にっぽん縦断 こころ旅
人生を変えた忘れられない場所
幼い頃、両親と離れて入院生活を送っていた場所が秋保町(あきうまち)にありました。
当時、家に帰りたくて、帰りたくて、病院の窓から見える風景を見ては遠い家路を想い、涙をぬぐった記憶があります。
その病院の敷地内には大きな桜の木があり、夏になるとカブトムシや、クワガタをとりに朝早く友達と車椅子に乗って行ったこと、春は桜が満開になり、秋は赤や黄色の葉に彩られ、その桜の木に励まされたり、癒やされたように思います。
現在では、その病院は移転し、病院のあった場所がどうなっているのかわかりませんが、何年もの間、桜の木はあの場所で花を咲かせ 木々の葉を揺らし、病気と闘っている子どもたちと一緒に生きていたのだと私は思っています。
今も桜の木があるのなら、とても嬉しいです。
もしもそこに桜の木がなかったとしても、きっと私の心の中で風に揺れているような気がします。
大人になって秋保を訪れると、懐かしい気持ちになり、第二の故郷のようです。
温泉街を抜けるとそこはもう、のどかな風景が広がっています。
宮城県塩竈市 佐藤 由紀 48歳
宮城県塩竈市
佐藤由紀さん(48歳)からのお手紙