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参考教材:『サーカス』 中原中也

中原中也について

1907年(明治40年)山口県生まれ。代々医者をしていた家庭で、父親は軍医だった。長男だった中也は跡継ぎとして期待されたが、中学生になる頃から文学に没頭し、県立山口中学を落第。京都の立命館中学に転校し、親元を離れる。この京都時代に詩と出会い、その後17歳で上京してから本格的に詩人への道を模索し始める。1934年、初めての詩集『山羊の歌』を文圃堂より出版。2冊目の詩集『在りし日の歌』は、中也自身が編集したが、出版されたのは中也が30歳で亡くなった翌年の1937年だった。
中也は、当時フランスから紹介された、「ダダイズム」という既成の秩序を否定する芸術運動や、「象徴詩」という言葉で何かを暗示しながら表現する詩の潮流に、大きな影響を受けた。彼自身の作品も、言葉を実験的かつ印象的に組み合わせたものが多く、こうした表現の新鮮さが中也の詩の魅力になっている。また、多くの詩が、青春時代特有の屈折した心情を歌っており、若い読者をとらえ続けている。

『サーカス』について

詩集『山羊の歌』におさめられている詩篇。
サーカスと言っても、時代や場所を特定した具体的なものではなく、イメージの世界を歌ったものだと言われる。「戦争」「疾風」「汚れ木綿」など、サーカスそのものの華やかなイメージとは異質な言葉を使い、独特の世界を作り出している。
表現上の特徴としては、心地よい音の響きがあげられる。七五調の言葉のリズムや、同じフレーズの繰り返しが、音楽的なリズムを生んでいる。また、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という中也オリジナルの印象的なオノマトペで知られている。

※ 撮影協力
サーカステントのイメージ映像は、木下サーカス株式会社の撮影協力による。