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答申第1号 平成13年10月12日
NHK情報公開審議委員会の諮問第1号・第2号に対する意見

1. 審議委員会の結論
  (1) 起訴猶予以上の処分となった刑事事件(以下「刑事事件」という。)に係る懲戒処分・訓告の責任審査一覧のうち、処分発令日、氏名、所属・職位を不開示としたことは妥当である。
  (2) 刑事事件に係る懲戒処分・訓告の処分理由については、個人情報・プライバシーの保護に留意した上で、事実概要を開示すべきである。
  (3) 刑事事件以外の懲戒処分・訓告については、次のとおり開示すべきである。
懲戒免職処分は、刑事事件に係る懲戒処分・訓告と同様に責任審査一覧を開示する。ただし、プライバシーの法的保護が特に求められる場合は、可能な範囲で開示する。
懲戒免職処分以外は、処分理由の類型別に件数を開示する。

2. 再検討の求めに係る経緯
   1996年度から2000年度までの職員の懲戒処分・内部処分への開示の求めに対し、NHKは、刑事事件に係る懲戒処分・訓告については、責任審査一覧のうち、処分発令年月、処分内容、処分理由を開示するとともに、それ以外の処分については、年度別の処分件数を開示した。(責任審査一覧のうち、処分発令日、氏名、所属・職位は不開示。処分理由の事実概要も開示せず。)
 これに対し、開示の求めを行った視聴者から、刑事事件以外の処分も含めて、責任審査一覧(処分発令日、氏名、所属・職位の開示を含む)及び処分理由の事実概要を開示するよう、再検討の求めが出された。

3. 部分的に不開示としたNHKの見解の要旨
   職員の懲戒処分・内部処分についての情報は、基本的に個人に関する情報であること、また、そのような情報が開示された場合には、受信料収納や受信契約業務に支障を来たすおそれがあること、さらに、非公開を前提としている責任審査委員会(処分案を検討)の審議が影響を受ける事態も懸念されることから、NHK情報公開規程第8条第1項第1号、第2号、第3号に規定する不開示情報に該当する。

4. 審議委員会の判断
  (1) 規程第8条第1項第1号の該当性
 本号の解釈・運用に当たっては、NHKが自主的に新たな情報公開の仕組みをスタートさせた趣旨を踏まえ、「NHKの権利利益、地位もしくは事業活動に支障を及ぼすおそれがあるもの」を直ちに不開示情報とするのではなく、NHKが視聴者に対して果たすべき説明責務、NHKが持つ社会的責任等を合わせて検討すべきである。
 今回の場合、NHKが主張するような受信料収納や受信契約業務に支障を来たすおそれが全くないとは言えないが、それを理由として不開示とするほどの支障ではないと判断する。したがって、NHKが先に開示した情報に加え、冒頭の結論に述べたように、開示範囲を拡大することが妥当である。
  (2) 規程第8条第1項第2号の該当性
 処分案を検討する責任審査委員会が非公開を前提に行っている調査や審議の情報は、処分の決定に至る過程の情報であり、「NHK内の審議、検討または協議に関する情報」に含まれる。 
 しかし、今回の開示の求めに係る文書は、審議結果の文書であり、また、仮に開示範囲が拡大されても、今後における責任審査委員会の審議そのものが影響を受ける事態が懸念されるとまでは認められない。よって、本号は不開示の理由には当たらない。
  (3) 規程第8条第1項第3号の該当性
 被処分者の氏名は、基本的な個人情報であり、本号に該当する。
 また、それだけでは個人を識別できる情報とはならないが、他の情報とつなぎ合わせることで個人の識別が可能となる情報も、一体としての個人情報と解すべきである。よって、処分発令日、所属・職位も本号に該当する。
 追加して開示する情報も、個人情報・プライバシーの保護に留意して開示することが必要であり、とりわけ、男女雇用機会均等法などにより、関係者のプライバシーの法的保護が特に求められる場合は、可能な範囲での開示とすべきである。
  (4) 判断に当たっての基本的な考え方
 NHKが始めた新たな情報公開は、放送による言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者に対する説明責務を果たすための自主的な仕組みである。公権力の行使を背景とする国や地方自治体等の情報公開とは性格を異にし、それらと同列に論ずるべきものではない。NHKは、情報公開の実施に当たり、視聴者の直接負担する受信料によって運営される公共放送であることから、視聴者本位の姿勢を深く認識し、その支持と信頼を一層得られるように努めるべきである。
 当審議委員会は、上記のような考えの下に、NHK情報公開基準・情報公開規程に則りつつ、NHK及びNHK職員に求められる高い公共性と倫理性、個人情報・プライバシーの保護、視聴者の支持と信頼の確保等を総合的に勘案し、開示範囲を決定した。特に、懲戒免職処分及び処分の事実概要も開示すべきとしたのは、公共放送としての社会的責任と、視聴者へ分かりやすく説明する観点を重視した結果である。

5. 審議の経過
 
平成13年  8月21日   第1号諮問
   9月 5日   第2号諮問
   9月13日  (第2回審議委員会) 審議
   9月28日  (第3回審議委員会) 審議
  10月12日  (第4回審議委員会) 審議・答申

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