にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、是非いって欲しいところがあります。
「沖縄古宇利オーシャンタワー」です。
一昨年(平成28年)の5月に妻と沖縄に行きました。その時は、この旅行が最後になるとは夢にも思いませんでした。旅行から帰って半年も経たないうちに、妻は旅立っていきました。
旅行から帰って1か月ほどたったある日、妻は手首を骨折して手術をすることになりました。その時、血液検査をしたところ、すぐに大きな病院へ行くよう言われて、検査の結果、末期の肝臓ガンで手の施しようがなく、それから3か月ほどで亡くなりました。
沖縄は初めてだったので、4日間レンタカーであちこちを巡り、それぞれの名所や旧跡を今でも思い出すのですが、妻を亡くして一番心に残った場所に行って欲しいのです。
「沖縄古宇利オーシャンタワー」に行った時、エレベーターで上がり、「屋上に鐘があるので、一緒に行こう。」と言いましたが、「ここで待っている。」と言って屋上の一階下のベンチに座って、屋上までは上がりませんでした。
その時は、旅行の疲れでしんどいのだろうと思い、何も気にしませんでしたが、今、思うとその時は病気の影響で、しんどく 屋上までの階段が上がれなかったのだろう。
でも、その時、私は勿論妻も病気になっているとは露にも思わなかったものです。
私一人で鐘を鳴らしたのですが、妻に聞こえたのかどうか、定かではありません。
妻と私はよくケンカをする仲だったので、私のついた鐘の音など聞いていないでしょうが、正平さんの大ファンだった妻は、正平さんのついた鐘の音はきっと聞こえると思います。
是非、妻に聞かせてやってください。お願いします。
沖縄旅行から半年も経たないうちに、逝ってしまうなんて、その時は夢にも思いませんでした。
高井 洋一郎
兵庫県姫路市
高井洋一郎さん(68歳)からのお手紙