Eテレ 毎週 金曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、昨年度の再放送です。
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第5回
皆さん、こんにちは〜
今日のゲストは、インドネシア出身のヨフィ ワヒューディヨノさんです。
ヨフィさんは2004年に来日し、日本の大学で国際関係を学ぶかたわら、タレントとしても活躍中です。
今日は、ヨフィさんに東南アジアの歴史を紹介していただきます。


アジアで広く語り継がれる「ラーマーヤナ」のヒロイン 物語が生まれたのは紀元前2世紀頃のインド
東南アジアには全部で11の国があり、多くの異なる民族や宗教があります。
東南アジアの歴史を語るのに欠かせない人物が、シーター姫です。
シーター姫は、アジアで広く語り継がれている「ラーマーヤナ」という物語のヒロインであり、架空の人物です。
「ラーマーヤナ」は、魔王にさらわれたシーター姫を勇敢なラーマ王子が救い出すラブストーリーです。



長い時間かけて海を渡り東南アジアへ伝わる 桃太郎にも関係している?
「ラーマーヤナ」の物語は、紀元前2世紀〜紀元2世紀頃のインドで生まれ、その後、長い時間をかけて海を渡り、東南アジアの国々へ伝わっていきました。
そして様々な国へと伝わるうちに、物語の姿は、変わっていきました。
今では東南アジアのほとんどの人々が、この物語を知っています。
「ラーマーヤナ」の物語の伝わり方を見れば、東南アジアの歴史を知ることができるといいます。
また「ラーマーヤナ」は、日本の昔話である「桃太郎」にも関係しているといいます。
「ラーマーヤナ」の物語は、古代インドで紀元前2世紀頃から数百年かけて、作られました。
シーターの夫であるラーマ王子は、かしこく勇敢で、とても人望が厚い人物です。
彼はヒンドゥー教の神、ヴィシュヌ神の生まれ変わりだと言われています。
猿のハヌマーンは、神の化身で勇敢な戦士であり、シーター姫たちを助けます。
島に住み10の頭を持つ魔王は、シーター姫とラーマ王子の宿敵です。
ラーマ王子とシーター姫は森の中で暮らしていました。
ある日ラーマ王子が狩りに出かけた隙に、姫は魔王にさらわれて島に連れ去られてしまいます。
ラーマ王子は猿のハヌマーンの助けを得て、姫を救い出すために軍を率います。
そして魔王のいる島へと向かい、物語は続きます。
「ラーマーヤナ」の物語も、インドの様々な文化とともに、海を渡って東南アジアへと伝わっていきました。
東南アジアには、古くから自然崇拝が根付いていました。
そこへインドから文化や宗教などが渡ってきます。
インドネシアのジャワ島には8世紀までに、インドで生まれた仏教が伝わっていました。
8世紀から9世紀にかけて建造された仏教寺院「ボロブドゥール」には、格子の中に、仏像が隠されるように
安置されています。
悟りを開いたブッダです。
ゲストのヨフィさんは、修学旅行で「ボロブドゥール」を訪れたそうです。
格子の中に手を入れて、仏像をさわると良いことがあるという言い伝えがあるといいます。
ジャワ島には、同じくインドから渡ってきたヒンドゥー教の寺院も建てられました。
9世紀末に作られたといわれているプランバナン寺院は、ヒンドゥー寺院の最高傑作の一つと言われています。
祀られているのは、ヒンドゥー教のシヴァ神です。
そして、この建物のレリーフに描かれているのは、「ラーマーヤナ」の一場面です。
物語がインドネシアに伝わった証拠です。
今でも、この寺院に隣接した野外劇場で、物語を題材にした踊りが演じられています。
劇中にはガムラン音楽を使い、東南アジア風にアレンジされています。
「ラーマーヤナ」の物語をはじめ、インドから様々な文化や宗教が東南アジアに渡り、独自の文化となっています。
イスラム教のイメージが強いインドネシアですが、先に入ってきたのは仏教やヒンドゥー教です。
インドネシアでは、現在9割の人がイスラム教徒ですが、仏教やヒンドゥー教も守られています。
そして人々は他の宗教の遺跡も誇りに思っているといいます。
インドで生まれた宗教や文化は、インドネシア以外の国々にも伝わっています。
カンボジアのアンコールワットは、南北1.3km、東西1.5kmの広さを持つ、世界最大級の
ヒンドゥー教寺院です。
12世紀前半に建てられた寺院は、ヒンドゥー教の世界観に基づいて作られています。
そしてアンコールワットの回廊にも、「ラーマーヤナ」の一場面が描かれています。
「ラーマーヤナ」は、カンボジアにも伝わったことがわかります。


魔王との戦い 魔王を倒し、故郷へ戻って国を治める
島へとたどりついたラーマ王子たちは、サルの軍団とともに、シーターの救出のために魔王に挑みました。
ラーマ王子も瀕死の重傷を負うなど、激しい戦いが繰り広げられました。
ラーマ王子は長い激闘の末に魔王を倒し、シーター姫を救い出します。
故郷へと帰った王子と姫は、無事に王宮に戻り、国を治めることになりました。
この物語は、タイにも広がっていきました。
13世紀に築かれたスコータイ朝の時代には、インドから伝わった仏教が、国教になりました。
微笑みの仏像が特徴的です。
スコータイ朝の国王のラームカムヘンは、タイで最も尊敬を集めた王の一人です。
その名前は、ラーマ王子からつけられたものです。
ラーマーヤナは、その後の時代にも影響を与えました。
スコータイの後には、アユタヤ朝が開かれました。
その名前は、ラーマ王子の故郷の都、アヨーディヤからとりました。
アユタヤ朝は、アジアとヨーロッパを結ぶ国際的な交易で繁栄を極めました。
17世紀にはタイ国史上、最も領土を広げました。
その富は仏像の姿も変えました。
当時の仏像の胸には、宝石がちりばめられています。
インドから渡ってきた仏教が、タイの歴史の中で姿を変えたと言えます。


「ラーマーヤナ」は独自に発展した演劇に インドからの宗教や文化が東南アジア各地で形を変える
「ラーマーヤナ」も、タイでは独自の発展を遂げました。
物語は仏教的な要素を取り入れ、「ラーマキエン」と呼ばれる演劇になりました。
登場人物も増え、300人を越えるといいます。
さらに、全てを演じると、720時間かかるという壮大な物語になっています。
インドから渡ってきた宗教や文化は、東南アジア各地でそれぞれの風土や文化と混じりあい、形を大きく
変えたのです。
タイのラーマーヤナは、インドネシアのものと違うところもありますが、やはり同じストーリーで同じ踊りも
あるといいます。



「ラーマーヤナ」は、ジャワ島では伝統的な人形劇として発展 ケチャの題材は「ラーマーヤナ」
日本には「ラーマーヤナ」は伝わってきませんでしたが、似たような話として、猿とともに島へ鬼退治に行くという、「桃太郎」が挙げられます。
しかし「ラーマーヤナ」は、「桃太郎」以上に現代の東南アジアの生活の中に溶け込んでいます。
ジャワ島では、「ラーマーヤナ」が踊りや芝居ではなく、独特の形で楽しまれています。
伝統的な人形劇、ワヤンです。
ワヤンは、繊細で幻想的であり、光と影の芸術と言われています。
ケチャは、バリ島の舞踊劇として有名です。
1930年代に作られた、比較的新しい芸能ですが、題材となっているのは、実は「ラーマーヤナ」です。
タイでは、小学校の授業で、「ラーマーヤナ」などを題材にした古典舞踊を教えています。
幼い頃から学ぶため、ほとんど誰でも基本的な踊りはできるといいます。
舞踊を習う子どもたちは踊りが好きで、中には家でも踊るという人もいました。
次の世代にも「ラーマーヤナ」の文化は、受け継がれています。
国語の授業などで物語を習うのではなく、踊りで伝わっている点に、「ラーマーヤナ」の伝統が感じられます。
ヨフィさんによれば、インドネシアでは、現在でも祭りや結婚式などの際に、ワヤン(影絵人形劇)で「ラーマーヤナ」が演じられるといいます。
結婚式ではエンターテイメントとして、結婚した側から招待客へ感謝をこめて上演するそうです。
またラーマとシーターは、良いカップルの象徴でもあるそうです。
このように「ラーマーヤナ」は、生活に欠かせない、多くの人々に親しまれている文化であると言えます。
水島司先生(東京大学教授)によると、「ラーマーヤナ」は東南アジアの個性を示す、とてもいい例であるといいます。
東南アジアは、大文明を持っていたインドと中国の中間の地域です。
さらに熱帯であるため、自然がとても豊かで、香辛料などの色々な特産物が実ります。
それを求めて、世界中から色々な人が訪れてきました。
そのような訪問者は、同時に自分たちの固有の文化を持ってやってきます。
その一つの重要な例が、インドの人々がもたらした「ラーマーヤナ」の物語なのです。
東南アジアの人々は工夫に富んだ人々であり、外の世界から伝えられてくる色々なものを、自分たちで
アレンジしてきました。
そのため、決して外の偉大な文明のものに押しつぶされたりすることがありませんでした。
東南アジアの人々は、外から伝えられたものを受容しただけではありませんでした。
加えて、今のわたしたちの世界に誇れるような、世界遺産や伝統文化を多く残してきました。
外来文化に圧倒されるわけでも、それを拒むわけでもなく、うまく取り入れて独自の世界を作ってきたということが重要です。
こうした例は東南アジアだけではなく、世界の様々な地域にもあるといいます。
日本の「桃太郎」は「ラーマーヤナ」の影響を受けていると言われ、ストーリーは変わっていますが、精神は同じではないかと言われています。
さて、次回はどのようなゲストが世界の歴史を紹介してくれるのでしょうか。
お楽しみに〜!!
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