NHK高校講座

総合的な探究の時間

Eテレ 春・夏・冬特別講座放送
※この番組は、一部昨年度の再放送です。

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今回の学習

第3回 社会参加

あなたはどのように社会の役に立てるか?(1) 〜あんずさんの場合〜

学習ポイント学習ポイント

あなたはどのように社会の役に立てるか?(1) 〜あんずさんの場合〜

  • 自分で課題を見つけて調べる学習
  • 課題を設定し、その課題について自分の力で調べ、考察し、まとめる

総合的な探究の時間、第3回です。
「総合的な探究の時間」は、与えられたテーマから、みなさんが自分で課題を見つけて調べる学習です。

まず 、あなたなりの課題を設定し、その課題について自分の力で調べ、考察してまとめる。
これを繰り返すことで、「自分で問題を解決できる力」が身についていきます。


この学び方は「総合的な学習の時間」でも活用できます。

  • あんずさん
  • 先生と生徒みんなでオリエンテーション

今回、探究的な学習に取り組むのは、都内通信高校の3年生、あんずさん。
好きなものはミュージカルや読書。
性格はがんこで、一度決めたら突っ走るタイプだそうです。
先生は、市川力(いちかわ・ちから)さん。
まずは、先生と生徒みんなでオリエンテーションです。

  • あなたはどのように社会の役に立てるか?
  • 社会参加の例

今回のテーマは、「あなたはどのように社会の役に立てるか?」です。
このテーマを言い換えると、「社会参加」
社会参加には身近な人の役に立つことから本格的なボランティア活動まで、さまざまなものがあります。
あなたがどのような社会参加をやってみたいか。
これがスタートラインです。

先生「あんずさんは社会って聞いて、どんなことをイメージしますか?」

あんずさん「お年寄り。なんか、社会ってお年寄りが多いじゃないですか。」

先生「自分が社会の役に立つ必要があると思いますか?」

あんずさん「私はあんまり思わないです。社会の役に立つことより、自分で精一杯っていうか。」

  • 「あなたの課題」を記入する
  • 課題を設定するときは、自分の好きなこと、興味のあることから探してみよう

こんな人はぜひ、「課題設定シート」を活用してみましょう。
番組サイトからダウンロードができます。

最初に@の「あなたの課題」を記入します。
「わたしなら、〇〇のために、△△をやりたい」と書いてみてください。

先生「課題を決めるとき、自分が好きなことや、やりたいことを選んだ方がいい。なぜかわかる?」

あんずさん「やってて楽しいから。」

先生「そう!あんまり『これでやった方がいいかな?』みたいな感じで選んじゃうと続かなくなるから、自分の好きなことや、やりたいことを調べるといいと思います。」

ポイント:課題を設定するときは自分の好きなこと・興味のあることから探してみよう

  • 「調べること」「調べる方法」を記入する

次に、あなたの課題を探究するために必要な「調べること」「調べる方法」をAに記入します。

調べる方法が分からない場合には、

・自分でやってみる
・ネットで調べてみる
・まわりの大人に聞いてみる
・図書館に行ってみる

この4つの選択肢のうち、自分にできそうなことから始めましょう。

  • あんずさんが課題設定シートに書いた課題

あんずさんが課題設定シートに書いた課題はこちら。

あなたの課題:わたしなら「図書館を利用する人」のために、「メジャーではない本の紹介」をしたい
調べること:図書館であまり借りられていない本をたくさんの人に借りてもらうにはどうすれば良いか?
調べる方法:図書館で働いている人に相談する。

先生「なんでそういうふうに思ったの?」

あんずさん「図書館が好きで、週に一回必ず行くんですけど。私が読みたい本ってだいたい書庫とかにあるんですよ。書庫にある本って、自分で調べないとたどり着かないじゃないですか。もったいないのになって思って。」

  • あんずさんの探究学習・ステップ1
  • 調べる途中で失敗したり、行き詰まった場合は「課題」「調べること・方法」を見直してみよう

あんずさんの「課題」と「調べること」「調べる方法」が決まりました。
これから、あんずさんの探究学習・ステップ1がスタートします。

ここからは先生は手伝いません。
そこで、調べるときに大切なポイントを伝えます。

先生「失敗したり、もうこれ以上調べられないとなったとき、やり方変えてみてもいいです。失敗は全然むだじゃないから、とにかく何度でもチャレンジしてみて。」

ポイント:調べる途中で失敗したり、行き詰まった場合は「課題」「調べること・方法」を見直してみよう

  • ネットで地元の図書館の連絡先を調べる
  • あんまり人気のない本を1年に1回特集する

メジャーではない本を、読んでもらう方法とは?

これを図書館で働いている人に聞くために、ネットで地元の図書館の連絡先を調べ、さっそく電話をしてみます。

図書館の方「例えば、あまり借りられていない本を、1年に1回くらい特集をして提供をするということがあります。」

あんずさん「あんまり人気のない本を1年に1回特集をして、おすすめの本をチラシとかにするっていう。私、それは考えていなかったんで、電話してよかったです。」

  • 学校の図書館に行ってみる
  • 図書館の壁に貼られた記事や、本の帯を入念にチェックする

「メジャーではない本も、PRしておすすめすればいい」ということに気づいたあんずさんは、本のPRについて調べるために、学校の図書館に行ってみます。
図書館の壁に貼られた記事や、本の帯を入念にチェックするあんずさん。
どうやら、人気がある本のPRの秘けつを調べているようです。

あんずさん「特徴がわかりました。帯に書いてあるキャッチフレーズっていうか、本の良さを引き出す文章の書き方。」

  • 有名な作者っていうことと、帯にインパクトのある言葉がある
  • 考察したことを課題設定シートの3にまとめる

ここまで調べて、あんずさんが気づいたことは?

あんずさん「図書館で人気がある本の作品の特徴は、有名な作者っていうことと、帯にインパクトのある言葉があるっていうことで、人気作品の帯には、物語の特徴を一文で表しているけど、あんまり読まれていない作品は、ただでさえあんまり知られていない作者なのに、作者名が目立っているから、あんまり読む気にならないっていうところに気がついたことです。」

考察したことを課題設定シートのBにまとめました。

  • 2枚目の課題設定シート
  • ステップ2

続いて、次のステップの課題と調べること・調べる方法を、2枚目の課題設定シートに書きます。

あなたの課題:わたしなら「図書館を利用する人」のために、「メジャーではない本の紹介」をしたい。
調べること:メジャーではなく、あまり人気はない本を手にとってもらうための特集をどうするか?
調べる方法:自分が紹介したい本について、わかりやすくまとめたものを、学校の図書室に置いてもらう。

課題はそのままで、調べる方法が「図書館の人に聞く」から「紹介したい本についてまとめたものを学校の図書室に置いてもらう」と変わりました。
「人気がない本もPRをすればよい」ということに気づいたことで、「調べること」「調べる方法」が変化しました。

  • 調べる方法の選択肢を増やす
  • 紹介したい本

ステップ2からは調べる方法の選択肢を増やしてみましょう。

あんずさんが選んだ調べる方法は「現場へ取材に行ってみる」です。
自分の課題を解決するために、より直接的なアクションを起こすようです。

あんずさん「私が持ってきた三冊の本の紹介文を図書室に置いてもらう交渉をします。まずこれが目に止まってもらえるように、結構時間をかけて考えたので、見てもらえるかなと思います。」

あんずさんは紹介したい本を3冊選んで、その紹介文をイラストも入れて手作りしました。
果たして、この思いが学校の図書館司書の先生に伝わるでしょうか?

  • 司書の先生に交渉
  • PRスペースができた

司書の先生「図書館の丸いテーブルがあるんですが、入口の入ったところがみんな手に取りやすいところなので、せっかくポップも作ってきてくれたのでPRしたいと思います。」

なんと、図書館入口・正面のいちばん目立つスペースに置かせてもらえることに。
準備してきた紹介文も合わせてディスプレイして、あんずさんこん身のPRスペースができあがりました。
はたして、借りてくれる人は現れるのでしょうか?

  • こんなに人が来ないんだ…
  • 行き詰まった時は一度取材した人におう一度相談してみるのもよい

結果、あんずさんのおすすめの本は誰も借りてくれませんでした。
ここから先、どうしていいかわからなくなってしまった、あんずさん。
もう一度、図書館司書の先生に相談してみることにしました。

ポイント:行き詰まった時は、一度取材した人にもう一度相談してみるのもよい

司書の先生「やっぱり短時間だとなかなかね。誰でも難しいところがあるので、もうちょっと時間をもらって、できたらいいかなと。」

司書の先生「国立(くにたち)中央図書館ってあるんだけど、そこにはボランティアさんがいて、お母さん方とかお子さん方に絵本を読んであげてるんだけれども、そういう(読み聞かせ)ボランティアって結構どこでもやっていると思うんです。」

「読み聞かせのボランティアがある」と聞いたことがきっかけで、あんずさんは探究を再スタートさせます。

  • 地域の図書館にも読み聞かせのボランティアを募集している
  • 考察したことを課題設定シートの3にまとめる

ここまで調べて、あんずさんが気づいたことは?

あんずさん「気づいたことは、地域の図書館にも読み聞かせのボランティアを募集しているところが多くあるっていうことです。」

考察したことを課題設定シートのBにまとめました。

  • 3枚目の課題設定シート
  • ステップ3

続いて、次のステップの課題と調べること・調べる方法を、3枚目の課題設定シートに書きます。

あなたの課題:わたしなら、「地域の人」のために、「図書館で募集しているボランティアに参加すること」をやりたい。
調べること:図書館で募集しているボランティアはどうすれば参加できるか?
調べる方法:図書館のホームページで調べて実際にその活動に参加してみる。

あんずさん「先生にボランティアで活動できるってことを聞いて、それは全然知らなかったので、こういう考えに変わりました。」

あんずさんの課題は、「メジャーではない本を紹介する」から「図書館のボランティアに参加する」へと大きく変化しました。
本の紹介の失敗が、新しい課題の発見につながりました。

そして次の探究学習までに、自分で図書館に連絡して、参加できるボランティアを見つけてくることになりました。

  • 図書館の人から言われたのは…
  • 課題を変更する

しかしその後、あんずさんはある図書館に電話をして、参加できるボランティアを紹介してほしいと頼んだのですが、図書館の人から言われたのは…

・1日だけ参加できる図書ボランティアはない
・事前にきちんと勉強することが必要
・図書ボランティアは長期参加が基本

ということでした。

あんずさん 「よく考えれば当たり前だなって思ったので、勉強して、自分がやりたいことをやろうって思いました。」
そこで、あんずさんは「課題」を「ボランティアに参加する」から「ボランティアを見学する」に変更しました。

ポイント:課題や調べる方法を変更したくなったら、いつでも課題設定シートを書き直してOK!

  • 読み聞かせ会

そして、ネットで読み聞かせボランティアを見学させてもらえる図書館を見つけました。
ボランティアへの向き合い方を学んだあんずさんは、この図書館に読み聞かせボランティアの見学にやって来ました。
今日も小学生から赤ちゃん連れのお母さんまで、たくさんの人が集まって、絵本の読み聞かせが始まります。

  • 私も地域で役に立っているんだなっていうのがすごく実感ですね

読み聞かせボランティアの方にインタビューをします。

あんずさん「読み聞かせをする上で、大切なことって何ですか?」

ボランティアの方「自分が楽しむことかな。やってあげるっていうよりも、自分が楽しんで読めるかどうかってことの方が、大きいのかなって思います。自分が楽しくないと続けられないので。」

あんずさん「読み聞かせをやっててよかった思うことはなんですか?」

ボランティアの方「私も地域で役に立っているんだなっていうのがすごく実感ですね。子どもたちと町で出会ったりするとよく声をかけてくれて、よかったなあって思うんですね。」

あんずさん「どうしたらボランティアはできるんですか?」

ボランティアの方「こういう文庫活動されている方はたくさんいらっしゃるので、そこに入り込むのもひとつの手かもしれないですし、仲間の方を何人か募っていっしょに始めてみるっていうのもできると思います。」

あんずさんは、この読み聞かせボランティアの見学で、何に気づき、どのように考えを深めたのでしょうか?

  • 小さい子どもとかが、私のイメージだとすぐ飽きちゃうんじゃないかと思っていた

ここまでの3つのステップで調べたことを振り返り、レポートにまとめます。

先生「さらにやりたいとか、もっと調べたいことって出てきた?」

あんずさん「はい。読み聞かせの見学に行って、本当に私、読みたいって思って。実際に本を子どもたちの前で読む、一回でも読むところまでいきたいなって思います。」

先生「それって、また課題が見つかったみたいなもんだよね?」

  • ステップ1
  • ステップ2

ステップ1であんずさんが設定した課題は「メジャーではない本の紹介をしたい」でした。

ステップ2で自分のおすすめの本は誰にも借りてもらえませんでした。

  • ステップ3
  • ステップ4

ステップ3では「図書ボランティアを見学する」という課題に大きく変更しました。

「本が好き」という思いから始まった課題でしたが、さまざまな失敗や学び、人との出会いを経て、あんずさんの探究はまだまだ続いていきそうです。

  • レポートにまとめる
  • 自分が読み聞かせしたかっただけだと気づいた

あんずさん「読み聞かせをすることで、地域とつながりができて役に立つことができると聞いたので、実際に読み聞かせのボランティアに参加できるように、読み聞かせの団体を調べたり、絵本をもう一度読んでみたりしたいです。」

先生「(ボランティアの参加が)思い通りにいかなかったときってあったんだよね。その時どんなこと考えた?」

あんずさん「確かに『人の役に立ちたい』と思ってたのかと言われたら、自分が読み聞かせしたかっただけじゃんって。それに気づいて。それがたぶん向こうに伝わっちゃったんだなって。」

あんずさん「自分が好きなことをやって喜んでくれる人がいるだけで、それでもボランティアになるし、地域の役に立ってるよって聞いて、それだったらやりたいなって思うようになりました。」


あなたなら、どのように社会の役に立てるでしょうか?

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