にっぽん縦断 こころ旅
火野正平様 スタッフの皆様
出来れば一緒に旅したいなあ と思いつつ いつも楽しく拝見しております
私の心の風景は福島県白河市表郷の
「ビャッコイ(白虎葦)自生地」です
二年半前 自宅近くで行われた自然観察会に 当時小学二年生の息子と参加した際 フィールド観察の終わりに 明治時代に採取された貴重な植物標本を見ることができました
観察会の講師の先生の話では それはビャッコイといって明治時代に福島県で発見され、植物学者の牧野富太郎博士によって 会津藩の白虎隊にちなみ「ビャッコイ」と名付けられた水生植物なのだそうです
非常に珍しい植物で南半球の標高が高い地域と 北半球では白河市表郷にしか自生していないとのことでした
私と息子は自生している姿を見に行こうと約束し 観察会から大分経った十月のある日 妻と娘も加わって四人で白河市に向かいました
途中 南湖公園で昼の弁当を食べ 昼下がりになって表郷小学校近くのビャッコイ自生地を訪れました
風もない静かな秋の日で 木立の間からそそぐ光に湧き水がきらきらと輝いていました
その流れの中にビャッコイはかすかに揺れていました
この繊細な水草が 一説には氷河期を生き抜き 現在では地球上に点在して生き残っているのかと思うと 何となく不思議で まるで星空を眺めているかのような壮大な気持ちになりました
いつしか幼い子どもたちの将来のことを重ね合わせながらビャッコイを眺めていました
目立った花で人を魅了するわけでもない地味な水生植物ですが 湧水の流れの中に揺れるビャッコイの姿は 私にとって忘れることができない心の風景になりました
記憶では道はなだらかだったように思います
どうぞ いらっしゃってみてください よろしくお願いします
これからも素敵な旅が続きますように
栃木県大田原市
浅見武男(アサミタケオ) 四十七歳 男性
栃木県大田原市
浅見武男さん(47歳)からのお手紙