2017年04月23日 (日)

乾きの里 潤う時 ~大分県 国東市~

kunisakimain.jpg大分県の北東部・国東市は、瀬戸内式気候で雨に恵まれず、水不足に苦しんできました。土地の人々は古くから各地に「ため池」を作り、わずかな水を大切に分け合って、米を作り暮らしを立ててきました。いまも集落の周りの山々には300近くのため池があります。田植え前、集落総出で行われるのが、ため池の水を管理する「池守」を決める集会です。厳しい自然の中でも、ため池とともに誇りをもって生きる人々の暮らしを訪ねます


今回の放送内容
kusaniki1.jpgのサムネイル画像農業用のため池はそれぞれ水路でつながり、互いに水を補い集落すべての田んぼを潤しています。水路に水が流され始める4月上旬、農家の人たちには、欠かせない仕事があります。隣の田んぼにつながる水路を掘り起こすのです。86歳の池田孝子さんは、「他の田んぼに水がいかなかった迷惑をかけてしまう」と、10年前から作らなくなった田んぼの水路掃除を毎年続けています。ため池の水をみんなで守る国東の暮らしです。


kunisaki2.jpgため池のひとつひとつに、池を管理する「池守」という役職があります。水の出し入れを管理し、すべての田んぼに平等に水が行き渡るよう調整するのです。気温や天気などで日々かわる田んぼの状況を見極めながら、池の水を枯らすことなく、田を潤します。3年前に脳内出血をわずらった阿部猛さんは、体が動くようになった今年、再び池守の仕事を引き受けました。「地域の信頼に応えたい」と責任を全うします。


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農家の村田光貴さんと恵さん夫妻は、以前暮らしていた岩手県陸前高田市で震災に遭い、リンゴ畑を流され、5年前に国東に移住してきました。ここで初めて稲作りに挑戦した村田さんは、限られた貴重な水をうまく田に引きこむことができずに苗を枯らしてしまうこともありました。水の使い方を池守から教えてもらい、いまでは、集落の農家たちの信頼を集め、放棄された高齢者たちの田んぼの管理までしています。


旅人・山本哲也アナウンサーより

kunisakiyamamoto.jpgテーブルに指を広げて手を置いてみてください。手の甲が国東半島の真ん中、指の間が半島から広がる谷間、その先は瀬戸内海。この谷間にあるのが、今回訪ねた国東市の各地区です。ため池の水を管理する「池守」の阿部さんは、脳内出血の後遺症がありながら体を懸命に動かし、地区の人たちのために水を守っています。その姿に本当に頭が下がりました。帰り際の「今度飲みに来いよ」の一言、ありがとうございました。震災のあと岩手陸前高田から移り住んできた米農家の村田さん御夫妻、今では地域の若手のホープ、この地区の米作りの核となる覚悟を感じました。「いつかは陸前高田にも恩返ししたい」との言葉、確かに受け取りました。そうそう、ロケの途中で食べた「たこちゃんぽん」、たこで麺が見えないほど!美味!そんな出会いもありました。


 国東市綱井地区へのアクセス

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〈電車とバス〉
JR日豊本線「大分」駅→「大神」駅→大分交通バス「綱井」下車(約1時間40分)
もしくは、大分交通バス「大分駅」→「綱井」下車(約2時間)

〈車〉
大分空港から国道213号線経由(約10分)


 問い合わせ先

▼国東市の観光全般について
 国東市観光協会 0978-72-5168

 

投稿時間:08:24


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