NHK高校講座

公共

Eテレ 隔週 月曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。

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今回の学習

第5回 民主政治と私たち

民主政治と政治参加 (2)

  • 監修・講師:法政大学法学部教授・杉田 敦
学習ポイント学習ポイント

民主政治と政治参加(2)

(1)政治参加と選挙
(1)問いかけ

これからの社会を生きていくために必要なことを学び、考える「公共」。
今回は「民主政治と政治参加(2)」。

私「学校で先生に“18歳になったら選挙に行くように”って言われた。20歳にならないとできないことはいっぱいあるのに、なんで選挙は18歳から行かないといけないの?

  • 選挙のしくみ
  • 選挙区制

私たちが政治に参加するために、いちばん身近な方法が、選挙です。
日本では、私たちが選挙で首長や議員などの代表者を選び、その代表者が私たちの生活に関わる法律などを決定します。
日本では、選挙で投票できる年齢は、2015年に20歳から18歳に引き下げられました。

選挙制度は大きく分けて、選挙区制では、一つの選挙区から一人の議員を選ぶ小選挙区制と、
二人以上の議員を選ぶ大選挙区制があります。

  • 小選挙区制
  • 比例代表制

小選挙区制では、選挙エリアをいくつかの選挙区に分け、1つの選挙区から最も得票数の多い
候補者1人が当選します。
この制度では,少数派の意見が反映されづらいことが、課題とされています。

そこで、各政党の得票数によって当選者数を配分する比例代表制を取り入れる場合もあります。
比例代表制では、小さい政党や新政党も議席を獲得しやすくなり、少数意見も反映しやすくなります。
その反面、小さな政党の分立が政権の不安定を招く可能性もあるとされます。

  • 衆議院議員選挙
  • 参議院議員通常選挙

国会議員や地方公共団体の首長や議員の選挙は、公職選挙法にもとづいて行われます。
衆議院議員選挙は、1994年から候補者が小選挙区制と比例代表制の両方に立候補できる
「小選挙区比例代表並立制」になりました。
参議院議員選挙には、原則として都道府県ごとの選挙区制と、全国単位の比例代表制があります。

  • 一票の格差
  • 投票率の低下

日本では長年、いわゆる「一票の格差」が問題となっています。
例えば、A選挙区では有権者100万人で当選議員は1人なのに、B選挙区では有権者50万人で当選議員1人という差が生じているのです。

一方で、投票率の低下も課題になっています。
そのため、期日前投票制度やインターネットでの選挙運動の解禁などが行われています。

(1)探究活動
  • (1)問いかけ

なぜ18歳になったら選挙に行かないといけないの?あなたは行く?行かない?」

高校生たち

高校生たちに聞いてみました。

おお「私は選挙に行きます。国民として、これからの日本をよりよくしていきたいと思う自分の意見と合っている政治家の人がいたら、その人を応援して日本をよくしていきたいと思うからです」

あむろ「選挙には参加します。自分の意見を反映させていくためにも、社会参加するためにも、自分から行動してよりよくしていきたいと思うからです」

のぼる「僕は選挙に参加しないかなと思っています。今の時点では、政治とかに関心・興味がわいていないからです」

ゆう「若い人の意見を政治に取り入れてもらうために、18歳になったら選挙に行かなければならないんだと思います。たとえ自分が投票したい人に自分の意見が反映されなかったとしても、参加しないと反対意見も言えない」

  • 杉田先生
  • (1)探究のすすめ

それではここで、杉田敦先生からのアドバイスです。

投票しないと罰金を取られるという、選挙を国民の義務とする国もあります。
日本では、参政権という重要な権利のひとつとして考えていますが、投票する人が極端に減れば、ごく一部の人の意見が過度に政治に反映されてしまうなど、重大な悪影響が出ますので、
選挙に行くことは大切です。「自分の一票など関係ない」などと思わずに、投票に行きましょう。

高校生のみなさんたちも、18歳になったら選挙に行くかどうか、意見が分かれたようですね。
実は最近、選挙年齢を下げたのは、早くから投票に参加してもらうことで投票することに慣れてもらい、投票率を高めることを目的のひとつとしていました。
しかし、実際には、必ずしもその通りにはなっていません。
みなさんの政治への関心が高まることが、日本の未来にとって、何より大切なのです。

「もしも選挙権がなかったら」と考えてみると、その大切さがわかると思います。
本当に自分にとって重要な事柄が決められるときに、自分はそれについて何も意見が言えなくなってしまう。それは困りますよね。
みなさんも「18歳選挙権」をテーマに探究してみてください。
投票することの意義や、それによって政治はどう変わるかなどを調べることで、
選挙がいかに大切な政治参加であるかが分かるはずです。

(2)政党と利益集団
(2)問いかけ

私「昨日、テレビでフードバンクをやってるNPOの人が活動しているのを見た。普通の会社とは違うみたいだけど、NPOの役割って何なんだろう?

  • 与党と野党
  • 政党政治

「政党」とは、政治的な考え方の近い人々が集まった集団です。
政党は政権を獲得し、自分たちの政策の実現をめざすために、政治活動を行います。

間接民主制では、いちばん多くの議席をもつ政党が中心となり、与党として政権をにない、それ以外の政党は、野党として与党の政権運営を監視します。
このように、複数の政党が政策実現を競い合うのが、政党政治です。

  • 1990年代に政治改革が始まった
  • 法改正

日本では1955年以降、自民党の長期政権が続きました。
しかし、有力派閥が権力を握る派閥政治や、金の力で政治を動かす金権政治が問題になります。
権力の腐敗や暴走を防ぐには政権交代が必要との観点から、1990年代から一連の政治改革が始まり、小選挙区制を軸とする選挙制度改革が行われました。
2009年には、民主党による政権交代が実現します。
その後、自民党に政権交代し、再び自民党を中心とした長期政権が続いています。

選挙では、度々、票集めを目的とした買収などの腐敗が問題になりました。
これに対し、公職選挙法の改正により政治家の寄付が規制され、政治資金規正法の改正により
企業から政治家への献金なども禁止されました。
しかし、政治資金の透明化は、まだ十分ではないと言われています。

  • 利益集団は政党に働きかける
  • NPO

政党とは別に、特定の利益の実現のために、政治や行政に働きかけるのが利益集団です。
日本には、経団連、農協、日本医師会など、さまざまな利益集団があります。

また、民間の立場から、非営利目的で活動するNPOなどの市民団体の活動も注目されています。
NPOには、福祉・人権・環境などの分野で、ボランティア活動をはじめとする社会貢献活動を行う団体が多数あります。

(2)探究活動
  • (2)問いかけ

私「NPOは普通の会社とは違うみたいだけど、NPOの役割って何なんだと思う?

高校生のみなさん

高校生たちに聞いてみました。

こう「一人ではできない特定のことをしたいというときに、みんなで集まって
大きな目標を立てて行っていくのがNPOだと思います」

ゆう「子ども食堂なら当たり前に食べられるはずのご飯、ごみ拾いなら当たり前にあるはずの
きれいな空間などを、当たり前に存在させるために活動しているのがNPOなんじゃないかなと思います」

木村先生「あなたもNPOの活動に参加してみたいと思いますか?」

ゆう「地域に目を向けて、ごみ拾いなどもしてみたいと思います」

のぼる「NPOは、社会のためにあると思います。自分より後に生まれた人に対して、きれいな町・環境で過ごしてほしいと思うので、NPOの活動に参加したいと思います」

こう「NPOには参加したいとは思いますが、何ができるんだろうというところで立ち止まってしまい、参加してみたいし、参加したくもないという…」

(2)講師解説
  • (2)探究のすすめ

ここで、杉田敦先生からのアドバイスです。

社会の中にあるさまざまな問題を国会など決定の場に提起する団体といえば、主に政党ですが、政党以外の団体として、近年特に重要な役割をもつようになったのがNPOなどの市民団体です。
NPOは環境、人権、福祉などの分野に関して、社会の中で具体的に問題を発見し、解決に向けて努力する団体です。

高校生のみなさんは、NPOの存在は知っていても、その役割や活動はあまり知らないようですね。
国や地方公共団体のような政府が果たす役割はもちろん大きいのですが、どうしても経済に目がいきがちで、環境、人権、福祉といったことには十分目配りができないこともあります。
それを補うのが、人々が自発的に団体を作って、企業などと異なり利益を追求せずに活動するNPOで、その役割がますます注目されています。

みなさんも「NPO、NGO(非政府組織)の活動」をテーマに探究してみましょう。
日本では、主に国際的に難民救済などの活動をしている団体はNPOよりNGO(非政府組織)と呼ぶことが多いのですが、NGOも含めて、具体的な活動内容について調べたり、
NPO、NGOが直面している困難などについて調べてみてはどうでしょうか。

(3)メディアと世論
(3)問いかけ

私「最近よく、ネットのフェイクニュースってだまされるなって言うけど、フェイクニュースを信用してしまったり、拡散しないためにはどうすればいいの?

  • 世論
  • メディア

民主主義において、私たちが政治に影響力をもつのは、選挙だけではありません。
世論もまた、内閣支持率や政党支持率を通じて、政治に大きな影響をおよぼしています。

しかし、世論はメディアの報道によって大きな影響を受けます。
メディアには、新聞やテレビなどのマスメディアや、インターネットによるソーシャルメディアなどがあります。

マスメディアは、その影響力の強さから、立法・行政・司法につぐ「第四の権力」とも呼ばれることがあります。
また、ソーシャルメディアも、インターネットやSNSの発達により、世論に大きな影響力を持つようになっています。

2011年から2012年にアラブ諸国で起こった「アラブの春」では、SNSを通じて市民の声が拡散し、民主主義を求める大規模な運動に広まりました。
一方、近年のアメリカ大統領選挙では、インターネットを使った大規模な選挙キャンペーンが行われ、有権者の投票行動に影響をあたえた可能性があります。

メディアが伝える情報の中には、フェイクニュース(嘘の情報)もあり、
それを私たちが拡散し、世論の分断をまねくこともあるといわれています。

(3)探究活動
  • (3)問いかけ

私「みんなは、ネットのフェイクニュースに惑わされないためには、どうすればいいと思う?

高校生たち

高校生たちに聞いてみました。

ゆう「疑うところから入ることが、大切だと思います。真偽が分かりにくい、分からないような情報をよく出している情報源だと分かれば、その情報は疑いやすくなると思います」

こう「そのニュースに対する、反応をみてみる。そのコメントを見てみて“これちょっとおかしくないか?”“矛盾しているんじゃないか?”というところを探してみるのも、一つの手だと思います」

のぼる「ひとつだけではなく、複数の場所から情報をかき集めて、それが嘘か真実かを調べることが重要なのではないかなと思います」

あむろ「すべての情報が正しいとは限らないので、その情報を信じ切るのはよくないと思います。また、情報の格差を出させない努力も必要になると思います」

(3)講師解説
  • ポイント
  • (3)探究のすすめ

ここで、杉田敦先生からのアドバイスです。

インターネット、SNSの普及によって、情報の発信は本当に手軽になりました。
そのため、私たちはより多くの情報を得られるようになりましたが、中には不確かな情報や
意図的な嘘も混じっています。
フェイクニュースなどに惑わされないためには、インターネットの情報を正しく選択し、
読み解く力、すなわち「ネットリテラシー」を身につける必要があります。


高校生のみなさんの議論は、とてもしっかりとしたもので、フェイクニュースから身を守るためのポイントに気づいていましたね。
@ 情報源を確認すること
A 内容に矛盾がないか確認すること
B 複数の情報を見る(情報の裏を取る)

こうしたことを常に心がけていれば、フェイクニュースに惑わされるリスクは
大いに減ると思います。

そもそも、インターネット・SNSでは、私たちは自分が好きなサイトしか見ないし、好きな人としかつながらない傾向があります。
そのことからくる「視野の狭さ」をどう克服するかが、一つの課題となります。
みなさんも「ネット・SNSとどう付き合うべきか?」をテーマに探究してみてください。
ネットにあふれる情報の中から、どうすれば安全で有益な情報を得ることができるのか、
この機会に考えてみましょう。

振り返り

私「そっか。選挙に行くのも、NPOで活動するのも、政治に参加するってことなんだ。
選挙で投票する時はフェイクニュースにも気をつけないとね…」

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