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特集

2015年6月5日(金)

株に熱狂する中国 バブルのおそれは?

 
放送した内容をご覧いただけます

有馬
「まずはこちらをご覧下さい。
今、中国でもてはやされている『牛』。
と言いましても、これ、株の世界の話なんです。
牛は中国でも強気相場の象徴で、好調な今の株式市場は『牛市』と呼ばれているんです。」


藤田
「こちら、上海株式市場の代表的な株価指数です。
今日(5日)、およそ7年5か月ぶりに終値で5,000ポイントを超えました。
この1年で見ると株価は2倍以上に。
今年(2015年)に入ってからだけでも50%以上の値上がりです。」

有馬
「まさに絶好調の上海市場。
この強気相場を支えているのは、こんな人たちなんです。」

絶好調の市場 強気の個人投資家

為井記者
「上海中心部の広場です。
週末になると大勢の人が集まって、株取引でどうすれば利益を上げられるのか議論を行っています。」




「今が底値だよ、底値なんだ。
こうやって…こうやって上がっていくんだよ。」

「もう売っちゃったの?」

「売ったよ!」

「だめだよ!」

「だって下がると思ったんだよ!」

「月曜日に絶対また上がるって言っただろ。」

証券会社の建物の近くにあるこの広場。
個人投資家でいつも賑わっています。
人だかりができているその先をのぞいてみると…。

「黄色の線になったら買い、白の線は売り。
こんなに簡単、1分でマスターできる。」






株価の“予想ソフト”を自作し、売り出す人の姿がありました。
手作りの看板には、“儲かることを保証します”の文字が。





「気分で決めて、買い直せばいいんだ。」

中国では、株式売買高に占める個人投資家の割合は8割に上り、株式市場の主役です。
人々の間で株取引は急速に広がり、今年1月から3月までに新たに開設された証券会社の口座数は、およそ800万。
去年(2014年)の同じ時期の5倍を超えました。



上海の証券会社です。
新たに口座を開設する人の中には、初めて株取り引きを行う若者の姿が目立ちます。





口座開設に訪れた若者
「友達とは遊ぶ話ばかりだったが、最近は株の話ばかりになった。」






手持ちの資金を運用して、少しでも資産を増やそうとする意欲が旺盛な中国の人々。
株式市場に資金が流れ込む背景の1つに、不動産市場の低迷があります。

2008年、リーマンショック直後の政府による景気刺激策を受けて、中国の不動産市場には大量の資金が流れこみました。
しかし、供給が過剰になり、多くの都市で大量に売れ残りが発生。
この1年は、主要都市のほとんどで新築住宅の価格が下落し、上海でも5%余り下落しました。
その結果、新たな投資先を求めて資金は株式市場に流入し、株価上昇を招いているのです。



会社員の沈トウさんです。
不動産への投資を検討していましたが、価格の低迷を実感し、株への投資を始めました。
家族3人を養うためにも将来に備えて手元の資金を少しでも増やしたい沈さん。
日本円でおよそ400万円から投資を始めたところ、購入した銘柄は3か月で株価がおよそ7割上昇。
いまでは資産のほとんどにあたる1,000万円ほどをつぎ込んでいます。



会社員 沈トウさん
「買ったときはここで、今はここ。
70〜80%上がりました。
いま株が勢いにのっているので始めた。
株でもうける自信がある。」



過熱する一方の個人投資。
自己資金以上の金額を株につぎ込む人もいます。

この会社では、株取引の客専門に資金を貸し出すサービスを去年から始めています。
高い利息をとって保証金の最大4倍まで貸し出します。
見通しが外れて株価が下がれば損失も大きくなりますが、少ない元手でより大きな利益が狙えるため、客の数は伸びる一方だといいます。




インターネット金融仲介会社CEO
「相場がよいので借りる人がとても多く、貸すための資金が足りない状況です。」






サービスを利用している男性です。
360万円の自己資金で投資資金を借り、合わせて1,800万の投資をしています。
月に支払う利息は数十万円に上りますが、株が上昇傾向にあるうちに少しでも儲けたいと投資を続けているのです。

サービス利用者
「利益を大きくしたいなら、高いリスクを負わねばならない。
人生1度のビッグチャンスを逃したくない。」





とどまる気配のない中国、個人投資家の投資熱。
過熱を気遣う声すら届きそうにありません。


“過熱”上海市場 個人投資家に好環境

有馬
「思わず大丈夫かなあと口にしてしまったんですけれども、取材をした上海支局の為井記者に話を聞きます。
この中国の株式投資ブーム、何かきっかけがあったんでしょうか?」

為井記者
「1つには、株取引に関するさまざまな規制が緩和されたことがあります。
去年11月には、香港市場との間で相互に株の売買ができるようになりました。
また、これまでは1つの証券会社を通じてしか株の売買ができませんでしたが、今年4月から複数の会社で取引ができるようになりました。
その結果、証券会社同士の顧客獲得競争が激化し、手数料が値下げされるなど、投資家にとってますます取引しやすい環境が生まれています。
もともと中国では現金で資産を保有していても物価上昇で目減りしてしまうことから、積極的に資産を運用しようという意識が強いことも背景にあります。」


“過熱”上海市場 バブルの懸念は?

藤田
「日本から見ると“バブル”じゃないかとちょっと心配になるんですけれども、中国ではそういった慎重な声はないんでしょうか?」

為井記者
「『これまでの評価が低すぎただけだ』などとして、急な株価の上昇を肯定的に受け止める強気な見方が少なくありません。
もちろん、市場関係者の間では、肝心の実態経済のほうは減速が鮮明になっているという慎重な指摘はあります。
こうした状況は急な下落を招く可能性があると警戒する声も聞かれます。
自己資金を大きく超えた投機的な動きや、投資経験の浅い投資家が多いこともあり、一度大きな下落に転じれば、多くの投資家が一斉に資金を引きあげるおそれもあると指摘するのです。
当局としても、急なスピードの株価上昇には警戒感を持っていて、新規の投資家はリスクを意識してほしいなどと呼びかけています。
世界第2の経済大国・中国の株価は世界経済にも大きな影響を与えるだけに、今後の株価の動きをさらに注意して見る必要があると思っています。」

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