【12月1日(日)放送】帆風おだやか 〜広島県 尾道市向島〜

NHKオンデマンド
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広島県尾道市、300メートルほどの尾道水道を隔てた先に浮かぶ人口2万4千の向島。
漁業や柑橘(かんきつ)栽培、造船所が島の暮らしを支えています。昭和の初めから続く、綿の帆布(はんぷ)を作る工場。漁船の帆や、造船所の工員の防具を作ってきました。その帆布を今も瀬戸内の海でたなびかせ、タイなどを狙うベテラン漁師。さらに、船をこぐ「櫓(ろ)」を樫(かし)の木から15種類のカンナを使い分け、丁寧に削る職人の技。晩秋の瀬戸内、島に息づく誇りを訪ねる旅です。

地図
アクセス

【向島へ向かう渡船】
「JR尾道駅」周辺から、3航路(約10分間隔)で出ています。

<電車>
福山駅から:
JR山陽新幹線「新尾道駅」→タクシーまたは、おのみちバス「JR尾道駅前」(約10分)
JR山陽線「尾道駅」下車(約20分)

<車>
西瀬戸自動車道(しまなみ街道)向島IC


再放送予定

12月5日(木) 午前11:05
12月7日(土) 午前 5:15

旅の見どころ

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向島の沖合は、瀬戸内有数の豊かな漁場。ここに集まる漁師たちは、船を安定させるために帆を掲げ、ゆったりと手釣りで魚を狙います。この道57年の桃谷猛さん(75)が掲げるのは、ひときわ使い込んだ帆。漁師を引退した友人から受け継いだ、綿で出来た帆です。多くの漁師が合成繊維でできた帆を掲げる中、大切に使い続けています。綿の帆は、使い込むほどに目が詰まってよく風をつかむと地元では言われています。

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尾道では漁船の帆となる生地、「帆布(はんぷ)」の生産が盛んでした。戦後、安い合成繊維の普及でほとんどの工場が廃業しましたが、今も向島に残る、昭和9年から続く唯一の帆布工場が稼働しています。3代目の社長、高橋浩さん(82)が作る、天然の綿の糸を1本1本より合わせ織り込んだ帆布は、丈夫で風合いがよいと評判。今も造船所の作業着やバッグ、帽子などさまざまな用途で使われています。

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船具づくりが盛んだった向島。瀬尾豊明さん(71)が50年作り続けているのは、 船をぐ道具「櫓(ろ)」です。国産の樫の木から、15種類のカンナを使い分け、 5メートルもの櫓を削り出します。穏やかな瀬戸内の櫓は薄く平らに、波の荒い日本海で使う櫓は丸みを残し厚く削ります。瀬尾さんが作る櫓は、島の漁師のみならず、矢切の渡しや長良川の鵜飼いなど、各地から注文が舞い込んでいます。

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※掲載情報は、放送当時のものです。情報が変わっている場合がありますが、ご了承ください。

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