NHK高校講座

総合的な探究の時間

Eテレ 春・夏・冬特別講座放送
※この番組は、2018年度の新作です。

総合的な探究の時間

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今回の学習

第2回

仕事と自分(2) 〜ふりゅー君の場合〜

  • 番組監修:元・東京コミュニティースクール校長 市川 力
学習ポイント学習ポイント

仕事と自分(2) 〜ふりゅー君の場合〜

探究的な学習とは?
  • 探究的な学習とは?

総合的な探究の時間、第2回です。
探究的な学習は、与えられたテーマから、生徒が自発的に「仮説」を立てるところから始まります。

そして、その仮説について「追究・調べて」、「表現・まとめる」ことで、新たな「仮説」が立ち上がります。
これを繰り返すことで、仮説が変化・発展し、考えが深まっていきます。
こうして身に付く「探究する力」は、あなたが社会に出てからの「生きる力」になります。

この学び方は「総合的な学習の時間」でも活用できます。

テーマ「仕事と自分」
  • ふりゅー君
  • 市川力さん

今回、探究的な学習に取り組むのは、都内通信高校の2年生“ふりゅー君”。
そしてふりゅー君の伴走者、市川力(いちかわ・ちから)さん。
通称、おっちゃんです。

おっちゃんは、何も教えず、ひたすら語り合うだけ。
探究していくのは、すべてふりゅー君自身です。

  • 仕事について一緒に考えて行きたい

おっちゃん「仕事っていうことについて、一緒に考えて行きたいんだよね。仕事とは○○である、みたいな形で何か書いてみてくれるかな。」

  • 仕事とは趣味や生活のためにお金を稼ぐこと
  • 仮説を明らかにするための「追究」が始まる

「仕事とは何か?」自分なりの考えを書いてみます。

ふりゅー君「『仕事とは、趣味や生活に使うためのお金を稼ぐこと』
趣味をやるためにお金を稼ぐって、ずっと考えています。」

「仕事とは何か?」という問いに対して、ふりゅー君の「仮説」が立ちました。
これから、この仮説を明らかにするための「追究」が始まります。

仮説@を追究する
  • 趣味が仕事にできたら楽

おっちゃん「ちなみに趣味って何なんですか?」

ふりゅー君「趣味は二次元とか、オタクってよばれるやつですね。」

おっちゃん「それ以外だったら、あまり仕事はしたいとは思わない?」

ふりゅー君「思わないですね。」

“仕事はしたくない”、“趣味が仕事にできたら楽”という、ふりゅー君。
「楽」というのがふりゅー君の中では大きいようです。

でも、しばらくおっちゃんと話をしていると…。

  • パティシエになりたい
  • ふりゅー君自作のケーキ写真

おっちゃん「アルバイトの居酒屋の延長線上で、生きていくためのお金を稼いでいくのか、それとも別のことをしてお金を稼いでいきたいのか?それはどっち?」

ふりゅー君「別ですね。やりたいことが、結構、今あるんで。料理が結構好きなんですよ。それでパティシエになりたいなって思ってたりして。」

おっちゃん「仕事をしたくないとか言ってるわりには、意外としっかり考えているんじゃないの?」

ふりゅー君「でも、本当に趣味の方なんで。昔からなんか、ケーキとか作るのは好きなんですよ。で、ちょくちょく作ってたりしていたんで。やってみたいなっていうのはあります。」

  • 「パティシエ」について追究する
  • でもなんか自分でやってみたいんだよね

おっちゃん「趣味をやるためにお金を稼ぐっていう話をしてくれたよね。で、実際、パティシエってどれくらい稼ぐかっていうのは知っている?」

ふりゅー君「そこはぜんぜん調べてないんで。」

おっちゃん「どうやって調べる?

ふりゅー君は、スマホでパティシエの収入について検索してみます。

ふりゅー君「月収15万から18万くらいが相場となります。年収200万から300万くらいが一般的。休み少ないって書いてます。結構きつそうっていうのがありますね。」

おっちゃん「趣味でお金を稼ぐってレベルにしては、大変な仕事を選んじゃったかもしれないね。でも何か自分でやってみたいんだよね?」

ふりゅー君「そうですね。」

  • 検索ワードは「パティシエ」「国立」

おっちゃん「何を調べる?

ふりゅー君「見学はしてみたいですね。」

パティシエの仕事を見学させてもらえる所を探します。
検索ワードは「パティシエ」と学校がある場所「国立」。
早速、洋菓子店を見つけました。

おっちゃん「実際、仕事をしてたりとか、どんな形で成功するかっていうのは見てみたいよね。さあ、どうする?」

ふりゅー君「突撃です。」

  • 見学に行きたい洋菓子店のアポ取りにチャレンジ
  • これで電話すればいいですかね?

ふだん、知り合い以外には電話をしないふりゅー君は、話すことをスマホにメモしてから電話します。
でも、とても不安な様子です。

ふりゅー君「(メモは)これでいいですか?」

おっちゃん「やってみないと分かりません。でも、一個だけ言えるのは、おかしくない。全然失礼とかじゃないから。」

  • 作業の見学などカメラを交えてできないかと思いまして
  • アポ取り成功!

緊張しているみたいですが…。

ふりゅー君「あの、総合学習の授業で仕事について調べていまして。そちらの仕事に興味があるので、作業の見学などできないかと思いまして。」

洋菓子店員「バレンタイン後でしたら、ある程度は質問ですとかまとめていただけましたら、ご対応は可能かと思うんですが。」

アポ取りに成功です!

仮説@を表現する
  • 仕事とは、趣味に関することならやる気が出る。やり続けることができる
  • 新たな仮説を追究する

ここまで追究してきたことを「表現」してみます。

ふりゅー君「『仕事とは、趣味に関することならやる気が出る。やり続けることができる』
さっき、パティシエは大変って分かったんですけど、やっぱり『やりたい』っていうのが大きくて。大変なのにやってみたいと思うのは、趣味が絡んだことなのかなって。」

最初の「仮説」を「追究」したことで、ふりゅー君の「仮説」は変化し、新たな「仮説」が立ち上がりました。
次は、この仮説を「追究」していきます。

仮説Aを追究する
  • パティシエの仕事を見学する
  • 焼き菓子作りの体験

今日はひげもそって身だしなみを整えてきた、ふりゅー君。
担当の仕事を手際よく進めるパティシエたち。
お店に許可をもらい、スマホで写真も撮って取材。
焼き菓子作りの体験もさせてもらいました。

ふりゅー君「やっぱり難しいですね。」

  • 修行中の若手パティシエにインタビューする。
  • おいしかったよという言葉をいただけるとやっぱりうれしい

ふりゅー君は、ここでもスマホに書いておいた質問メモを活用します。
まずは入店1年目の阿蒜優人(あびる・まさと)さん。

ふりゅー君「仕事で楽しいことと、つらいことってありますか?」

阿蒜さん「楽しいことからなんですけど、お客様からの声をじかに聞くことができるので、お褒めの言葉をいただいたり、おいしかったよという言葉をいただけると、やっぱりすごくうれしいですね。」

阿蒜さん「つらいことになりますと、やっぱり拘束時間は長くなってしまいますので、朝早くなったり、夜遅くなったりすることが多いので、慣れるまではなかなか大変だと思います。」

  • 実際に働いて感じたことは?

阿蒜さん「やっぱり現場に入ると、地道な作業とかもたくさんあるので。思っていたようなことと違うなってこともたくさんあると思うんですけど、それも含めて楽しくやれています。」

  • 両親がケーキ屋をやっているっていうのがあった

同じく入店1年目の赤石誠(あかいし・まこと)さん。

ふりゅー君「何歳からパティシエを目指していますか?」

赤石さん「両親がケーキ屋をやっているっていうのがあったんで、やるんだろうなって。」

  • パティシエになるのに大切なことは?

赤石さん「専門学校に行った、行ってないというのは重要だと思いますけど、やっぱりやる気って言うと変ですけど、どうしてもつらい時に頑張れるか。心の持ちようだと思います。」

ふりゅー君「やっぱり心の強さが大切。」

赤石さん「そうですね。」

この後も、パティシエを目指した動機から、気になる趣味と仕事の関係まで、ふりゅー君はたっぷりお話を伺いました。

  • 大変でも続けられているのは好きだからじゃないのかな

おっちゃんに、今回の追究の報告をします。

ふりゅー君「仕事は本当に拘束時間が長いのと、忙しそうでした。休まず動き続けるって感じで。怒られるとは言ってましたけど、みんな仲よくやってるって言ってました。自分がどんどん成長していく感じとか、お客様の喜ぶ顔とか、褒められてうれしいって。」

おっちゃん「ふりゅー君が仮説として『仕事は趣味に関することならやる気が出る。続けられる』っていうことだったんだけど、行ってみてどうだった?」

ふりゅー君「その通りかなっていうのはありましたね。やっぱり自分の好きなことだから続けられるかな、大変でも続けられているのは好きだからじゃないのかなって。練習とかも好きなことならいっぱいできたりするんで。やっぱり好きなことがいちばんなのかなって。」

  • 仕事とは大変でも、やりがい、達成感があるとうれしい。好きな事なら続けられる
  • 新たな仮説を追究する

仮説@、仮説Aと、ここまで追究してきたことを「表現」してみます。

ふりゅー君「『仕事とは、大変でも、やりがい、達成感があるとうれしい。好きな事なら続けられる』。」

おっちゃん「これはどこが変わったの?」

ふりゅー君「達成感とか、やりがいがあると。お客様の笑顔とか、うれしいって言ってたんで、そういうのもいいなって思いましたね。」

2つめの「仮説」を「追究」したことで、ふりゅー君の「仮説」は変化し、また新たな「仮説」が立ち上がりました。
次は、この仮説を「追究」していきます。

仮説Bを追究する
  • 行きたいと思う専門学校について調べる
  • ふりゅー君が行きたい専門学校ベスト3

次は専門学校について調べることにした、ふりゅー君。
学校にたくさんあった専門学校の資料や、ネットで調べた結果、ふりゅー君が選んだ“行きたい専門学校ベスト3”がこちら。

ふりゅー君は、調べてもよく分からなかったことについて、今まで行ったことがなかった学校の進路相談室で質問してみることにしました。

  • どんな入学試験があるのか?

先生「推薦入試は面接と今までの成績ではかる入試。一般入試は学力を重視する入試。AO入試はそれだけでは見られないものをはかる入試になります。」

先生「学力試験ならば、どんな試験が今まで出たのかというのは、過去問とかがあると思うから、それを見て確認してみる。自分に合っている方、苦手なものでも今から頑張って、どっちの方がゴールに近づけるか、っていうのを調べていく必要があるかな。」

  • 学費はいくらかかる?

先生「どこに進学するにしても、これから先のところは、進学の費用はすごく多くなってきて、そこを事前に調べておいて、払えるかどうかっていうのを担保しておく必要性はあると思います。
何よりも、実際にオープンキャンパスに行ってみると、その情報について、学校ごとで変わってくるから。」

進路相談室の先生と会ったことで、資料やネットだけではよく分からなかった情報を、いろいろと収集・整理することができました。

  • オープンキャンパスに行くのがいい

そして、おっちゃんに今回の追究の報告をします。

ふりゅー君「結構知りたいことが聞けました。オープンキャンパスに行くのがいいっていうのは言われましたね。お金のことも、その後の仕事のことも(オープンキャンパスで)聞くのがいいって。すごく詳しく教えてくれて、資料とかも印刷してくれたり、ピックアップしてくれるので助かりました。」

  • 仕事とは嫌なことは嫌でも、本気で目指すならある程度はやることができる。好きな事ならとことんできる。そして積み上げていくことが大切

ここまで追究してきたことを「表現」してみます。

ふりゅー君「『仕事とは、嫌なことは嫌でも、本気で目指すならある程度はやることができる。好きな事ならとことんできる。そして積み上げていくことが大切』
やっぱり目指す過程において、勉強を頑張っていったり、オープンキャンパスをいっぱい見に行ったりとか、ちゃんと一つずつ手順を踏んでやっていくことが大切なんで。目指すなら勉強もちゃんとやることになるし、と思ってこうなりました。」

ふりゅー君の探究的な学習・振り返り
  • 仮説1
  • 仮説2

それでは今回、ふりゅー君が探究的な学習をしてきたプロセスを振り返ってみましょう。

最初にふりゅー君は、「仕事とは、趣味や生活に使うためのお金をかせぐ」という仮説を立てました。
そして、趣味のお菓子作りがいかせるパティシエの仕事について調べ始めました。

その結果、「仕事とは、趣味に関することならやる気が出る。やり続けられる」という新たな仮説が立ち上がります。

この仮説をさらに追究するために、洋菓子店でパティシエの仕事を見学し、パティシエにインタビューもしました。

  • 仮説3
  • 仮説4

その結果、「仕事とは、大変でもやりがい、達成感があるとうれしい。好きな事なら続けられる」という新たな仮説が立ち上がります。

この仮説をさらに追究するために、パティシエになるための専門学校について調べました。

その結果、「仕事とは、嫌なものは嫌でも、本気で目指すなら、ある程度はやることができる。好きな事ならとことんできる。そして積み上げていくことが大切」という新たな仮説が立ち上がりました。

  • ふりゅー君のレポート
  • やっぱり本気でやる人たちを見たっていうのが、いちばん大きい

ふりゅー君が今回の探究的な学習を「表現」したレポート。
パティシエを目指して、ふりゅー君の探究的な学習はまだまだ続いていきます。

ふりゅー君「オープンキャンパスに行って、詳しく聞く事。実際にいろんなものを作って試作してみる事。ただのパティシエでは面白くないので、いろいろなものを取り込めるように知識を豊富にする事。」

ふりゅー君「やっぱり本気でやる人たちを見たっていうのが、いちばん大きいかなっていうのがありますね。やっぱりやるからには、こっちも本気じゃないとだめなんだなって思いました。楽しかったし、何かちゃんと経験できたっていうのがあって、よかったんですけど、やっぱり面倒くさいっていうのがありましたね。」


それでは、またお会いしましょう!

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