【1月13日(日)放送】 印を刻む 山梨県 市川三郷町六郷

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富士を仰ぎ、富士川の流れに抱かれた山梨県市川三郷町・六郷地区。
山地に囲まれ農業に不向きなこの地では、明治時代、地元にあった水晶の研磨技術を生かして、ハンコの生産が盛んになり、全国有数の産地となった。人々にとってかけがえのないハンコを、手彫りで作る職人の技。人生の大切な節目を彩る印を大切に使い続ける町の人。そして、子どもたちに、名前の尊さを知ってもらうハンコ作り。雄大な風景の中、息づく伝統に触れる旅。

アクセス

<電車>
甲府駅→JR身延線「甲斐岩間駅」下車(約50分)

<車>
中央自動車道「甲府南IC」→国道140号線
→市川三郷町(約40分)

再放送予定

1月17日(木) 午前11:05
1月19日(土) 午前 5:15

旅の見どころ

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山に囲まれ斜面の多い六郷。江戸時代から、農家の副業で足袋を作り、行商人が全国を回って売り歩いていました。ハンコの製造が始まるのは明治に入ってから。明治6年、証書には必ず実印が必要であると定められ、ハンコの需要が高まります。それに目をつけた六郷の行商人たちは、当時、甲府で採掘・加工された水晶印を持って、全国を売り歩いたといいます。やがて、六郷に舞い込む注文は急増。みずからハンコを彫るようになった人が増えていきました。

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六郷では、町の人の多くがハンコの彫刻や販売、仕入れなどに携わっています。中でも1番多いのが、町に70人ほどいるハンコの彫刻士。その一人、佐野弘和さん(77歳)は、この道に入って62年になります。逆さ文字で細かく書き入れる「字入(じいれ)」、指先に力を集中させて削る「荒彫(あらぼり)」、輝くほどに鋭く研いだ刀で調整する「仕上げ」。すべての工程は手作業です。使う人の役に立つようにと願いながら、小さな面に向かう日々です。

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ハンコを大切にする心は、町の子どもたちにも受け継がれています。毎年、地元の六郷小学校の6年生たちが卒業記念に行うハンコ作り。子どもたちは、自分の名前に向きあい、真剣に彫っていきます。それを支えるのは、町の職人たち。ハンコを通じて自分の名前に誇りを持って欲しいと、20年以上前にこの取り組みを始めました。1時間かけて出来上がったのは、ふたつとない自分だけのハンコです。

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※掲載情報は、放送当時のものです。情報が変わっている場合がありますが、ご了承ください。

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