にっぽん縦断 こころ旅
正平さん こんにちは。
とうとう北海道に上陸しましたね。楽しみに待ってました。
両親と同居する事になり 士幌町に越して来て20数年が過ぎました。
大好きだった父が認知症になり、朝ごはんを食べたら「ずい分と長居をしました。今日は家に帰ります」と言って身支度を始めます。
私も逆らわず「もっと ゆっくりしていけば良いのに」と返します。鞄を持って玄関を出る父を見送り 少し時間を置いて 車イスで後を追いかけます。
疲れた頃を見計らって「お父さん 今日は何処に行きますか?良かったら座らないかい?」と言って車イスで散歩が始まります。
この辺は、農村地域なので 何処までも舗装道路で道幅も広いので車イスを押して歩くのには最適です。
春の桜、緑肥にする菜の花の黄色 秋まき小麦の黄金色(こがねいろ)、小学校での運動会の練習、保育園の子供の散歩を車イスでブラブラしながら眺め、取り留めの無い話をして帰宅したのが懐かしいです。
そんな風景は 大好きな父が居なくなっても変わる事無く 季節が巡る度に やって来ます。
今私は 保育園のお手伝いをしながら 小さな子供と手をつなぎ 父との散歩コースを歩いてます。
正平さん、こちらを通過する事が有りましたら 何も無い のどかな風景を 自転車を停めて 見て 下さい。
士幌町
佐藤 智恵
北海道士幌町
佐藤智恵さん(58歳)からのお手紙