にっぽん縦断 こころ旅
「にっぽん縦断 こころ旅」 番組の皆様
時々ではありますが拝見して、それぞれの方のエピソードを大切に辿ってくださり 一緒に物語の中に入ってきてくれる火野さん。 ほんと、心温まる人生に出会わせて貰っています。
天草 大江の山道から望む海岸、教会、地平線。 そこで父は生まれ育ちました。
母と2人でエビネ蘭採集に行く時も、孫達を裏山の畑へ連れて行く時も、父に欠かせない車でしたが、高齢になり家族は父に運転を止めて欲しいと願っても、父は なかなか素直に認めずにおりました。
しかし、ある夏の日、帰省中の私を突然ドライブに誘ってくれました。 父の隣に座り軽トラで出発! 大江村(の里)は山々に囲まれてるので直ぐに登り坂続きの山道を進むことになります。
途中の田畑を通ると、同級生のだ、知り合いのだ、と説明してくれます。
教会を眺め、登り進むにつれて広がる海の景色。 絶景です。
途中で降りて、2人で眼下に広がる海をじっと見下ろし、風を受ける。 父は久しぶりのくねくね運転のアクセルがきつかったのもありますが、ぼーっと立ってる様子は 何か寂しそうでした。 今日が最後の運転だと心に決めて出発したのは、母も私もわかっていました。
『オトちゃん!今日のドライブに私を誘ってくれてありがとう。 ましな言葉も掛けられないけど、大江の山々、この海岸沿いに走ったドライブ、目の前に広がる絶景を オトちゃんと眺めたこの時間、しっかり共有できたよ!』
父は3年前に他界しましたが、今、ほんの近くにきてる気がします。
三上秀美
“オトちゃん”と私達(4人の子供)は呼んでいました。
京都市
三上秀美さん(64歳)からのお手紙