NHK高校講座

世界史

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、昨年度の再放送です。

世界史

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今回の学習

第35回

中国の現代史 〜解放から開放へ〜

  • 世界史監修:立教大学教授 上田 信
学習ポイント学習ポイント

1.中華人民共和国の誕生 2.毛沢東の文化大革命から搶ャ平の改革開放へ 3.経済成長と環境問題

  • 今回の旅のテーマ

「マジカル・ヒストリー倶楽部」にようこそ!
今回のミッションは、「中国の現代史」です。

眞鍋さん 「中国については、清朝が革命によって滅んで、アジア最初の共和国が誕生したというところまで勉強したよね。」

永松さん 「その革命の前後、中国の民衆の多くは、厳しい生活を強いられていました。しかし今では、GDP(国内総生産)が世界第二位の経済大国にまで発展したんです。」

眞鍋さん 「今日は、そんな中国の発展の歴史を見ていくわけだね。」

永松さん 「はい。その発展に重要な役割を果たしたのが、指導者の存在でした。今日は、その指導者たちが、どのような方法で中国を豊かで強い国にしようとしたのかを見ていこうという旅です。」

  • 訪れる場所と時代
  • 現代中国発展の歴史

今回のビューポイントは、

1.中華人民共和国の誕生
2.毛沢東の文化大革命から搶ャ平の改革開放へ
3.経済成長と環境問題

の3点です。

訪れる場所は、中国。時代は、20世紀前半から現在までです。

この時代、まず アジア最初の共和国・中華民国が建国されます。
その後、内戦と戦争を経て、中華人民共和国が誕生します。現代中国誕生の背景とはどのようなものだったのでしょうか。
そして、豊かで強い国にしようとした指導者たちは、どのような方法をとったのでしょうか。

マジカル・ヒストリー・ツアー、現代中国発展の歴史をたどる旅へ出かけましょう!

  • 中国国内で争う一方 日本とも戦争した

眞鍋さん 「内戦と戦争を経てということは、内と外、両方で戦争していたということ?」

永松さん 「はい。中国国内の二つの勢力が争う一方で、日本とも戦争を行なったんです。」

眞鍋さん 「では、日本もその歴史に深く影響しているんだね。」

永松さん 「はい。その戦いの結果、現代の中国、中華人民共和国が誕生します。」

1.中華人民共和国の誕生
  • 北京
  • 天安門広場

マジカル・ヒストリー・ツアー、はじめに、中国の首都 北京を訪れます。
世界遺産 故宮に隣接するのが、天安門広場です。1949年、ここで中華人民共和国、現代の中国の建国が宣言されました。

建国に至るまでの中国は、戦火が絶えない時期が続きました。現代中国は、どのようにして誕生したのでしょうか。
それを探るために、マジカル・ジャンプ!

  • 満州の地図
  • 満州国建国

1929年、アメリカ・ニューヨークの株価暴落をきっかけに、アメリカ経済が大恐慌に陥ります。
この大恐慌はたちまち世界に波及し、資源を持たない日本は、大きな打撃を受けました。
この事態を打開するため、日本は現在の中国東北部を「満州」と呼び、そこで権益を拡大しようとします。

1931年、満州に置いていた日本の軍が鉄道を爆破します。この事件を口実に「満州事変」を起こし、東北地方全域を占領しました。
翌年の1932年には、満州国を建国させ、日本の支配下に置きました。

  • 孫文 中華民国成立
  • 計画経済

当時中国では、1912年に孫文によって中華民国が成立してからも、政府は分裂し国内が混乱していました。このため、大多数の民衆は貧困にあえいでいました。

孫文は、政治勢力として中国国民党を結成し、新たに政府を樹立します。
孫文の死後、後継者となったのが蒋介石(しょうかいせき)でした。蒋介石は、国民党の指導者として、まず国内の安定を図ろうとします。北方の軍事勢力をたおして、全国統一をめざしました。
その経済政策は、アメリカの援助を得て、資本主義を取りました。

一方、ロシア革命の影響を受けて結成されたのが、中国共産党です。
共産党は、労働者や農民を中心とする貧富の差のない社会をめざし、その方法として計画経済をとりました。資本主義の市場経済ではなく、国家の計画によって、生産を行なうというものです。

共産党は、毛沢東(もうたくとう)が指導者としての地位を確立します。彼は、蒋介石率いる国民党政権と激しく衝突し、戦いを繰り返しました。
世界恐慌や日本の満州支配が続く中、中国は内戦状態にありました。

  • 国共合作
  • 中華人民共和国成立

そして1937年、北京郊外の盧溝橋(ろこうきょう)で起こった軍事衝突をきっかけに、日中戦争(1937〜45年)が始まります。
中国では、日本に対抗するため、これまで争っていた国民党と共産党が協力して戦いました。「国共合作(こっきょうがっさく)」と呼ばれる協力体制で、中国は日本との戦争を戦い続けます。

1945年、日本の敗戦で第二次世界大戦が終結します。中国各地を占領していた日本軍は撤退し、中国は日本から解放されました。
第二次大戦後、蒋介石率いる国民党政権と毛沢東が指導する共産党が再び衝突し、内戦に突入します。
当初軍事的に優位だった国民党は、政治の腐敗や経済混乱で民衆の支持を失い、農村部をおさえた共産党が勝利しました。

1949年、毛沢東は、中華人民共和国の建国を宣言します。
こうして、共産党が指導する社会主義国家の建設が進められていくことになります。

敗れた蒋介石と国民党は台湾に逃れ、中華民国政府を維持していきました。

  • 米国は新中国と対立

眞鍋さん 「なるほど、これが今の中国の体制につながっているんだね。このときの内戦で毛沢東側が勝ったということは、格差のない社会を目指しながら豊かになろうという社会主義で行くことになったんだ。」

永松さん 「中華人民共和国は、まずソ連をはじめとする社会主義陣営の国々に承認されました。続いてイギリス・インドなどからも承認されましたが、アメリカは台湾の中華民国を正式な代表としたため、新中国とアメリカは長い間 対立することになるんです。」

眞鍋さん 「その新しい中国の方は、順調に国作りが進んでいったの?」

永松さん 「いえ、毛沢東の理想の国作りは現実との間で矛盾が生じ、中国全土で大混乱が続いていくことになります。そして、新しい指導者が現れます。」

2.毛沢東の文化大革命から搶ャ平の改革開放へ
  • 上海

マジカル・ヒストリー・ツアー、続いては、東シナ海沿岸の都市 上海からです。
上海は社会主義政権の下、市場経済を取り入れる経済技術開発区の都市として、中国最大の経済都市に発展しました。
この豊かな社会の実現までに、さまざまな試行錯誤がありました。

それは、どのような道のりだったのでしょうか。
それを知るために、マジカル・ジャンプ!

  • 大躍進運動
  • 中国 ソ連と対立

建国以来、毛沢東を主席とする中国は計画経済を取り入れ、社会主義建設を推し進めていました。
1958年、毛沢東の指導で「大躍進」と呼ばれる運動が展開されていきます。これは、農業は集団化によって、工業は外国の技術に頼らず自力で発展させようとするものでした。
しかし、それは社会の実情に合わない性急でずさんな計画だったため、経済建設は破綻し運動は失敗に終わります。
また、自然災害にもみまわれ、数千万人の餓死者を出す結果にもなりました。

この頃、ソ連はアメリカと平和共存路線に転換しようとしていました。
核兵器を持つアメリカを脅威と感じていた中国は、この動きに反発し、ソ連と対立するようになります。

  • 文化大革命
  • 日中国交正常化

1966年、「大躍進」の失敗で指導権を失っていた毛沢東は、復権をめざし「文化大革命(1966〜76年)」という運動を起こしました。
これは、毛沢東を支持する青少年を動員し、思想・文化の変革を掲げて党や政府の幹部や知識人を攻撃するものでした。多くの都市の若者や知識人が農村に送られ、過酷な労働を強いられることもありました。
この運動は10年にも及び、中国の政治・経済は大混乱に陥ります。

しかしこの間、政府は経済を立て直すため、対立していたアメリカとの関係修復に努めていました。
1972年には、アメリカ大統領ニクソンが訪中し、国交改善について話し合われました。そして同年、日本と日中共同声明に調印し、国交の正常化を実現します。
中国は、資本主義国との関係を強めていきました。

  • 搶ャ平
  • 豊かになれる者から先に豊かになれ

1976年、毛沢東が死去。次の指導者になったのが、搶ャ平(とうしょうへい)です(左写真)。
搶ャ平は、市場経済を導入する改革政策を進めました。
「豊かになれる者から先に豊かになれ」という大胆な資本主義を取り入れ、中国経済は急速に発展します。

その一方で、政治の民主化を求める運動が活発化すると、搶ャ平を中心とする政府は武力でこれを鎮圧しました。天安門事件(1989年)です。
しかし、搶ャ平の改革・開放政策は、中国が後に経済大国となる原動力にもなりました。

  • 搶ャ平の政策

眞鍋さん 「『豊かになれる者から先に豊かになれ』というのは、社会主義の国なのに格差を認めてる気がして、矛盾を感じるよね。」

永松さん 「搶ャ平の政策は『社会主義市場経済』と呼ばれ、社会主義の枠組みの中に資本主義の要素を導入する独特の経済政策なんです。さて、現代の中国は経済成長を優先させる中、後回しにした格差の問題だけでなく新たな課題にも直面します。」

3.経済成長と環境問題
  • 北京
  • 光化学スモッグに覆われる街

マジカル・ヒストリー・ツアー、最後は、再び北京を訪ねます。
首都 北京を覆うのは、光化学スモッグです。北京は今、人体に有害な大気汚染物質の発生が問題になっています。

なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。
それを探るために、マジカル・ジャンプ!

  • 社会主義市場経済
  • 中国の名目GDP

1990年代から、中国は「社会主義市場経済」を掲げ、急速な経済成長をとげていきます。これは、共産党の一党支配を維持しながら、市場経済導入の道を選んだ結果でした。
21世紀に入ると、外国資本の導入と貿易の自由化をより一層推し進め、輸出を伸ばしていきます。
そして、GDP(国内総生産)が、2010年には世界第2位にまでになりました。

  • 工場の排煙
  • 都市と農村の格差の推移

しかし、急速な経済成長は新たな問題も生み出します。都市を中心とした、大気や土壌の汚染などの環境問題です。健康被害をもたらす大気汚染の物質の発生は、自動車の排気ガスや工場の排煙などが原因といわれています。
首都 北京は、環境基準を大きく上回る大気汚染の対策に迫られています。

また、所得の格差も解消されていません。例えば、都市部と農村部の所得の格差は、3倍以上に達しています。
こうした大きな課題を抱えながら、21世紀、中国は世界の中で存在感を高めています。


眞鍋さん 「経済大国にまでなった中国にパワーを感じるけど、公害にしても経済政策にしても、お隣の国だから日本にもたくさん影響があるよね。どうなっていくのか気になるところだね。」

永松さん 「はい、注目していきましょう。」

Deep in 世界史
  • 上田 信先生(立教大学 教授)
  • 「発財」「発展」

マジカル・ヒストリー倶楽部の歴史アドバイザー、上田 信先生(立教大学 教授)に歴史の深いお話をうかがいます。
今回は、北京オリンピックについてです。


上田先生 「北京オリンピックは、2008年の8月8日午後8時に開始されました。」

永松さん 「8が続きますね。」

上田先生 「右写真の漢字は中国語で『ファー』と発音しますが、これは、豊かになるという意味の “発財” や “発展” の『発』です。そして実は、『8』という発音がこれに近く縁起が良いということで、この言葉に関わる時間が選ばれたんです。」

  • 五輪メインスタジアム「鳥の巣」
  • 取り壊された家

上田先生 「私は、北京オリンピックの準備が慌ただしい北京を訪ねることがありました。昔の宮殿であった紫禁城、現在の故宮博物院のちょうど真北の線上に、オリンピックの会場がありました。その様子が、その5月にまだ建築中だったメインスタジアム『鳥の巣』なんですね(左写真)。これから3カ月後にオリンピックが始まるという、中国の発展の一つのシンボルということになります。」


右写真は、同時期に北京の下町で撮ったものだといいます。

上田先生 「大きなビルが迫っていますが、町の人たちが昔から住んでいたところが取り壊されて、住民たちが立ち退かなければならないという状況になっていました。」

  • 取り壊される家の壁に記される
  • 次回もお楽しみに

取り壊される家や建物の壁には、「拆」という文字がペンキで記されるといいます。

上田先生 「この字は、中国語で『チャイ』という風に発音しますが、日本語で “取り壊す” というような意味です。中国では、土地というのは全て国のものだということになっています。ですから、政府が “必要だ” ということになると、住民は3ヶ月くらいの短期間の内に立ち退かなければならない。」

そのような場面で、立ち退きに抵抗感のある人々が一種の反対運動を起こすなどの形で、中国の社会の矛盾が見えてくると先生はいいます。


上田先生 「豊かになる『発』という字と、その一方で、取り壊されていく意味の『拆』という字。ある意味で、中国の光と影というのが、この漢字の中に込められていることになるのだと思います。」

眞鍋さん 「意外なお話しでした。」

二人 「先生、どうもありがとうございました。」


眞鍋さん 「今回まで、今につながる中国四千年の歴史を見てきたけど、どうだった?」

永松さん 「やっぱり成り立ちを知ると、その国の見方も変わってきますね。」

眞鍋さん 「そうだよね。先生、中国はさすがに歴史もダイナミックですね!」

上田先生 「そうですね。」


次回もお楽しみに!

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