【1月19日(日)放送】風をうけとめる木 〜埼玉県 深谷市櫛挽(くしびき)〜

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赤城おろしが吹きつける埼玉県深谷市櫛挽(くしびき)。
戦後開拓されたこの地は、森を切り開く際、防風林にする部分は木を切り残し耕地が作られました。夫婦でネギを収穫する家では、この時期、防風林の落ち葉を丁寧に集め、春に備えて苗床を作ります。開拓の労苦を知る人は、当時の道具を今に伝え、防風林を守るため竹を植える活動もしています。さらに、子どもたちと開拓者たちの温かな交流。防風林を慈しむ、冬の開拓地を訪ねる旅です。

地図
アクセス

<電車>
東京方面から:
JR高崎線「深谷駅」または「岡部駅」→タクシー利用→深谷市櫛挽(約15分)
八王子方面から:
JR八高線「用土(ヨウド)駅」→タクシー利用→深谷市櫛挽(約10分)
※バスは1日5本走っています。
本数が少ないので、事前に確認された方が安全です。

<車>
関越自動車道 花園IC→国道140号線→県道75号線→深谷市櫛挽(約15分)


再放送予定

1月23日(木) 午前11:05
1月25日(土) 午前 5:15

旅の見どころ

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戦後、開拓された櫛挽を「赤城おろし」から守ってきたのが防風林です。その多くは、かつて生えていた木を開墾の際に切らずに帯状に残したもので、今もナラ、松、カシ、クヌギなど30種類以上の木々が見られます。この防風林は、幅27メートル、長さは最大3キロにも及ぶ巨大なもので「赤城おろし」を遮るようにして8列が並んでいます。訪れた先月下旬は、この防風林に守られ、ネギや大根、ブロッコリーなど冬野菜の収穫が最盛期を迎えていました。

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防風林は、かつては開拓農業組合の共有財産でしたが、現在は各戸が自分の家と畑の前の区画をそれぞれ管理しています。防風林から出た落ち葉を掃き集めているのはネギ農家の近藤一敏さん(79)。この落ち葉は春に備え、苗床に使います。底に敷きつめることで、地面からの冷気を防ぐのです。さらに、敷きつめた落ち葉は腐葉土となり、翌年の苗床の床土にも使われます。防風林からの恵みの落ち葉を、櫛挽の人たちは大切に使っています。

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入植からおよそ70年。防風林は人の手で守り継いでいます。昭和21年に入植した最古参の開拓者・篠原徹也さん(84)は、防風林の木が枯れたあとに竹を植えてきました。竹は成長が早い上に、四季を通じて葉がよく茂ります。さまざまな木を試した中でも竹の防風効果がいちばんだそうです。篠原さんは、勢いの衰えた竹を切り、日ざしを入れてやるなど、こまやかに手入れを続けています。防風林を次の世代に残したいという願いが込められています。

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※掲載情報は、放送当時のものです。情報が変わっている場合がありますが、ご了承ください。

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