぞれの事業者は自由な環境の下で互いに競争し、より国民の負託に応えるよう努力している。また、情報が瞬時に地球上の隅々にまで行き渡る現在、世界中のさまざまな報道機関がそれぞれの国を越えて競い合う状況にある。わが国の放送においても、財源や組織形態を異にするNHKと民間放送が二元体制としてそれぞれの長所を発揮し、互いに切磋琢磨することにより、豊かで多様な放送サービスを提供している。
 特にNHKは、この自由競争の環境の中で独立性を保ちながら、公共放送として、豊かで良い放送を行うとともに、放送の進歩発展に大きな役割を果たしてきている。これからもNHKが視聴者の利益となるような事業活動を行っていくためには、この自由な競争者としての立場が確保されなくてはならない。
 今回開示を求められた文書は打合せについての記録であるが、NHKが円滑な事業運営のために行っている打合せの記録を開示することは、いわば事業遂行に当たっての手の内を一方的に明らかにすることであり、結果として自由な競争者としての立場が確保されず、NHKの事業活動に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
信頼関係の確保と報道機関のモラル
 NHKは、直接放送に関する業務以外にも、受信料の収納や人事・経理など放送事業体の運営に必要なさまざまな業務を行っているが、これらの業務の円滑な実施なくしては公共放送の使命を達成することはできない。NHKが業務上、外部の関係者からの情報収集や協力依頼等を目的として実施する打合せは、公にしないことを前提に相手方の任意の協力の上に成り立っている。したがって、打合せの内容を開示した場合には、相手方との信頼関係の基盤が崩れ、今後の任意の協力が得られなくなり、ひいては事業活動に著しい支障が出ると認められる。
 また、いわばNHKの全ての業務は放送の実施に収斂しているとも言えるので、取材源・情報源の秘匿を根幹とする報道機関のモラルが、公共放送としてのNHKの業務活動全般に対しても厳しく求められていることや、今日、プライバシー保護等をめぐってメディアに対する規制の議論が起きていることからも、部外関係者との打合せや交渉に関する情報の開示・不開示の判断に当たっては、相手方の信頼を損なわないよう、慎重かつ適切な対応が望まれる。
NHKの置かれた経営・事業環境
 NHKは、特殊法人ではあるが、国の出資を受けず、政府や地方自治体から独立した、言論・報道に関わる自主的・自律的な放送事業体である。行政機関とは立場が異なり、法令に基づく権限や強制力がないことから外部の協力を任意に得なくてはならない環境にある。
 またNHKは、効率的な業務運営を行い、受信料を適切に運用することが強く求められている。仮に今回の開示の求めに応えようとすると、全国の放送局等での全帳票の調査という不相当な事務作業を要する。
 今回の打合せに開する情報の開示・不開示の判断に当たっては、NHK情報公開の趣旨を踏まえつつ、NHKの置かれたこれらの経営・事業環境についても考慮する必要がある。

5. 審議の経過
 
平成13年  9月28日   第4号諮問  
  10月12日   (第4回審議委員会)  審議
  11月 8日   (第5回審議委員会)  審議
  12月 6日   (第6回審議委員会)  審議
平成14年  1月10日   (第7回審議委員会)  審議・答申


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