NHK高校講座

総合的な探究の時間

Eテレ 春・夏・冬特別講座放送
※この番組は、2018年度の新作です。

総合的な探究の時間

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今回の学習

第4回

あなたはどのように社会の役に立てるか?(2) 〜こっちゃんの場合〜

  • 番組監修:元・東京コミュニティースクール校長 市川 力
学習ポイント学習ポイント

あなたはどのように社会の役に立てるか?(2) 〜こっちゃんの場合〜

総合的な探究の時間とは?
  • 探究的な学習とは?

総合的な探究の時間、第4回です。
「総合的な探究の時間」は、与えられたテーマから、みなさんが自分で課題を見つけて調べる学習です。

まず 、あなたなりの課題を設定し、その課題について自分の力で調べ、考察してまとめる。
これを繰り返すことで、「自分で問題を解決できる力」が身についていきます。


この学び方は「総合的な学習の時間」でも活用できます。

テーマ「あなたはどのように社会の役に立てるか?」
  • こっちゃん
  • 市川力さん(先生)と、あんずさん

今回、探究的な学習に取り組むのは、都内通信高校の2年生、こっちゃん。
動物や自然が大好きで、人と話すのが苦手な性格だそうです。

先生は、市川力(いちかわ・ちから)さん。
前回同様、まずは先生と生徒、みんなでオリエンテーションです。
都内通信高校の3年生あんずさんも参加します。

  • 今回の学習のテーマ「あなたは どのように社会の役に立てるか?」
  • 学校の活性化など身近な社会参加

今回の調べ学習のテーマは、「あなたは どのように社会の役に立てるか?」です。
このテーマを言い換えると、「社会参加」
社会参加には、身近な人の役に立つことから本格的なボランティア活動まで、さまざまなものがあります。
あなたがどのような社会参加をやってみたいか、これがスタートラインです。

  • 社会の役に立てないと話すこっちゃん
  • どうしたらよいかわからないときは?

先生「こっちゃんは、自分は社会の役に立てると思う?」

こっちゃん「全然(役に)立てないと思います。」

このように感じていながらも、人のために何かしたいという気持ちはあるといいます。
しかし、どうしたらよいかわかりません。

「課題」を設定する
  • 番組サイトから課題設定シートをダウンロード
  • 自分の好きなこと・興味のあることを課題に設定しよう

こんなときは「課題設定シート」を活用しましょう。
番組サイトからダウンロードができます。

最初に@の「あなたの課題」を記入します。
「わたしなら、〇〇のために、△△をやりたい」と書いてみてください。

先生「課題を決めるとき、自分の好きなことややりたいことを選んだ方がいい。あんまり『これでやった方がいいかな?』みたいな感じで選んじゃうと続かなくなるから、自分の好きなモノや、やりたいことを調べるといいと思います。そんなものを課題に決めてみて。」

ポイント:課題を設定するときは自分の好きなこと・興味のあることから探してみよう

  • 「調べること」「調べる方法」をAに記入
  • 調べる方法は、4択とその他

次に、あなたの課題を探究するために必要な「調べること」「調べる方法」をAに記入します。
調べる方法がわからない場合には、右画像の4つの選択肢のうち、自分にできそうなことから始めましょう。

  • こっちゃんの課題は緑を増やすこと
  • 緑化がなぜ社会のために役立つの?

こっちゃんも、自分の課題をシートに記入しました。

こっちゃん「わたしなら、人または動物のために、緑を増やすことをやりたい。町に自然(緑)を増やす方法は何があるのか、町のえらい人に聞く。」

先生「えらい人って誰?」

こっちゃん「市長さん?」

緑を増やすことがなぜ社会のために役立つのかと問われ、「緑は和むから・ほんわかする」と答えるこっちゃん。
こっちゃんが「社会をほんわかしたい」と考えるのは、ストレスがなくなると考えているからだそうです。

  • 行き詰ったときはやり方や、課題を変えてもいい

こっちゃんの「課題」「調べること」「調べる方法」が決まりました。
これからこっちゃんの探究学習・ステップ1がスタートします。

ここからは先生は手伝いません。
そこで、調べるときに大切なポイントを伝えます。

先生「失敗したり、もうこれ以上調べられないとなったとき、やり方変えてみてもいいです。失敗は全然むだじゃないから、とにかく何度でもチャレンジしてみて。」

ポイント:調べる途中で失敗したり、行き詰まった場合は「課題」「調べること・方法」を見直してみよう

探究・ステップ1がスタート!
  • 担任の先生に市役所への問い合わせをすすめられた

まずは町のえらい人がどこにいるのかを調べるために、こっちゃんは「まわりの大人に聞いてみる」ことにしました。

職員室に行き、担任の先生に質問すると、市役所の中に公園や街路樹を担当している部署があるかもしれないと教えてくれました。
担任の先生に聞いたことで、新たな情報を手に入れました。

  • 困ったときには友達の力を借りてもOK
  • 土日は市役所は休み

市役所に問い合わせをしてみることにしたこっちゃん。
連絡先をネットで調べることにしますが、こっちゃんはスマホを持っていないので、同じく探究学習に取り組んでいるあんずさんの力を借りることにしました。

ポイント:困ったときは、友だちの力を借りよう
ポイント:電話をかける前に、質問したいことをまとめておく


少し不安な様子のこっちゃんですが、あんずさんの「(メモを)このまま言えば大丈夫」という励ましで、勇気を出して電話をかけます。

つながったの市役所の警備室。
質問したいということを伝えると、「今日は土曜日で市役所はお休み」という返事が返ってきました。
市役所はいつもやっているものだと思っていたこっちゃんでしたが、通常、土日・祝日はやっていません。
市役所には後日電話をすることにしました。

ここまで調べて考察したことをまとめる

ここまで調べて、考察したことを課題設定シートのBにまとめました。

・町のえらい人は市役所にいる
・市役所にも休みがある
・街路樹を担当している人がいる
・街路樹を担当している人に話を聞くためには、休みでない日に連絡をする

ということがわかりました。

続いて、次のステップの課題と調べること・調べる方法を、2枚目の課題設定シートに書きます。

  • 調べる方法が「えらい人に聞く」から「市役所の担当に聞く」へ

こっちゃんは、課題設定シートに

あなたの課題:人または動物のために緑や自然を増やすことをやりたい
調べること:町に緑(自然)を増やす方法は何があるのか
調べる方法:街路樹を担当している人に話を聞く

と書きました。

「町に緑を増やす」という課題はそのままで、調べる方法が「えらい人に聞く」から「市役所の街路樹担当の人に聞く」に変わりました。
担任の先生と話したことで、自分では気づかなかった「調べる方法」に気づいたんですね。

ステップ2 「調べること」が変わった!
  • 市の広報誌で生け垣新設の助成・補助について知る
  • 調べること方法を変更し課題設定シートを書き直してOK

しかし、次の探究学習までに自宅でいろいろと調べたこっちゃんから、「調べること」を変えたいという相談がありました。
自分が住んでいる町でブロック塀の生け垣化が進められており、それに注目してみたいといいます。
市の広報誌に載っていた記事を見て、ブロック塀の生け垣化が町に緑を増やす方法だと気づいたようです。

ポイント:課題や調べること・調べる方法を変更したくなったら、いつでも課題設定シートを書き直してOK!

課題設定シートは、次のように変わりました。

あなたの課題:人または動物のために緑や自然を増やすことをやりたい
調べること:ブロック塀の生け垣化について
調べる方法:担当の人に聞く

  • ステップ2からは調べる方法の選択肢を増やそう

ステップ2からは上図のように、調べる方法の選択肢を増やしてみましょう。
より深く調べるためには、対象に直接アプローチする必要が出てくるかもしれません。
こっちゃんが選んだ調べる方法は「現場に問い合わせをしてみる」です。

学校でスマホを借り、市役所の窓口に電話をかけます。
まず質問したのは、ブロック塀の生け垣化の、1年あたりの利用者数です。
担当者によると、昨年度は2件の利用があったといいます。
話をしているうちに、さらに聞いてみたいことが出てきたようです。

  • 高校生が緑化活動に参加することは可能?
  • 市内にボランティア団体がいる

こっちゃん「私は今、高校生なのですが、私も緑化活動に参加することはできますか?」

担当者「それは可能ですね。いろいろ。」

こっちゃん「具体的に何をほかにしているんですか?」

担当者「例えばですけど、市内のエックス山ってご存じですか。そこで市民のボランティア団体さんがいるんですよ。やりたいと言ってもらえればそういうところにも参加ができますね。」

こっちゃん「いろいろ教えて頂きありがとうございます。では失礼します。」

  • 地元のボランティアについて調べる
  • 地元の池で自然保護ボランティア活動が行われている

電話をしてみて初めて、自分にも参加できるボランティアがあることに気づいたこっちゃん。
学校でタブレットを借り、さっそくネットで地元のボランティアにはどんなものがあるか調べてみました。
すると、池や遺跡等でもボランティア活動が行われていることがわかりました。

東京・国分寺市にある「姿見の池」で、自然保護のボランティア活動が行われているようです。
ところで、池の手入れがどのように「緑を増やすこと」につながるのでしょうか。

こっちゃん「水草があって、それを虫とかが食べて、鳥が来てフンを落とすから緑につながっているんじゃないかなって思います。」

  • 課題が変わった
  • ボランティア団体にメールする

こうして、こっちゃんは次の課題、調べること・調べる方法を、次のように設定しました。

あなたの課題:自然保護のために自然保護のボランティアをやりたい
調べること:自然保護のボランティア
調べる方法:ボランティアに参加して体験する

市役所に問い合わせをしたことで、こっちゃんの課題は「ボランティアに参加して体験する」という積極的なものへと大きく変化しました。

こっちゃんの課題が変わったのは、なぜなのでしょうか。

こっちゃん「(緑を増やす方法を)調べていて自然保護のボランティアが出てきたから、こう変わったんじゃないかって思います。緑を『増やす』のではなくて、『維持する』に変わったと思います。」

早速こっちゃんは、参加希望のメールをボランティア団体に送りました。

ステップ3 ボランティアに参加してみる
  • ボランティア活動に初めて参加
  • 近隣大学のサークルや高校生も参加する

その後、ボランティア団体から連絡をもらい、地元の「姿見の池」の緑化活動に参加させてもらえることになりました。
この団体には近隣の大学のサークルメンバーや高校生も多数参加し、池の緑化・保全活動を定期的に行っているといいます。

田中佐季さん「普段、植物を引っこ抜かれちゃったりして、植え直すという作業だったり、そういうのを主に、私たちはやっていて……。」

いよいよ、ステップ3の探究学習、緑化ボランティアの体験スタートです。
この日の作業は、公園の中にある花壇に植物を植えること。
自分のことを話したり、ほかのメンバーに質問したりと、会話をしながら作業を進めます。

  • ボランティアメンバーに質問
  • 池の外来種駆除にも参加

こっちゃん「なんでボランティアを始めたんですか?」

田中佐季さん「きっかけは海外で住んでいたときに、ボランティアをすすめられて、その時から始めたんですけど。帰国したときに、国分寺のボランティアセンターで活動が月に2回近所であるから、参加してみないかってお誘いを受けて。で、楽しそうだなって思ってやってたら、もう2年目になっちゃって……。」

気温30度を超える中、およそ1時間、花壇の整備を行いました。

さらに、こっちゃんは姿見の池にいる外来種の駆除にも参加しました。
姿見の池ではホタルを復活させる活動も行っていて、その妨げになるアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメの駆除を行っています。

この日はミシシッピアカミミガメを捕獲する罠の確認も手伝いましたが、罠は空っぽだったようです。

  • 世代を越えて価値観を共有できるのがやりがい
  • 目に見える成果がやりがい

作業が終わって、みなさんにインタビューをさせてもらいました。

こっちゃん「自然保護のボランティアのやりがいは何ですか?」

橋本正美さん「自分たちで作った目標を達成するために、いろいろなことを実践していく。特に今、クローバー(大学のボランティアサークル)の皆さんなどといっしょにやれて、世代間を越えて価値観を共有して、こういう形まで来られたのがいちばんうれしいですね。」

谷澤孝拓さん「自分が植えた植物が成長したりして、目に見えてわかるやりがいがやっぱり自分は嬉しいです。」

  • 参加して楽しかったというこっちゃん

橋本正美さん「参加してどんな風に思いましたか?」

こっちゃん「もともと土いじりが好きなので、植物を植えたりして楽しかったです。」

こっちゃんは初めてのボランティア体験で何に気づき、どのように考えを深めたのでしょうか。

これまでの探究をレポートにまとめる
  • ボランティアの人に支えられていることに気づいた
  • ゴミ拾いや祭りの手伝いといったボランティアもある

ここまでの3つのステップで調べたことを振り返り、レポートにまとめます。

先生「(ボランティアを)やってみて、何か自分なりに気づいたことはありますか?」

こっちゃん「いつも通っている公園を、ボランティアの人が環境づくりとかをやっているんだなって思いました。最初、植物とか緑を増やしたくて、今日やったことは花を植えることだったので、それにつながるんじゃないかなと思いました。」

先生「これからさらに調べてみたいなって思うことがあったら教えてくれますか?」

ボランティア参加者に、ほかにどのようなボランティアをやっているか質問したところ、別の場所でのボランティア活動やゴミ拾い、またお祭りの手伝いという答えも返ってきました。
この中で、「自分でできそうな、これからやってみたいものは?」という先生の問いに、ゴミ拾いと答えたこっちゃん。
ゴミを拾うことは環境保全に役立つと思ったからだといいます。

  • ステップ1:町に緑を増やす
  • ステップ2:ボランティアというキーワードに気づく

ステップ1で、こっちゃんが設定した課題は「町に緑を増やす」でした。

ステップ2では市役所に問い合わせをしたことで「ボランティア」というキーワードに気づきます。

  • ステップ3:ボランティアに参加し体験
  • ステップ4:ゴミ拾いに参加するという次の課題へ

ステップ3では「ボランティア活動に参加して体験する」という課題へと変化していきました。

ネットから情報を発見したり、電話や人に会って話を聞いたりしたことで、次々と新しい課題が見つかり、こっちゃんの考えは深まっていきました。

  • 今後やってみたいこと
  • 自分が住む町の環境のために自然保護ボランティアをしたい

こっちゃん「今後やってみたいことは、ほかの自然保護のボランティアに参加する。ほかの自然保護のボランティアは、玉川上水と環境広場とかゴミ拾いなど。3年生になるまでの、あと四、五か月に、自分が住んでいる町のゴミ拾いに参加する。」

「これから自分が住んでいる町の環境のために、自然保護のボランティアをしたい」と言うこっちゃんの探究は、まだまだ続いていきそうです。


あなたなら、どのように社会の役に立てるでしょうか?

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