にっぽん縦断 こころ旅
火野正平様、チャリオ君、スタッフの皆様、いつも楽しく拝見しております。そして、たくさんの素敵なこころの風景を紹介していただきありがとうございます。
このたび、広島県に来ていただけるとのことでしたので、手紙を差し上げました。
私が紹介したいこころの風景は、広島市中区吉島西にある、吉島稲生(いなり)神社とその敷地にあるクスノキです。
私は、仕事の関係で広島市に住み始めてから20年以上経ちますが、何度か転々とし、今住んでいる吉島地区では、8年が経とうとしています。
自分の家から広島市中心部に向かう時に路線バスに乗るのですが、ある日、バスに乗って外の風景を眺めていた時に、混み入った住宅地の屋根の上に大きな木の茂みが見えることに気が付きました。
こんな密集した住宅地に大木なんてあったかなぁ、あの木は一体なんだったんだろうなぁ?と不思議に思ってしまい、後日、その木があるところに行ってみました。すると、そこには小さな神社と大きな木があったのです。
それが、吉島稲生神社とクスノキでした。
吉島稲生神社は住宅地に囲まれた狭い敷地の中に、小さい拝殿やもっと小さい神殿があり、お世辞にも立派な神社というわけではないのですが、これらをやさしく包みこむようにクスノキがそびえてたっており、このクスノキが神社はもとより、周辺の家々までも守っているように見えるのです。
実際、昭和20年8月6日、原爆投下により広島市は壊滅的な被害を受けましたが、この神社にあった当時の社務所は、クスノキに守られて倒壊の被害はまぬがれたそうです。
この神社を発見してからは、元気がないときや、嫌なことがあったときなどに、吉島稲生神社のクスノキの下に行き、この木のように頑張らないといけないんだなと、自分に言いきかせるようになりました。
原爆の被害を受けてもなお70年以上元気にそびえたっているこのクスノキが、いつまでも地域のシンボルツリーであってほしいと願わずにはいられません。
大きな木が大好きな火野正平様にぜひ訪れていただき、この木のパワーを感じてもらえればと思います。そして、このパワーとともに北海道までの長い道のりを無事に過ごしていただければと思います。
広島市中区吉島新町
中嶋 正徳
広島県広島市
中嶋正徳さん(46歳)からのお手紙