NHK高校講座

世界史

Eテレ 毎週 金曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、昨年度の再放送です。

世界史

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今回の学習

第32回

第二次世界大戦

  • 世界史監修:東京大学教授 西崎 文子
学習ポイント学習ポイント

1.大恐慌、ニューディール、ブロック経済 2.ナチズム、ファシズムの台頭 3.グローバル化する戦線と史上最大の犠牲

  • 今回のテーマ

「マジカル・ヒストリー倶楽部」にようこそ!
今回のミッションは、「第二次世界大戦」です。

眞鍋さん 「第二次世界大戦。二度と起こってはいけない歴史だよね。」

永松さん 「そうですね。第二次世界大戦は、5000万人を超える史上最大の犠牲者を出した戦争です。今回は、なぜそのような戦争が起きたのか、その背景を探るツアーを考えました。」

  • 訪れる時代と場所・アメリカ
  • 訪れる場所・日本
  • 第二次世界大戦の背景

1918年、第一次世界大戦が終結し、戦後の世界では新たな国際秩序が生まれます。ヨーロッパではヴェルサイユ体制、アジア・太平洋地域ではワシントン体制と呼ばれ、国際関係の基軸になりました。これらの体制が崩壊することにより、第二次世界大戦が始まりました。

今回のビュー・ポイントは、

1.大恐慌、ニューディール、ブロック経済
2.ナチズム、ファシズムの台頭
3.グローバル化する戦線と史上最大の犠牲

の3点です。

訪れる場所は、アメリカ・ニューヨークと日本。時代は、20世紀です。

まずはアメリカを訪れ、世界経済の中心地 ニューヨーク・ウォール街から、戦争が起きた経済的背景を探ります。
そして、日本の世界遺産・原爆ドームを訪ねます。世界初の原子爆弾投下は、大勢の民間人を犠牲にしました。その経緯とは、どのようなものだったのでしょうか。

史上最大の犠牲を出した第二次世界大戦へとつながる国際秩序の崩壊を知る旅に、出かけましょう!

  • 第一次・第二次世界大戦の終結と開戦

永松さん 「第一次世界大戦の終結は1918年、第二次世界大戦の開戦は1939年、わずか20年で世界は再び戦火を交える事になります。」

眞鍋さん 「その背景には、ヴェルサイユ体制とワシントン体制の崩壊があったということなんだね。それは、一体どんな体制だったんだろう?」

永松さん 「それについては、後ほど詳しく説明していきます。まずは、世界大戦の背景を、経済の面から旅のプランにまとめてみました。」

1.大恐慌、ニューディール、ブロック経済
  • ウォール街
  • ニューヨーク証券取引所

マジカル・ヒストリー・ツアー、まずは、ニューヨークのウォール街を訪れます。
ニューヨーク証券取引所をはじめ、世界各国の証券会社や大手銀行などが集中し、全世界の金融市場を牽引しています。

第二次世界大戦が始まるきっかけは、1920年代に起きたニューヨーク株式市場の株価の変動にありました。
その時代に、マジカル・ジャンプ!

  • 株価の大暴落
  • 世界恐慌

第一次世界大戦で直接の被害を受けずに済んだアメリカは、大戦中、イギリスやフランスなどに大量の軍需品と多額の資金を供給しました。そのため、債務国から債権国に転じ、世界的に優位な地位を築きます。
アメリカの経済発展は、主に自動車・化学・電気工業などの新しい産業によって担われ、大量生産と大量消費の時代が到来しました。

ところが1929年10月、ニューヨーク株式市場で株価の大暴落が起こります。
これをきっかけに、アメリカ国内では破産や倒産が続出します。アメリカの大恐慌は、ほかの国々の経済にも波及し、世界恐慌が始まりました。

  • フランクリン・ローズヴェルト大統領就任
  • ドイツ・日本は経済的に苦しんだ

1933年3月、大恐慌のさなか大統領に就任したのが、フランクリン・ローズヴェルトです。
ローズヴェルトは、大恐慌に対して「ニューディール」という政策をとります。政府主導によって、ダム建設などの大規模な公共事業を起こし、失業者を救済しました。

深刻な経済危機を打開するために、イギリスやフランスはブロック経済を作ります。
本国と植民地・自治領など勢力下にある国々などを囲い込み、その中で自国の産品を輸出し、ほかからの輸入を抑えるという排他的な市場圏を形成しました。
広大な国土を持つアメリカには大きな影響を与えませんでしたが、多くの植民地を持たなかったドイツや日本などは、国際貿易が縮小し経済的に苦しむことになりました。

  • 米経済悪化からブロック経済へ

眞鍋さん 「アメリカ経済の悪化が世界恐慌に発展し、それをきっかけにブロック経済が生まれたんだね。でも、自分の経済圏を持っている国じゃないと、そのやり方は成立しないよね。」

永松さん 「そうなんです。経済的に追い詰められた国々は、軍事行動を起こしたり、領土拡大を目指したりして戦争へと突入しました。続いては、史上最大の犠牲者を出した戦争がなぜ起きたのか、その背景を見ていきましょう。」

2.ナチズム、ファシズムの台頭
  • 原爆ドーム

マジカル・ヒストリー・ツアー、続いては、日本の世界遺産・原爆ドームを訪ねます。
30万人以上の市民が犠牲になった、原子爆弾の投下。その悲惨さを後世に語り継ぐため、当時の姿のままで保存されています。
原爆は、どのような経緯で落とされたのでしょうか。

  • ヴェルサイユ体制
  • 国際連盟設立

1919年、第一次世界大戦後の処理をめぐって、フランスのパリで講和会議が開催されました。戦勝国によって、「ヴェルサイユ体制」と呼ばれる新しい国際秩序が誕生します。
敗戦国のドイツに対して、植民地の放棄・軍備制限・多額な賠償金の支払いなど、過酷な条件を課しました。

このとき組織されたのが、国際連盟です。ヴェルサイユ体制の維持を目的とした、本格的な国際平和機構でした。
ヴェルサイユ体制によって、多額な賠償金の支払いに苦しんだドイツは、経済復興をアメリカの資本に依存していました。ところが、世界恐慌が起こったため、失業者が急増し社会不安が高まりました。

  • ヒトラー ナチス
  • ヒトラー内閣設立

そこに現れたのが、ヒトラーの率いる政党、ナチスでした。
ナチスは、この社会不安は共産主義者やユダヤ人などの陰謀であるとうったえ、共通の敵をつくりあげます。それは社会不安の中で展望を失った人々をひきつけ、徐々に大衆の支持を得ていきました。
同じように、イタリアでもムッソリーニが結成したファシスト党が、一党独裁政権を確立していました。
ヒトラーやムッソリーニの政治体制や思想は「ファシズム」と呼ばれます。ドイツ・イタリアでは、国家主義を掲げ、市民的自由や人権を無視するファシズムが台頭しました。

1933年、ヒトラー内閣が成立し、国際連盟を脱退します。1935年、ヒトラーは再軍備宣言を発して徴兵制を復活し、軍備を拡大しました。独裁体制の樹立と領土拡張によって危機を克服できると訴えます。
こうして、ヴェルサイユ体制は崩壊していきました。

  • 独ソ不可侵条約締結、ポーランド侵攻
  • 第二次世界大戦が始まる

1939年8月23日、ヒトラーは独ソ不可侵条約を締結し、9月1日にポーランドに侵攻しました。これに対し、9月3日に英仏両国はドイツに宣戦し、第二次世界大戦が始まります。
イタリアは、1940年6月10日、ドイツの優勢を見て英仏に宣戦しました。

1940年6月にはフランスがドイツに降伏し、14日にドイツ軍がパリを占領しました。こうしてヨーロッパの大部分が、ドイツの支配下に置かれます。1941年6月、ドイツは不可侵条約を破棄してソ連への進撃を開始し、ヨーロッパ全土が戦場と化していきました。

  • 絶滅政策 強制収容所
  • ヴェルサイユ体制の崩壊をきっかけに欧州全土が戦争に

こうした中、ドイツは支配地域でユダヤ人などの絶滅政策を実施します。
強制収容所を各地に作り、ユダヤ人たちを送ります。そこでは、浴室と偽ったガス室に送られて殺され、人体実験の材料とされた者もいました。約600万人に及ぶ人たちが殺害されたと推定されています。


眞鍋さん 「ユダヤ人を殺戮したっていう事実は、今でも歴史に深い爪痕として残っているよね。」

永松さん 「悲惨ですよね。」

眞鍋さん 「ヴェルサイユ体制の崩壊をきっかけにして、ヨーロッパ全土が戦争に巻き込まれていったという流れだったんだ。」

永松さん 「はい。それでは、日本とアメリカの参戦について見ていきましょう。」

3.グローバル化する戦線と史上最大の犠牲
  • ワシントン会議
  • 日本の領土等は現状維持

マジカル・ヒストリー・ツアー、アジア・太平洋地域の状況について、第一次世界大戦終結後にさかのぼって見ていきましょう。

1921年から1922年まで、アメリカ主導によるワシントン会議が開かれました。
これによって成立したのが、「ワシントン体制」という東アジア・太平洋の国際秩序です。

第一次世界大戦で拡大した日本の領土は、ワシントン体制によって現状維持が定められました。また、中国の領土保全などが確認されます。アメリカには、「中国が日本の支配下に入るのを防ぎ、アメリカの市場にしたい」とする思惑がありました。
ところが、世界恐慌が起きると、日本はブロック経済のために大きな打撃を受けます。これを領土の拡大で解決しようと、大陸での支配権拡大に乗り出しました。

  • 満州国
  • 日独伊三国同盟

1931年、日本の軍部は、当時「満州」と呼んでいた中国東北地方で軍事行動を開始します。「満州事変(1931〜33年)」です。
日本は、中国東北地方の大半を占領し、満州国を成立させました。
こうして、ワシントン体制は崩壊していきます。

1937年、盧溝橋(ろこうきょう)事件をきっかけに、日本は中国との間で日中戦争を開始します。戦いは長期化し、戦局は泥沼化しました。
1939年9月、ヨーロッパで、第二次世界大戦が勃発します。1940年9月、国際社会で孤立したドイツ・日本・イタリアは、日独伊三国同盟を結びました。

フランスがドイツに降伏したことで、日本はフランスの植民地だったフランス領インドシナに軍隊を進めます。ここにある石油資源の獲得を目論みました。この軍事行動に、アメリカは態度を硬化させます。
1941年8月、アメリカは日本への石油の輸出を全面的に禁止します。アメリカに石油のほとんどを頼っていた日本は、窮地に立たされました。

  • アメリカ・イギリスに宣戦布告
  • 枢軸国vs連合国

アメリカとの交渉決裂を受け、日本時間の1941年12月8日、日本はハワイの真珠湾奇襲とマレー半島への進軍を実行します。アメリカ・イギリスに宣戦を布告しました。

ドイツとイタリアも、アメリカに宣戦し、「枢軸国」を形成します。アメリカ・イギリス・ソ連などの「連合国」との間の第二次世界大戦は、60カ国以上が参戦し、全世界に広がりました。

当初は劣勢だった連合国側は、1942年のミッドウェー海戦、1943年のスターリングラードの戦いでの勝利をきっかけに優勢に転じます。
1943年9月にイタリア、1945年5月にドイツが降伏しました。

  • 原子爆弾投下
  • 天皇のラジオ放送

1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下されます。9日には長崎にも投下され、合わせて30万人以上の市民が犠牲になりました。
そして8月14日、ポツダム宣言の受諾を決定し、日本は降伏しました。

全世界で戦死者は、兵士 約1700万人、民間人 約3400万人と言われています。5000万人以上の死者を出した人類史上最も悲惨な世界戦争は、こうして終わりました。

  • 総力戦では敵の国民すべてが攻撃対象になる

眞鍋さん 「日本もそうだったけど、この戦争は、全世界的に民間人の犠牲が多かったんだね。」

永松さん 「その背景には、この大戦が総力戦だったことがあります。」


総力戦とは、経済力・政治力や国民動員力など、国家の総力をあげて戦う戦争のことです。

眞鍋さん 「そういえば、第一世界大戦くらいから、戦争というものが総力戦になっていったんだっけ?」

永松さん 「そうです。例えば、それまでの爆撃は軍需施設にターゲットを絞っていましたが、やがて都市部を爆撃するようになりました。このような総力戦では、敵の国民すべてが攻撃対象になってしまうんです。」

眞鍋さん 「民間人でも、兵器を作ったり弾薬を運んだり食糧を生産したりするわけだから、攻撃対象になってしまうってことだね。」

Deep in 世界史
  • 西崎 文子先生(東京大学 教授)
  • 相手の言い分を考えることが重要

マジカル・ヒストリー倶楽部の歴史アドバイザー、西崎 文子先生(東京大学 教授)に歴史の深いお話をうかがいます。
今回は、戦争をなくすために何ができるかを考えます。


眞鍋さん 「先生、今も世界中で戦争が起きていますが、やはり戦争はなくならないものなのでしょうか?」

西崎先生 「とにかく一番大切なのは、歴史を学び・記憶し、それからいろいろな立場で考えることだと思うんですね。私たちは、歴史を考えるとき、どうしても自分の立場に固執しがちです。特に戦争のことになると、自分の国が勝ったとか負けたとか、自分の目線からものを考えてしまいます。ですが、相手にも言い分があるかもしれないと考えてみることが、非常に重要です。そこから、世界中で悲惨な状況を起こさないために、どうしたら良いかということを考えていけるのではないでしょうか。」

眞鍋さん 「お互いの立場で考えるということは、なかなか出来ないことですよね。」

  • 共通歴史教科書
  • 次回もお楽しみに

一つの例として、第二次世界大戦を戦ったドイツとポーランドの間で、共通の歴史教科書を作るプロジェクトが2008年から始まったといいます。


西崎先生 「共通の教科書を作るために、専門家たちが集まって議論を繰り返すというようなことをやっているんですね。ですから、やれない事はない。」

眞鍋さん 「お互いがそういう風に思えれば、一歩進めるというのを感じますね。」

二人 「先生、本当にどうもありがとうございました。」

眞鍋さん 「歴史を学ぶにしても、自分の国の歴史だけじゃなく、いろいろな国の立場から歴史を考えるということも大事なんだね。」

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