高校講座HOME >> 生物 >> 第9回 いろいろな生殖 〜性殖ではなく「生きる殖」なのはなぜ?〜
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鈴木ちなみ/ハマカーン

鈴木 健史 先生
皆さん、こんにちは〜
今回のテーマは、「いろいろな生殖」。講師は、鈴木 健史 先生です。
私たち生物には寿命があり、種を維持するためには生きている間に新しい個体=子孫を作る必要があります。
このはたらきを、「生殖」といいます。
生殖の方法はオス、メスによるものだけではありません。
今日は、生殖が、なぜ、「性殖」ではなく「生きる殖」と表すのかを見ていきます。

まさにおしどり夫婦

オスは羽を立てたり首を上下して求愛

メスはオスを気に入ると首を振り
こたえる
私たち動物はオス、メスという異なった性の親から子孫を作ることができます。
多くの動物では、オスとメスの求愛行動によって生殖が行われます。
おしどり夫婦という言葉で知られるオシドリはカモの仲間です。
オスは色鮮やかな羽を持っていて、羽を立てたり首を上下させたりしてメスの気を引こうとします。
相手を選ぶのはメスなので、オスのおもいが通じるとは限りません。
メスはオスの求愛を受け入れると、首を振って応えます。
メスに気に入られるための努力も、子孫を残すための行動の1つと言えます。

精子と卵が受精し受精卵となる

メスの産卵と同時にオスは
精子を放出

メスは3000個もの卵を産む
私たちヒトの生殖の細胞は、精子と卵で、男性が精子をつくり、女性が卵を作ります。
この精子と卵が合体することを受精といいます。
受精した卵は受精卵と呼ばれ、成長して新しい個体である子孫となります。
このように男性や女性といった性が有る生殖のしかたを有性生殖といいます。
動物のオス、メスの生殖も有性生殖です。
私たちヒトを含め、動物の生殖細胞は精子に比べて卵が大きいという特徴があります。
卵が大きいのは、大きい分だけ栄養を蓄えることができるため、と考えられています。
また、精子が小さいのは素速く動き回って移動することが可能になるため、と考えられています。
サケは、秋に産卵をするために生まれた川に帰ってきます。
口をいっぱいに開けて産卵が始まり、メスが卵を産むと同時に、オスが精子を放出して受精させます。
一匹のメスが産む卵の数は、およそ3000個です。

春先のヒキガエルの産卵

メスが産む卵にオスが精子を放出

一度に1500〜8000個を産卵
春先の池などには、ヒキガエルが集まってきます。
メスは一度に1500〜8000個の卵を産み、オスは産んだ卵に精子を放出します。

アメンボは春から夏に生殖を行う

メスは草などに卵を産みつける

一度に数十個ほどを産卵
アメンボは春から夏にかけて生殖を行い、受精を終えたアメンボのメスは、水中で草などに
卵を産みつけます。
一度に産む受精卵の数は数十個ほどです。

一人の男・女が各々作る卵や精子は全て異なる 親や兄弟姉妹と似ていない場合があるのが有性生殖の特徴
たくさんの卵と精子が受精すると、その子ども同士は親と同じ特徴を受け継いだ兄弟、
姉妹である
と言えます。
しかし、3姉妹の長女であるちなみさんは父親似で、母親似の妹二人とはあまり似ていません。
同じ親から生まれた兄弟、姉妹同士が全て同じように親に似ている訳ではないということには、
遺伝子が関係しています。
遺伝子は生物にとって生きていくための設計図です。
一人の女性が作り出す卵は、遺伝子として全て異なっており、同様に一人の男性が作り出す
精子も全て異なっています。
つまり両親が同じでも、異なった遺伝子を持つ卵と精子が合わさるので、子どもたちの遺伝子は
異なってくることになります。
そのため兄弟、姉妹同士でも、また両親とも似ていないということが起こってきます。
このように、遺伝的に多様な個体・子孫ができることが有性生殖の特徴です。

分裂も生殖の1つの方法

単細胞生物のアメーバ

体の中心がくびれて2つに分裂
1つの細胞でできた単細胞生物のアメーバは、分裂して増えていきます。
分裂も生物的には生殖の1つです。
このように親の体の一部が分かれて新しい個体になることを、無性生殖といいます。
一般に、卵や精子という生殖細胞を作らずに、新しい個体を増やしていく方法を
無性生殖と言います。

多細胞生物のヒドラは小さなヒドラの出芽によって増える
多細胞生物のヒドラは、体の横に小さいヒドラを作ります。
これを、出芽といい、ヒドラは出芽で増えます。
有性生殖と無性生殖の二つを比べると、無性生殖の方が異性との出会いが必要ない分、
生殖として効率がいい、とされています。

観葉植物のオリヅルラン 茎が伸びて根と葉が生える
観葉植物のオリヅルランは、無性生殖で増やすことができます。
茎が伸びた先に、根と葉が生えて子株ができ、土に根付いて新しい個体が生まれます。
1つの親から子を作り、親の体の一部が子になる無性生殖では、親と子どもは遺伝的に
同じ遺伝子を持っています。
無性生殖で増えた個体は、クローンと呼ばれています。

ミズクラゲは有性・無性で生殖

受精卵はプラヌラになる

これは有性生殖
生物の中には、有性生殖と無性生殖の両方で仲間を増やすものもいます。
入り江などでよく見かけるミズクラゲは、オスが水中に出した精子をメスが体に取り込み、卵を受精させる
有性生殖を行います。
受精卵の数はおよそ数万個で、それぞれ違った遺伝子を持っています。
受精卵は、やがてプラヌラと呼ばれる子どもに変わり、親から離れていきます。

岩にくっついてポリプになる
ここからが無性生殖

ポリプ出芽してはクローンをつくる

幾つもくびれがあるストロビラに
プラヌラは海底の岩などに付着して、再びその姿を変え、ポリプになります。
ポリプは体の一部から出芽し、自分の分身であるクローンを作り始めます。
ここからが無性生殖です。
ポリプは、やがて、体が縦に伸び、いくつものくびれができてストロビラと呼ばれる姿に変わります。

ストロビラのくびれが分裂してミズクラゲのクローンのエフィラになる
ストロビラは更に変化を始め、それぞれのくびれが赤いヒラヒラとしたものに分裂します。
分裂したものは、同じ遺伝子を持つクローン・クラゲ、エフィラです。

有性・無性の両方の性殖を行う
メリットは?

多くの植物が両方の生殖をする

次回もお楽しみに〜!!
ミズクラゲは有性生殖と無性生殖の両方を使って仲間を増やしています。
このような方法をとることで、何かプラスになる事があるのでしょうか。
ミズクラゲのような生殖方法の有利な点は、「有性生殖の遺伝的な多様性」と「無性生殖の
生殖としての効率」を合わせ持っていることです。
実は、先に紹介したオリヅルランも、花が咲いて種を作るという有性生殖も行っていて、ほとんどの植物が
有性生殖と無性生殖の両方の性殖方法をとっています。
生き物は子孫をたくさん残すというのが一番の目的といえます。
それでは、次回もお楽しみに〜!!