にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、チャリオ君、スタッフの皆さん こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。
さて、「私のずっと残したい、ふるさとの風景」は、常陸大宮市上檜沢(ひたちおおみやしかみひざわ)にある「松の木淵(まつのきぶち)」です。
松の木淵は、鮎釣りで有名な那珂川の支流である緒川にあり、流れが複雑なために川底がえぐれていて、そこで溺れたら二度と浮かんではこられないので、絶対に近づいてはいけないと言われているとても恐ろしい淵でした。
もう40年近く前の、私が小学生の頃のことです。その日はとても暑い日で、泳ぎに自信のあった親友と私は、親には内緒でその松の木淵に泳ぎに行こうということになりました。
怖さもありましたが、すごい冒険をしているという思いで、ドキドキしながら泳ぎました。溺れることもなく松の木淵を制覇したような気分になっていた時のことです。ズキッと左足に激痛が走りました。すぐに川から上がって左足を見ると、割れたビール瓶を踏んだことにより、足を貫通するほどの大怪我を負っていました。
親には内緒で来たので、なんとか隠そうと考えましたが、そんなことできるはずもなく、友達が私の家まで連絡に走ってくれ、祖母を呼んで来てくれました。
怒られると覚悟していましたが、それとは裏腹に、祖母は黙って私を家までおんぶして連れ帰ってくれました。小学校高学年だった私は、いけないことをした罪悪感、祖母におんぶされている恥ずかしさや申し訳なさで、その背中で涙を流したのを覚えています。
おかげさまで、怪我も完治し私も二児の父親となりました。
祖母も今では100歳近くになり、足腰が弱くなってしまったため施設に入所しています。最近、忙しいことを理由に面会に行くのも減っていましたので、これを機会に「おばあちゃん、あの時はありがとう」とお礼を伝えに行きたいと思います。
私が、大怪我の代償に祖母の大きな優しさを感じることのできた松の木淵を是非、正平さんに訪れていただきたいのです。
よろしくお願いします。
茨城県常陸大宮市
川西知宏
茨城県常陸大宮市
川西知宏さん(47歳)からのお手紙