にっぽん縦断 こころ旅
火野 正平 様
私はこの春、主人を亡くしました。
昨年秋頃より体調を崩し、今年に入って精密検査を受けた時には、ステージIVの肺癌との診断でした。
2月に入院し、化学療法による治療が始まりました。
第一段階の治療が終わり、次の治療迄の一時退院が決まっていたその日の朝に肺炎を併発し、翌日還らぬ人となりました。74歳でした。
主人は、こころ旅が大好きで、入院中も春の旅の放送を楽しみにしておりました。
でも、放送を見ることは叶いませんでした。
春の旅放送の第一日めの3月26日の告別式には、許可もとらずに{こころてがみ}を葬送の曲に使わせていただきました。
そんな主人と出会った頃から、毎年春になるとお花見に出かけたのが、真岡市郊外にある 井頭公園です。
主人の好きな いなり寿司のお弁当を持って、ゆっくり散歩したり、2人乗りのレンタサイクルで走ったり、池の鯉に餌をあげたり、昼寝をしたり、本を読んだり・・・・
普段の忙しさを忘れて、ゆっくり過ぎる一日が、これからもたくさんあるといいね、と話しました。
学生の頃、頭が良くて、喧嘩の強い人が理想の男性だった私に、両親は、そんな人には一生巡り会えないから、その辺の人で、適当に決めちゃいなさいと言っていました。
その後、出会った主人は、そんな私の理想に、どストライクでした。本人いわく、喧嘩をすれば強かったようですが、実際は、とても穏やかで平和主義の人でした。
これまで暮らした中で、喧嘩をしたことは一度もありません。
主人が亡くなって半年が過ぎました。
携帯電話も、解約できずにそのままです。
主人からの着信音(ジュリーのTOKIO)が鳴ることはもうありません。(主人の名前は、時夫 です。)
これからどれくらい、主人の思い出だけで生きてゆけるかわかりませんが、空の向こうで 早く来ぉい と呼んでいる主人に、また会った時に 良くがんばったなぁ と褒めてもらえるように、日々の暮らしを、私なりに精一杯生きてゆこうと思っています。
正平さん・チャリオくん・スタッフの皆様
秋の旅の完走をお祈りいたします。
お身体大切にどうぞご自愛ください。 かしこ
赤羽 千代子
栃木県宇都宮市
赤羽千代子さん(62歳)からのお手紙