NHK高校講座

ロンリのちから

Eテレ 隔週 火曜日 午後2:30〜2:40
再放送は10月7日以降 毎週 水曜日 午後3:30〜3:40 
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第2回

ロンリのちから (2)誤った前提・危険な飛躍

  • 監修:立正大学教授 野矢 茂樹
学習ポイント学習ポイント

誤った前提・危険な飛躍

誤った前提・危険な飛躍
  • マリーが間違えた三段論法
  • アンドロイドだと言われるマリー

マリーが1人で公園にいます。どこかうつろな表情です。

「高校生は勉強が嫌い。私は高校生だ。だから私は勉強が嫌い。」

という文章を、間違っていると溝口先生に指摘されたことを思い出し、恥ずかしさがこみあげてきます。
滑り台の上でバランスを崩したマリー。気が付くと見知らぬ場所、服装も変わっています。

マリー 「ここ・・どこ?私・・誰?だっけ・・。」

杏奈  「あなたはアリスでしょ。私が書いたシナリオの登場人物。ほかの何者でもないわ。」

礼央  「高校生は勉強が嫌い。私は高校生だ。だから私は勉強が嫌い。」

杏奈  「彼はテレス。あなたと同じ、感情を持たないアンドロイド。機械の星から、誰もいなくなった地球にかつて存在した感情というものを調査に来ているの。」

マリー 「いいえ、違う。私は高校生。アンドロイドなんかじゃない。」

杏奈  「アリス、何を言っているの。あなたはコンピューターの頭脳を持った完璧に論理的なアンドロイドよ。だからあなたなら分かるでしょ?」

マリー 「分からない!」

杏奈  「アリス、早くしなさい。あなたなら分かるでしょ?」

マリー 「嫌だ、もう決めつけないで!」

  • 推論が正しいための2つのこと

溝口先生 「そうよ、マリー、気付いたかしら?あなたは決めつけていたのよ。」

マリー 「溝口先生・・決めつけていたのは・・私・・。」

溝口先生 「推論が正しいためには二つのことが必要なの。」

マリー 「二つのこと?」

溝口先生 「そう。一つは飛躍がないこと。例えば、あなた一人のことから女子全員のことを結論してしまうような三段論法は、飛躍がある。だから、間違いね。でも、あなたの三段論法には飛躍はなかった。」

マリー 「じゃあどうして?」

溝口先生 「推論が正しいために必要なもう一つは、前提が正しいこと。」

マリー 「私の三段論法は、前提が間違っていた・・。」

溝口先生「そう、だから間違った推論になっていたの。正しい前提とは何か、この前の三段論法で、復習してみましょう。」

前回の復習 三段論法
  • 前回の復習

マリーは、「三段論法」について思い出しました。

前提1   『鳥は』『卵を産む』

溝口先生  「この文に間違いはある?」

マリー 「卵を産まない鳥を私は知らないわ。」


前提2 『ペンギンは鳥』

溝口先生 「この2番目の前提はどう?」

マリー 「ペンギンは確実に鳥だと思う。」


結論 『だから、ペンギンは卵を生む』



「鳥は卵を産む。ペンギンは鳥。だからペンギンは卵を生む。」

マリー 「正しい前提から結論が導き出された・・。」

そうです。正しい前提から推論で正しい結論が導かれる、それが三段論法でした。

誤った前提
  • 誤った前提
  • マリーはアンドロイドではない

マリーも三段論法についてはよく分かっているつもりです。思わず声を荒らげてしまいます。


マリー 「でも『高校生は勉強が嫌い』だって間違ってないじゃん!」

杏奈  「それはおかしいわ、私は高校生だけど、勉強が好きよ。」

マリー 「杏奈が変わってるだけじゃん・・みんな勉強なんて嫌いだよ。」

溝口先生 「『高校生は勉強が嫌い』という誤った前提から、『だから私は勉強が嫌い』という結論を導いてしまったのよ。」

杏奈  「前提があやふやな推論は、まるで自分が誰か分からなくなったあなたみたい。」

礼央  「そう、君は機械の星から来たアンドロイドのアリス。」

杏奈  「そう、あなたは感情を持たないアンドロイドのアリス。」

マリーは悲鳴をあげます。

マリー 「違う、私は人間の女の子。アンドロイドなんかじゃないわ。溝口先生、助けて!」

溝口先生 「助けてあげるわマリー。感情を持つものはアンドロイドではない。マリーは感情を持つ。よって、マリーはアンドロイドではない。」

マリー 「感情を持つものはアンドロイドではない。私は感情を持つ。よって、私はアンドロイドではない。」


杏奈  「カット!」

マリー 「あれ?」


マリーは現実の世界に戻っていました。

  • 現実の世界に戻ってきたマリー
  • 自分勝手な意見を言うための間違った論理

杏奈  「マリー、なにを当たり前のこと言ってるの?そんなのみんな知ってるわよ。」

マリー 「でも、当たり前のことでも、自分で確かめないと見失っちゃう。私には感情がある。嬉しかったり、辛かったりする。だから私は私なの。」

礼央  「なんだかたくましくなったみたいだね。」

マリー 「そうね。不安の国から抜け出した気分よ。」

溝口先生 「マリー、あなたが誤った前提から誤った結論を導いてしまったように、世の中には自分勝手な意見を言うために間違ったロンリがあふれているの。例えばこんな決めつけ、ブランド品をたくさん持ってる人はオシャレっていう印象があるでしょ、それを三段論法で言ってみると、どうかしら、杏奈。」

杏奈  「やってみるわ。」


『ブランド品をたくさん持っている人はオシャレである。』
『私はブランド品をたくさん持っている。』
『よって私はオシャレである。』



溝口先生 「よく出来たわね、杏奈。さすがね。」

この文章では、ブランド品をたくさん持っている人はみなオシャレであるという誤った前提から始めてしまっています。私がオシャレかそうでないかは、ブランド品をたくさん持っているかどうかには関係ないはずです。

マリー 「こういう人、いるいる!」

杏奈  「ブランド品をたくさんもっていることがおしゃれだという、間違った前提に立っている。」

礼央  「女子に限らず、男子にもいるよ、こういうやつ。じゃあこんなのはどう?」

危険な飛躍
  • 間違った前提?
  • 飛躍とは

礼央の考えた例文です。

『あの塾は合格率が高い』
『僕はあの塾に入る』
『だから、僕は必ず合格する』


溝口先生は冷たく言い放ちます。

溝口先生 「これは誤った前提ではなく、飛躍ね。」

礼央  「しまった。あれ?でも、飛躍ってなんだっけ。」

溝口先生 「飛躍とは、その前提からは導かれないことをむりやり結論してしまうことよ。」

礼央  「そっか、前提が間違っているのではなく強引に結論を導いてしまっているのか。」

マリー 「危険な飛躍ね。」

溝口先生 「合格率が高いという前提から、必ず合格するという結論へと飛躍してしまっている。多くの人が合格するというだけなのに、その多くの人の中に勝手に自分も含めてしまって受かった気になっている。」

マリー 「あ〜でも、この気持ち分かるな〜。『そうならいいなあ』という気持ちが、『そうなんだ』っていう決めつけになっちゃうんだよね。」

杏奈  「本当に日常には間違った推論があふれているのね。」

礼央  「それを見破れないと、だまされてしまう事がある。」

マリー 「そっか、それを見破る力も・・。」

溝口先生 「そう、それもロンリのちから。」

不思議な三段論法
  • 間違った前提
  • 猫は空を飛べない
  • 結論は正しい

アリス  「間違った三段論法ってさ、結論が間違っちゃってるんだよね。」

ウサギ  「違うね。結論が正しくてもめちゃくちゃな三段論法はある。」
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『アリスは猫だ』
『猫は空を飛べない』
『だからアリスは空を飛べない』
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アリス  「不思議!『アリスは猫だ』って、一つ目の前提でめちゃくちゃなことを言ってるのに、『だからアリスは飛べないって』正しい結論になっている!」

ウサギ  「結論だけじゃなくて、どういう前提から、どうやってその結論が
出てきたのか、その道筋をちゃんと見なくちゃね。」

  • 前提が間違っているのに結論は正しい

アリス 『ウサギは亀だ。亀は卵を産めない。だからウサギは卵を産めない。』

ウサギ 「スゴイ!それ前提が二つとも間違ってるのに結論は正しい!みごとにでたらめな三段論法だ!」

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