にっぽん縦断 こころ旅
拝啓
こころ旅をいつも楽しく拝見しております。
私の心の風景は、「熊本駅のホーム」です。
中学二年生の三学期末に熊本を離れて五十五年経ちますが、この間、一度たりとも故郷を忘れたことはありません。
むしろ故郷を誇りに思い年々望郷の念は強くなってきています。
昭和三十八年三月、熊本駅の夜行列車のホームで恩人である担任の先生が次の様に言葉をかけて下さいました。
人は、「ありがとう」の数だけ賢くなり、
「ごめんなさい」の数だけ優しくなり、
「さようなら」の数だけ愛を知る。
前田君 負けるなガンバレ!
これを心の糧として頑張り通しました。会社生活では、「よかったね」「がんばったね」の数だけ人をやる気にさせ、うきうき、幸せにさせる事も知りました。
今では、定年となり私の人生において一番の出来事だったと感じています。
是非、元気なうちに九州新幹線に乗り熊本駅のホームに降り立って五十五年前の心の風景を確かめてみたいと考えています。
正平さん、チャンスがあれば、熊本駅のホームを訪れてください。
旅の安全を心から祈っています。道中お気をつけて!!
敬具
奈良県奈良市 前田敏一(としいち)
奈良市
前田敏一さん(69歳)からのお手紙