2018年03月18日 (日)

時 立ち添う 蔵の町 ~高知県 室戸市~

murotomain.jpg高知県室戸岬の西にある、室戸市吉良川町は、古くから炭の名産地として知られてきました。町に数多く残されているのは、炭の交易によって建てられた“蔵”です。三月、町を彩るのは、蔵に眠っていた先祖代々のひな人形。ひな行列にあわせ家々に飾られ道行く人々を招き入れます。亡き夫の思いを胸にパン作りに励む女性に、築100年を超える蔵を生かして、お遍路宿を営む夫婦など、歴史ある町で、時を刻む人々の暮らしを訪ねます。


今回の放送内容

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ひな祭りの季節になると、町のあちらこちらの家々でひな人形が飾られます。パン屋を営む徳弘萬喜子さんも、里の両親から贈られたという大切な人形を飾っていました。年老いた夫婦の高砂人形、「尉と姥(じょうとんば)」。“夫婦共白髪になるまで仲良く”との願いを込めて、嫁いで初めての桃の節句に贈られたものです。夫の日出男さんは、21年前帰らぬ人となりました。しかし、萬喜子さんは今も夫の味を守り、パンを作り続けています。丸めたパンにカステラ生地を乗せて帽子の形に焼いた、高知名物「帽子パン」。このパンを焼きながら、今でも共に年を重ねているのです。


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明治の終わりに紀州から伝わった備長炭。先人たちはその焼き方に工夫を重ね、一度に大量の炭を焼ける「大窯」を使った製法を編み出しました。そうして炭焼きは町の一大産業となったのです。しかし現在、残っている窯元はわずかになりました。そこに飛び込んで伝統の技を身につけ、自身の窯を立ち上げたのが、黒岩辰徳さんです。ふるさとを離れずとも食べてゆける仕事をつくりたい。それを後世につなげたい。自分と同じように故郷に残ることを望む若者たちと共に、この町で炭を焼いています。


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88か所の寺を巡る四国のお遍路。難所の山を抜け、疲れ果てたお遍路さんがたどりつくのが、ここ吉良川町です。池田治英さんは、かつて炭問屋だった築100年超の生家で、遍路宿を営んでいます。会社員として転勤を繰り返していた池田さん。ふるさとに帰り、「土地の歴史が詰まったこの建物で、ゆっくり安らいでほしい」と、妻の敦子さんと2人で宿を始めました。池田さんが大切にしているのは、お遍路さんの傍らでじっくりと話を聞くこと。もてなしを受けほっと一息つくお遍路さんたち。旅路の途中で胸に抱えた思いをポツリポツリと語り始めます。


旅人・山田敦子アナウンサーより

muroyamada.jpgのサムネイル画像室戸岬へと続く長い海岸線の中程、吉良川町を訪ねました。ここはその昔、炭の生産で栄えた町。100年を経た家が美しい町並みを作り、白い土佐しっくいの壁を水切り瓦がフリルのように飾ります。壁のしっくいを雨から守る独特の工夫だそうですが、何段もの水切り瓦を豊かに重ねた蔵は、シックなショートケーキのようにも見えます。この古き町が華やぐ雛祭り。蔵に大事にしまわれてきた雛人形の、一年に一度のお目見えです。歩調を緩めて見とれる白衣のお遍路さん、あくびする猫。丸ごと過去から運んできたような春の一日でした。


室戸市 吉良川町へのアクセス

muromap.jpg〈電車〉
JR土讃線「高知駅」→「御免」駅で土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線乗り入れ→「奈半利」駅→高知東部交通バスで「吉良川学校通」下車(約2時間)

〈車〉
高知自動車道「高知」ICより1時間40分


問い合わせ先

▼吉良川町の観光について
 NPO法人 吉良川町並み保存会 0887-25-3670

投稿時間:08:24


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