にっぽん縦断 こころ旅
「NHK にっぽん縦断 こころ旅」火野正平様
スタッフの皆様
こんにちは。いつもこころ旅の素敵な風景と正平さんのトークに元気をもらっています。
私の心の風景は岡山県津山市にある沼弥生住居跡です。初めてこの場所に来たのは11年前の夏です。
当時、県南に住んでいた私は前の仕事を辞め、新しい就職先を探している最中に津山を訪れました。そのとき立ち寄ったのが沼弥生住居跡でした。本来の目的は道を挟んだ向かい側にある、弥生の里文化センターだったのですが、センターを見学したあと、少し時間があったので、復元した住居や倉庫がある住居跡を見に行くことにしました。道路を渡って、小さな丘に上がっていくと、竪穴式住居のすぐそばから津山の町並みを下に見下ろすことができました。蝉の鳴き声がまだ賑やかで、辺りは夏草が青々としていました。汗が滲む季節だったはずですが、不思議と暑かった記憶はあまり残っていません。道路の上に架けられた小さな橋を渡って高床倉庫のある側にまわると、今度は木々や草の緑が濃く、また違った趣です。更に少し歩いて、近場の階段から道路に降りると、ちょうどその右手奥に、生い茂った木が緑のトンネルのように見える細い道が延びていました。
丘で見た景色も、その細い道も、なんだかとても居心地が良かったのを覚えています。こんな場所があるなら、この街で仕事をするのもいいかもしれない。ふと、そんなことを思いました。
それが決め手というわけではないのですが、その後、私は津山で就職することになりました。
今でも時々、疲れたときや気持ちを切り替えたいときは、住居跡に足が向きます。あの場所を歩いていると、気持ちのいい風が吹いたり、草や木の葉の色が美しかったりと、何かしら気持ちが穏やかになります。人生を変えたというよりはもう少しささやかなものかもしれませんが、私のこの街での時間を支えてくれたこころの風景です。正平さんに行ってもらえたらとても嬉しいです。よろしくお願いします。
令和元年10月12日
西川 理恵
追伸:住居跡への道は何本かありますが、
遠回りして北陵中学校の方から回り
込んだ方が、自転車を押すことになる
距離は短くて済むかと思います。
岡山県津山市
西川理恵さん(39歳)からのお手紙