にっぽん縦断 こころ旅
「にっぽん縦断こころ旅2017春」火野正平様
この番組はいつも楽しみに見ています。家に居ながらにして日本中を旅した気にさせてくれるお得な番組ですね。今回、富山県へも来て下さるということで楽しみにまっています。
ご紹介する宮島峡一の滝の岩盤は日本列島の形ができた7000万年前から100万年前の間に生じた地層といわれ、岩床一体に多くの甌穴(おうけつ)があります。学術上貴重なもので滝とともに富山県の天然記念物に指定されています。是非その岩盤に立ってください。私の大切な思い出の場所へ来てくださる事を心からお待ちしております。
(思い出の場所・風景)
富山県小矢部市 宮島峡一の滝
太古の昔から流れ続ける一の滝。水量の多い時には川幅いっぱいに流れ落ちあたかも「小さなナイアガラ」といわれます。 春は新緑、夏は涼、秋は紅葉を楽しむ人たちが沢山訪れます。
(一の滝での大切な思い出)
「一の滝(いちのたき)」、は私と亡き義母(はは)との大切な思い出の場所です。義母(はは)には3人の子があり、長男はガンで今から10年程前に他界。私は次男の妻です。7~8年前、私は認知症が進む義母(はは)を施設から連れ出し、車の助手席に乗せ少しの時間ドライブをしていました。
そんな時、義母(はは)は決まって長男の事を「死んだがやったけ?どうして死んだ?病気やったがけ?」
と聞きます。義母(はは)は自分の子供が、先に亡くなった事をどうしても受け入れるごとができなかったのです。私の答えは決まって「おばあちゃん、がんという病気で死なはったがやぜ」というと 「ふ~ん、死んでしもた?がんで?」と呟いて下を見るのです。同じ会話を繰り返すのが常でした。
その日は、天気の良い秋の日だったので、宮島峡一の滝(みやじまきょういちのたき)迄来ました。一の滝を見た義母(はは)は突然 「あら~滝や!子供等が小さい時、ここへよく連れて来たわ!」「滝の音、昔と一緒やわ」と、支えられながらよろよろと歩きだし柵にもたれて「滝のあこに座って皆でおにぎり食べたわ。おいしかったわ~」と嬉しそうに指さします。滝から吹いてくる風で義母(はは)の短髪の白髪は巻き上げられていました。いつまでも滝の音を聞きながら懐かしそうに見つめる義母(はは)。その顔は、幼い子供が喜んで水遊びをするのを見ている優しい穏やかな母の顔でした。もしかしたら、亡くなった息子の姿でも見えたのかと思った位でした。その時持っていたお菓子を分け合って食べたのですが、義母(はは)が入れ歯の音をさせながら食べるお菓子の、甘い匂いが「ふわーっ」と私にも届いた事を今も忘れません。翌日、「一の滝」へ行った事を話しましたが、義母(はは)の記憶には何も残っていませんでした。あんなに楽しそうに幸せそうな顔をしていたのに~。その後、再び一の滝迄二人で行く事はできませんでした。92歳で世を去った義母(はは)。介護で不平、不満を夫に向けていた私を、今では恥ずかしく思っています。いつも、にこにことして時にはおっちょこちょいであった義母(はは)は、今では私の理想の老後の姿となっています。義母(はは)との大切な思い出の場所「一の滝(いちのたき)」、これからも足を運びます。
富山県小矢部市
山﨑康子さん(69歳)からのお手紙