2015年11月8日放送

再放送
  • 11月9日(月) 午前 11:05
  • 11月14日(土) 午前 5:15
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山の歌 秋 おらが山 心寄せて
~岩手山~

盛岡市を眼下に望む岩手山。標高は2038メートル。ふもとに暮らす人々からは「南部富士」と呼ばれ親しまれてきました。宮沢賢治や石川啄木も愛したという「おらが山」です。10月、山麓(さんろく)は紅葉のピーク。ブナやカエデが彩ります。山頂へ向かう山小屋には、ふもとの山好きたちが集います。小屋を守り続ける管理人や、亡き夫へ思いをはせる人。山を愛する人たちの思いが交差します。ふもとの人たちの「心の山」としてあり続けた晩秋の岩手山を訪ねます。

盛岡市内から一望できる岩手山です。古くから、ふもとの人々の生活のかたわらにあり、「南部富士」と呼ばれ親しまれてきたおらが山です。10月、紅葉のピークを迎えた山肌は、ダケカンバやカエデなどで色とりどりに染まります。登山は、山麓(さんろく)のスキー場からスタート。標高1300メートル付近まで、30分かけて紅葉の森を空中散歩します。リフトを抜けると、そこは紅葉の名所。登山者や観光客でにぎわいます。

山頂直下にある岩手山八合目避難小屋。避難小屋の多くは、雨風をよけるためだけの小屋ですが、少しでもふるさとの山を快適に過ごしてもらおうと地元山岳会のひとたちが交代で泊まり込み、登山者の様子に目を配ったり、気象情報を提供したりと、40年間、小屋を支えてきました。この小屋の常連さんたちは、登山の際に一人一本ずつ、ストーブのためのまきを背負い、小屋に届ける伝統があります。

標高2038メートルの山頂部分は、およそ7000年前の噴火でできたといわれる火口「御鉢」が広がります。山頂からは、山にそって広がる農地や、地元の集落、盛岡市内が一望できます。岩手県出身の歌人・石川啄木が「ふるさとの山に向かひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」と望郷の歌を詠んだように、まさに岩手山がふるさとの山であることを感じられます。

旅人 山田敦子から

風の強い日、岩手山8合目の避難小屋に泊まりました。100人以上泊まれる頑丈な小屋で、シーズン中は地元の山岳会の方が交代で詰めて下さるので安心です。暗闇の中、寝棚で毛布にくるまると、聞こえてくるのは激しい風の音。耳を澄ましているうちに、宮沢賢治の「風の又三郎」を思い出しました。「どっどど どどうど どどうど どどう、青いくるみも吹きとばせ すっぱいかりんもふきとばせ」。登山道に吹き落とされていた真っ赤なナナカマドの実やドングリが眼裏に浮かびます。外は小屋ごと揺りあげるような風の音。これが賢治の風だ、と思いました。忘れられない一夜でした。

網張温泉スキー場(網張コース登山口)へのアクセス

<電車>
JR東北新幹線・秋田新幹線・東北本線「盛岡」駅から岩手県交通バス「網張温泉行き」→終点「網張温泉」で下車(約60分)

<車>
東北自動車道盛岡ICから約40分

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問い合わせ先

岩手山の登山、観光について
網張ビジターセンター
019-693-3777
リフトについて
休暇村岩手網張温泉 網張温泉スキー場
019-693-2211
八合目避難小屋について
滝沢市役所 経済産業部 商工観光課
019-656-6534

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