にっぽん縦断 こころ旅
拝啓
正平さん、チャリ男<ん、そしてスタッフの皆様、いつも心温まる放送をありがとうございます。
さて、私の心の風景は北海道上川郡美瑛町原野五線の旧東瑛(とうえい)小学校(今は廃校になって、地域の人達の活動の場となっているそうです。)とその近くを流れる置杵牛川(おききねうしがわ)の上にかかる「五線橋」です。
私は小学校1年生の時に帯広から美瑛町に引っ越してきました。ドキドキしながら先生の後について教室に入ると一人の女の子(マキちゃん)が声をかけてくれました。
その日からマキちゃんと私は、小学校はもちろん、中学、高校とずっと一緒に通っていました。
小学校時代、私達のクラスは男の子と女の子がとても仲が良く、学校へ行く時も帰る時も遊びながら通っていました。
帰るとき必ずと言っていい位、やる事は五線橋の欄干の上に立って手を広げ、そろりそろりと歩いて渡る、危険だけどちょっとした度胸試しをキャーキャー言いながらやっていました。
1年、2年、3年と学年が上がってゆくうちに6年の卒業する頃になると、欄干の端から端まで渡れるようになっているのです。
(これは親には内緒で子供だけの秘密の冒険でした。)
当時は木造作りの橋でしたので、欄干の幅は15cm位だったと思います。不思議なことに誰一人橋から川へ落ちる子はいませんでした。
春はおたまじゃくしに目を輝かせ、夏は川で魚を採り、秋は野山の木の実を採って食べ、冬は雪まみれになって、一生懸命遊びに夢中になっていました。
美瑛の美しい自然の中で育んだ心は、私の大切な宝物です。何も無かっだけれど、良い時代に育っていたことに、この齢になって気付き、幸せを感じています。
人の役に立つ仕事がしたいと、マキちゃんは看護師の道に進み、私は介護職の道に進みました。マキちゃんも私も定年まで働き、今は旭川市でお互いの家を行き来し、昔の子供だった日の事を「あんなこともあったね一、こんな事もあったね一」と大笑いしています。
正平さん、どうぞ、もう一度私達を懐かしい、小学校と五線橋に連れて行って下さい。お願いします。
北海道旭川市
本間百枝 (65歳)
北海道旭川市
本間百枝さん(65歳)からのお手紙