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堀合るり子さん(ほりあい・るりこ/当時48歳)岩手県山田町

震災から3か月後に次男の紳弥(しんや)さんが通う中学校の近くで亡くなっているのが見つかりました。紳弥さんを迎えに行き津波と火災に巻き込まれたとみられます。

「こころフォト」ニュースリポート

  • 11月6日放送

    母の思い胸に大学へ

    (おばんです いわて)

震災から8年を迎えて

次男の紳弥さんより

震災から8年という月日が経ち、中学2年だった俺も今月末には大学卒業を控えています。男3人で喧嘩したり、ふざけあったりしている俺らをおかあは見守ってくれていますか?

起きてしまったことだから受け入れようと思っていたけど、津波の報道を見ると、あの時なぜ高台へ逃げなかったの?どこに行こうとしていたの?責めるつもりは全く無いけど、心のどこかで問い続けていた自分が居ました。やっぱり悔しい思いが強かったのかもね。

その思いもあって大学の卒業研究で山田の人の当時の津波避難行動についての研究をやったよ。研究の過程で悩んだときもたくさんあったけど、おかあの事を思い出すと落ち込んでられないな、踏ん張らないとってすごく原動力になりました。研究結果は自慢できるほど大きな成果ではないけど、問い続けてきた自分の疑問を解き明かす一歩になったような気がします。4月からは大学院でさらに研究を続けます。

災害は無くせないけど人は守れると思う。自分の力でどこまで出来るか分からないけど、おかあ始め遺体安置所で見たたくさんの人たちのような犠牲を減らせるような研究をしていきたい。だからもう少しだけ、力を貸してね。

紳より

次男の紳弥さん(18歳)からのメッセージ
※震災のあと父親の勝實(かつみ)さん(59歳)と兄の康介(こうすけ)さん(24歳)の3人で暮らしています。

震災直後はこれからの生活に不安もあったけど男3人で冗談を言ったりケンカしたり相談しあいながら元気に生活しています。
家族4人で過ごしていた頃を思い出してみると、おかあに一番迷惑かけてきたのは俺だった気がします。
「生まれてきた時は2100gの未熟児、そして仮死状態でほんとにどうなるかと思った」と小さい頃の写真を見ながら語っていた姿が浮かんでくる。でもその俺の写真もすべて流され、残ったのは数枚だけ。おかあが持って行ったのかなって思ってるよ。
おかあが帰ってきたのは4ヶ月くらい経った6月30日だったね。
DNA鑑定の結果で確定されたけど遺体収容日時が3月17日で、DNAをすぐ採っていればもう少し早く迎えに行けたのかと思うと、気がかりでなりません。
でも時間はかかったけど自分たちの所に帰ってきてくれたから、おとうも兄ちゃんもほっとしたんだよ。
避難所の人たちもおかあの遺骨に手を合わせてくれたり泣いたりしてくれたんだよ。
おかあと面識がない人も拝んでくれた。嬉しかった。最期は独りだったおかあをたくさんの人が見送ってくれたんだもん。
俺らも避難所や学校でたくさんの人たちに支えてもらったし、応援してもらった。これからは俺らが恩返ししていく時だよね。俺らが恩返ししていけるのはやっぱり神楽だよね。
兄ちゃんも俺もおかあが望んでいた通り、踊り、太鼓、笛の三拍子揃って出来るようになったよ。
神楽を見てもらってお世話になった人たちが笑顔になってほしいと思ってやっています。
これからももっと練習してもっともっと上手くなっておかあまで拍子を届けたいです。
俺はこれから土木の勉強をして深い知識と高い技術を身に着け道路工事などで山田の復興に関わっていきたいと思っています。
俺が目指すものは災害に強く、使いやすい道路や橋です。
東日本大震災のような大津波が山田を襲っても壊れず、なおかつ人命を守れる道を作っていきたい。それが震災を経験した自分たちの使命だと思っているから。
おかあがよく言っていた自分の意思をしっかり持ち最後まで曲げるなを心がけて、いつか他の人から信頼される大人になっていきます。
14年間育ててくれてありがとう。
これからも見守っててね。

「こころフォト」の動画をご覧になった埼玉県の本橋さんより

東日本大震災はとてもおそろしいものでした。現在まで五年以上経ってそう思います。
動画で、紳弥くんのお母上様は、ご子息が通われていた中学校の近くで見つかったことを知りました。
また、ご子息がお母上様へ挨拶なさっている姿を拝見しました。
お母さんとひとつなんだなあと思いました。私も少しでも見習いたいと思います。
「家族の宝物」の写真も拝見させて頂きました。
紳弥くんのお兄さんと紳弥くんの、大きそうな身体が印象に残りました。
短い文章で恐縮ですが、これで失礼いたします。

堀合るり子さんへのメッセージ・写真を募集しています。

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