にっぽん縦断 こころ旅
ずっと残したい、ふるさとの風景
三重県に正平さんが来てくださると知ったときから応募しようと思ってました。私が幼稚園のころ、父と行った海水浴の伊勢市の大湊の海です。50年くらい前になります。
私は皆が通うオルガン教室に通っていました。そこで友達がよく 「今日は家族ででかけるので早く帰らせて下さい」って早引きしていくのを羨ましく見ていました。
ある日、うちも父が「今日仕事おわったら海つれてったるでな」と言って仕事にいきました。で、私はうれしくてオルガン教室の先生に 「今日、とうちゃんと海に行くので早く帰らせて下さい」って言って早引きして帰ってきました。
でも父はまだ帰ってなくて母からは「そんな早う帰ってこんでもよかったのに」といわれ、お昼ごはんを食べて待っていました。
そのくらい、嬉しくて嬉しくて、父が帰って来て、大湊の海につれてってもらい、父から「もう、手しわしわやで帰ろか」といわれても帰らず、父を困らせたのを憶えています。
わけあって、早くに父と離れて暮らしたので、父との一番の思い出です。大湊小学校の裏の海やと思います。
伊勢の大湊は強力(ごうりき)造船所があり父は船のペンキ塗りをしていたので、進水式の記憶も少しあります。
大人になってから大湊に何度か行くと父との海水浴を思い出します。
父がそこにいそうで。
正平さん、もし良ければ訪ねてみて下さい。
三重県 松阪市 高尾 佳代子 56歳
三重県松阪市
高尾佳代子さん(56歳)からのお手紙