NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 木曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2020年度の新作です。

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今回の学習

第5回 自分・家族

女性の仕事? 男性の仕事?

  • お茶の水女子大学附属高等学校教諭 葭内 ありさ
学習ポイント学習ポイント

女性の仕事? 男性の仕事?

今回のテーマは 「女性の仕事? 男性の仕事?」
  • 現役高校生
  • 夫婦が仕事と家事に費やす時間の比較

「家庭総合」では、これからの生活に必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!
これまで「家族のカタチ」や「人生のパートナーとの結婚」について、いろいろな視点から考えてきましたが、今回は「家の中の仕事について、女性がやるのが当たり前?それとも男性がやるべき!?」をテーマに、6人の現役高校生と話していきます。

右の図は、共働きの夫婦が仕事と家事に費やす時間を、妻と夫で比較したグラフです。
左側が夫婦のみの場合、右側は子どもがいる場合です。

りゅうちぇる 「どちらも、妻の方が夫よりも家事をしている時間が圧倒的に長い!これ、どうしてなんだろうね!?」

さとし 「妻が家庭のことをやっている分、夫の方が仕事に費やしている時間が長いと思うので、それでバランスがとれているのかな…」

絢音 「やっぱり、『男性は仕事をして 女性は家事をする』というイメージがあるかなぁと思います。」

りゅうちぇる 「そうだよね。やっぱり、日本の伝統(みたいな考え方)がいまでも根強く残っているのかなって思うよね。でも、きっと『家事や育児をしたい』という男性もいると思うし、『もっと仕事をしたいな』と思っている女性もいると思うんですよね。」


今回の3つのポイントは、「性別役割分業意識」「ペイドワークとアンペイドワーク」「仕事も 家庭も」です。
どうしたら、男性も女性も、仕事と家事のバランスがとれた暮らしができるのか?一緒に考えましょう!

性別役割分業意識
  • 女子差別撤廃条約を日本が批准
  • 男女雇用機会均等法

「男は外で仕事、女は家で家事・育児」というのは、1950年代、いまから60年以上前に始まった高度経済成長期にできあがった考え方です。
しかし、そういう差別的な考え方ではいけない、女性も家庭内のことだけでなく、もっと社会参加できるようにしようと、そのための法律が制定されました。

性別役割分業意識の見直しが始まったのは、1980年代。
男女が共に、仕事と家庭の分野で責任を担うことが重要とされたのです。

大きな転機は、1985年、国連の「女子差別撤廃条約」を日本が批准したことでした。
それを受け、1986年に施行されたのが、働く男女の差別をなくすための法律、「男女雇用機会均等法」です。 働く人が性別によって差別されることなく、能力を十分に発揮できる雇用環境の整備が進められました。

  • 第4回世界女性会議
  • 心

さらに、女性の社会進出や地位向上を求める声は、世界的な規模で拡大。
1995年に、190か国が参加して北京で行われた「第4回 世界女性会議」では、各国が取り組むべき行動綱領(こうりょう)が採択されました。
そして、日本では1999年、「男女共同参画社会基本法」が制定されます。
家事、育児、介護などの家庭的責任を分担し、協力しあうことで、男女が対等に働くことのできる社会の実現を目指したのです。

英 「男女共同参画社会基本法が決められた1999年は、私が生まれる5年前の話だから、男女の平等(な社会参加)について考えられ始めたのが、そんなに最近の話なんだと思って。すごく驚きでした。」

心 「こうやって法律ができても、ちょっとはよくなっているのかもしれないけど、そういう考えがまだ全員わかっているわけではないから、もうちょっとみんなが理解する必要はあるんじゃないかなって思います。」

夫の生活時間の国際比較

上の図は、男性である「夫」の生活時間について、日本と外国で比べたデータです。
仕事をする時間では、アメリカやドイツと比べて、日本は2時間以上も長く働いています。
そして、夫の家事と家族のケアの時間で比べると、日本は2時間ほど短くなっています。
外国と比べて、日本の男性は仕事の時間が極端に長く、家事に費やす時間が短いのです。

  • ワーク・ライフ・バランス
  • 大津さん

こうした状況を変えるためのキーワードが、「ワーク・ライフ・バランス」「仕事と生活の調和」を意味する言葉です。
ワーク・ライフ・バランスを実現するため、企業もさまざまな取り組みを行っています。

日本での男性の育児休業取得率は6.16%ですが、男女ともに約100%の社員が育児休業を取得している会社があります。
この会社で働き、妻の出産後、8か月間の育児休業を取得した、大津慶一郎さん。
大津さんにとって、育休はどんな体験だったのでしょうか?

大津さん 「3か月間とか夜泣きも含めてほんと大変だったけど、育休をとっていなかったらそれもわからないで、たぶん、妻に全部、任せてしまっていたと思います。そうすると、ワンオペ(育児)みたいな形になって、その気持ちもわかってあげられなかったんじゃないかなと思う。そこを、大変だったけど一緒にできたっていうのは、一番よかったんじゃないかなって思っています。」

  • 由己さん
  • 亀岡さん

由己さん 「最初は夜中の授乳で何回も起きたりしなきゃいけないところで、主人が(授乳を)かわってくれたり、かわりにおむつを換えてくれたり、そういったところで支えてくれたのはすごくうれしかったですね。」

「8か月間、育休をとる。」大津さんが決断できたのは、たとえ長く会社を休んでも、積み重ねたキャリアに影響がないことなどを、社員のワーク・ライフ・バランスを支援する部署に相談したおかげでした。その部署の亀岡さんにお話を伺いました。

亀岡さん 「育児というのは女性だけのものではなく、男性も当然ながら育児に関わっていくということが、男性本人のライフの充実という面でも非常に重要だというふうに考えております。男性が育児にどんどん参画していることでより女性が活躍できる、そういったメリットがあると思います。」

育休をとったことで、限られた時間の中で、家事と育児をする大変さが実感できたという大津さん。職場復帰した後も、積極的に家事をしています。
妻の由己さんも、育児休業からまもなく職場復帰します。
ともに働き、ともに育児をし、お互い力をあわせて、よりよいワーク・ライフ・バランスの実現を目指します。

  • ワンオペ育児
  • 絢音

「ワンオペ育児」とは、ワンオペレーション(ひとりで勤務しなくてはならないこと)を育児に例えて、主に母親など、ひとりだけで育児をがんばらなくてはいけない状況のことをいいます。

りゅうちぇる 「いまの日本じゃ、ワンオペ育児がすごく多いっていう印象があるよね。」

絢音 「私はまだ妹が小さくて、妹と寝る部屋が一緒なんですけど、妹が起きると私も一緒に起きちゃって。お母さんはそれを一生懸命、対応してて、お昼も夜もずっと、24時間見ているっていうのは大変だなって思います。」

りゅうちぇる 「夜泣きってホントに体力を奪われるし大変なんだけど、大津さんがもし育休をとってなかったらその大変さもわからなかった、って考えたら、すごい怖いなって思ったよね。
ワーク・ライフ・バランスは、男女ではなく、相手を人間としてしっかり見て、何が向いている・向いてないで(ワーク・ライフ・バランスを)とっていく。僕たち(夫婦)はそういうようにしているので、自分の中ではパパとしての自覚はすごく芽生えたので、大事だなと思いました。」

ペイドワークとアンペイドワーク
  • ペイドワークとアンペイドワーク
  • 20代前半サラリーマンの平均年収

「ペイドワーク」とは、職業労働のことです。
そして「アンペイドワーク」とは、家事労働のことです。アンペイド、つまり「賃金が支払われない労働」という意味です。

りゅうちぇる 「『家事・育児』は、アンペイドワークだから、価値が低い労働だと思う?」

さとし 「全然、そういうふうには思わない。やっぱり家事がなかったらって考えると、家の中がとんでもないことになっちゃうと思う。」

絢音 「家事をほかのものに例えてみたときに、ご飯をつくるだったらレストランでやってもらうとか、洗濯だったらクリーニング屋さんでやってもらうみたいに、『家事』はなんでもできるっていう感じが私の中にあって、そう考えるとほかの仕事よりも、もっと価値が上がってもいいんじゃないかなって思います。」

家事はアンペイドワークですが、女性の家事労働をお金に換算してみるとどれぐらいになるのでしょうか。
1996年のデータによると、1年間の家事労働は304万円でした。

さとし 「結構、いってますよね。普通に20代前半のサラリーマンの方の平均年収と、ほとんど変らないくらいだと思うので。」

心 「私は低いなって思いました。」

りゅうちぇる 「わかる!仕事は何時から何時までって決まってるけど、家事は(時間が)決まっていないからね。しかも子どもの数によっては、全然、眠れない時間ができたりとか、ホントに大変。年間304万円というデータも『なめてる!?』って、思っちゃったぐらい。」

英 「お金じゃない価値というか、304万円だけの労働はしてると思うけど、例えば『ありがとう』っていう言葉だったり、家事から生まれる空気感や出来事だったりとか、お金には換えられない、なにかが生まれてくるんじゃないかなって思う。304万円より少ないっていうよりは、家事の方が価値があるんじゃないかなって思います。」

りゅうちぇる 「自分が家事・育児をすることによって、みんなが幸せそうな笑顔を見たりとか、お金以外でも返ってくる幸せ感が、もちろんあったりね。」

  • 保育士の仕事
  • 保育士の男女比

そして、育児を含めた家事労働・アンペイドワークで、もうひとつ考えてほしいのが、「保育士の仕事」についてです。

子どもの保育を行う「保育士」は、専門的な知識と国家資格が必要な、大切な仕事です。
保育士の男女の割合をみると、なんと男性はたったの3%、とても少ないことがわかります。
その理由のひとつが、給料の問題です。保育士の年収は平均より150万円も安い、というデータがあります。

さらに、男女共同参画社会基本法ができるまでは、「保母さん」と呼ばれ、保育士は女性のする仕事だと考えられていました。
育児は、「母親だったら誰もがしているアンペイドワークで簡単な仕事」、と思われていた一面もあったのです。

りゅうちぇる 「労働をお金に換算したとき、そういう意識の部分も変えていかないと、家事・育児よりも仕事の方が優先されるっていう考え方から抜け出せないのかなって思いました。」

仕事も 家庭も
  • 男女格差指数日本
  • 男女格差指数アイスランド

ワーク・ライフ・バランスを、どうすれば理想的なものにできるのか、男女の平等・不平等という視点から考えていきたいと思います。

2019年、男女格差指数(ジェンダー・ギャップ指数)が121位と低い日本。
それに比べて、世界一、男女平等な国に輝いたのがアイスランドです。11年連続で1位をキープしています。

しかし、アイスランドにも、かつては男女不平等な時代がありました。
もともとアイスランドは、男性中心の社会だったといいます。
家事や育児の負担は、女性だけに重くのしかかっていました。
また、男女間での賃金格差は、約60%もあったのです。

  • 女の休日
  • 政治を正そう

そんな状況を大きく変えたのが、1975年10月24日「女の休日」、女性たちのストライキです。
9割もの成人女性が、仕事も家事も放棄して集まりました。
このストライキを呼びかけたのは、複数の政党や女性団体でした。

「政治を正そう 平等と友愛を生みだそう」

職場での男女格差や、性別による役割分担に抗議の声をあげた女性たち。
このストライキで工場や銀行は休みとなり、女性がどれだけ社会や経済活動に貢献しているのかを示すこととなりました。
この日を境に、アイスランドは変わりはじめます。

  • 女性大統領
  • 女性首相の画像(1)
  • 女性首相の画像(2)

5年後、女性たちが力をあわせて支援したことで、初めて女性の大統領が誕生します。
その後、女性だけの党も生まれ、国会議員や首相も女性が担うようになりました。

  • アイスランド駐日大使
  • アイスランドの父親育児休暇取得率

アイスランド駐日大使、エーリン・フリーゲンリングさんも女性です。
1975年のストライキのとき、エーリンさんは17歳の高校生でした。

エーリンさん 「生きてきた中で、とてもすばらしいことが起きた!と感じていました。ストライキに参加するために、学校から街に行ったときには、すでに人々が集まっていました。その時の空気感や雰囲気といえば、自由を感じさせ、そして世界をよりよくしようという一体感や連帯感を強く感じることができました。
このストライキは平和的で、『私たちはここで連携し、そして社会を変える力を持っているんだ』と感じました。」

女性たちのストライキから45年。
アイスランドでは、男女平等に向けた法律や環境の整備が進みました。
父親の育児休業取得率は74%にも達します。

  • エーリンさんの家族
  • 男女格差のない社会とは?

そして、あのストライキは、当時17歳だったエーリンさんの人生にも、大きな影響を与えました。
自立した女性として仕事を持ち、キャリアを重ねたい。
仕事と家事の両立は大変でしたが、キャリアも家族も、かけがえのない大切なもの。
どちらにも誇りを持って生きてきました。

エーリンさんにとって、「男女格差のない社会とは?」

エーリンさん 「『自由』ですね。男性であれ女性であれ、すべての個人があらゆる選択肢を選べることが人権の平等であるといえます。私たちの社会において必要なのは、すべての人を後押しするための法律や規則、そして人々の可能性を信じることが重要だと考えます。」

  • 英
  • エンディング

りゅうちぇる 「アイスランドも、そういう歴史があって変わっていったんだね。」

さとし 「言ってるだけじゃダメだなって、行動なんだなって、アイスランドを見て思いました。」

英 「ストライキとか聞くと、できないよとか、正直、踏み込みづらい部分はあるけど、自分が言葉で、SNSとかを使って発信していくことが、変えていくことにつながるのかな。変えていくってことが、ちょっと身近に感じました。」

りゅうちぇる 「男性も女性も、そして仕事も家庭も、ハッピーになれるような社会にしていきたいなって思いました。でも、そのためには、ひとりひとりの行動がすごく大切だなって思って。お互い、どう暮らしていきたいか、しっかりパートナーの方とも話し合って、コミュニケーションをとって生活していけたら、一番幸せだなって思いました。」

それでは次回もお楽しみに!

【第5回 女性の仕事? 男性の仕事?】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第5回 ポイント1
  • 家庭総合 第5回 ポイント2
  • 家庭総合 第5回 ポイント3

1:性別役割分業意識
「男は仕事、女は家事・育児」という分業意識にとらわれず、男女ともに協力して生活しましょう。
2:ペイドワークとアンペイドワーク
報酬が支払われない「アンペイドワーク」、家事労働について、その価値や創造性を見直す必要があります。
3:仕事も 家庭も
どうしたら男女ともにワーク・ライフ・バランスを実現できるか、一緒に考えていきましょう!

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