NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第23回

化学反応式と量的関係

  • 化学基礎監修:東京都立青山高等学校教諭 吉田 工
学習ポイント学習ポイント

化学反応式と量的関係

化学反応式は美しい!?
  • 左辺と右辺で原子の種類と数が同じ
  • Rってなに?

ローザが化学反応式の美しさに見入っています。
メタンと酸素で二酸化炭素と水ができる反応では、

CH + 2O → CO + 2H

と、左辺と右辺で、原子の種類も数もまったく同じになっており、それぞれの物質につけた係数によって調節されています。

一方、ケンは化学反応式らしきものを見てニヤニヤしています。

ローザ 「これ何?『K+R→HW』?Kはカリウム、Hは水素、Wはタングステンだけど、Rって何よ?っていうか、そもそも左辺と右辺で、原子がぜんぜん違うじゃない!化学反応式の決まりを守ってないわ!」

所長 「その式、私が読み解いてみよう。さしずめ、“ケンとローザでハッピーウエディング” といったところかな?」

ケン 「これは、た…ただのいたずら書きですよ。だって、化学反応式にしたって、しょせんは紙の上のものに過ぎないわけですし……。」

所長 「その言葉は聞き捨てならないぞ!化学反応式は実際の化学反応を反映しているし、さらに、将来起こることも予測できるのだ!」

実際の化学反応と反応式
  • 実験装置に水銀を入れる
  • 高さを調節して反応容器を水銀で満たす

化学反応式が、実際の化学反応を反映していることを、実験で確かめてみます。
一酸化炭素と酸素で、二酸化炭素ができる反応式は、

2CO + O → 2CO

です。

まず、実験装置に水銀を入れます(左写真)。
右側のガラス容器は水銀溜めで、この高さを調節し、反応容器が水銀で満たされるようにします。

  • 混合気体9mL
  • 水銀溜めの高さを再び調節

注射器に、一酸化炭素を6mL取り、続いて同じ注射器に酸素を3mL取ります。
こうして、体積9mLの混合気体ができました(左写真)。
注射器を、反応容器に取り付けて、混合気体を注入します。
水銀溜めの高さを再び調節して、反応容器と水銀面を合わせます。
こうすることで、反応容器の中の気体の体積を正確に測ることができます。
目盛りは確かに9mLを示しています。

  • 点火
  • 9mLから6mLに

反応によって水銀が飛び散らないようにゴム栓をし、反応容器に電極をつなぎます。
その後、万が一のために透明容器をかぶせ、準備完了です。
点火すると、化学反応によって気体の体積が減りました。

再び水銀面の高さを合わせて目盛りを読むと、反応前は9mLだったものが、反応後は6mLになりました。

  • 体積の比は化学反応式の係数と同じ

こうして、一酸化炭素6mLと酸素3mLが反応して、二酸化炭素6mLができました。
体積の比は「6:3:6」、つまり「2:1:2」で、化学反応式の係数と同じです。
確かに、実際の化学反応を反映しています。

化学反応式の係数
  • 化学反応式の係数は反応する分子の数を表す
  • 2倍なら?

所長 「では、原点に立ち返って、改めて化学反応式の意味を考えてみよう。一酸化炭素と酸素から二酸化炭素ができる反応だ。一酸化炭素2分子と酸素1分子の分子モデルがあるので、これを組み替えて、二酸化炭素分子にしてみなさい。」

酸素分子を2つの酸素原子に分解し、それぞれを一酸化炭素の炭素原子につけると、二酸化炭素2分子が出来あがります。
化学反応式の、それぞれの物質についている係数は、反応する分子の数を表していることが分かります(左写真)。


所長 「ならば、一酸化炭素が4分子、酸素が2分子に増えたら、どうなるかな?」

ローザ 「一酸化炭素と酸素が、どちらも2倍ってことですよね。だったら、できる二酸化炭素も、2倍の4分子じゃないですか?(右写真)」

所長 「では、100倍だったら?」

ケン 「一酸化炭素が200分子、酸素が100分子ってことだから、できる二酸化炭素は200分子です。」

  • O<sub>2</sub>分子の数が2×6.0×10<sup>23</sup>個なら?
  • molで表すことができる

所長 「では、さらに数を増やしてみよう。一酸化炭素分子が2×6.0×1023個、酸素分子が6.0×1023個になったら?」

ローザ 「できる二酸化炭素分子の数は、2×6.0×1023個です。」


この「6.0×1023個」、つまりアボガドロ数個の粒子の集まりは、「1mol」といいました。
つまり、一酸化炭素2molと酸素1molで、二酸化炭素2molができるということになります。
このように、化学反応式の係数の比は、それぞれの物質の物質量(mol)の比を表しています。
このことは、とても大切なことなので、もう一度確認します。

係数と物質量
係数の比は物質量(mol)の比

化学反応式の係数は、反応する物質の分子の数を表しています。

ここで両辺を6.0×1023倍したと考えると、化学反応式の係数の比は、物質量(mol)の比を表すことになります(上図)。

どちらも88g

続いて応用編です。
以前学んだ「物質量から質量を求める計算式」は、

質量[g]=物質量[mol]×モル質量[g/mol]

でした。
モル質量とは、物質量1molあたりの質量、つまり原子量・分子量・式量に単位[g/mol]をつけた値のことです。
これを、化学反応式「2CO+O→2CO」に当てはめてみます(上図)。

一酸化炭素のモル質量は28[g/mol]、酸素が32[g/mol]、二酸化炭素は44[g/mol]です。

左辺は、一酸化炭素が2molなので、2×28、酸素が1molなので32で、

2×28+1×32=88

となり、合計88gです。

一方、右辺は、二酸化炭素が2molなので、2×44=88となり、どちらも同じ数になりました。

つまり、化学反応式は、左辺の質量と右辺の質量の総和が等しくなります。

係数の比は、気体の体積の比とも等しい

今度は、物質量と体積の関係を考えてみます。
標準状態の気体1molの体積は、22.4Lでした。

一酸化炭素2×22.4Lと、酸素1×22.4Lが反応すると、二酸化炭素2×22.4Lができるということになります(上図)。
つまり、化学反応式の係数の比は、気体の体積の比とも等しくなります。
これは、さきほどの実験で確かめたとおりです。

化学反応の量的関係
  • 吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)

所長 「これで化学反応式の量的関係は、バッチリだな?」

ケン 「体積の関係については実験で確かめたけど、ほかはまだかなぁって……。」


ここで、特別研究員の吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)にお越しいただき、実験を行いました。

マグネシウムと塩酸が反応して、塩化マグネシウムと水素ができる実験を行います。
化学反応式は次のとおりです。

Mg + 2HCl → MgCl + H


この反応で、マグネシウムと水素に注目して、化学反応式と物質量との関係を確かめてみます。

  • 水と塩酸
  • 4種類のマグネシウムリボン

このメスシリンダーの中には、水とメチルオレンジを加えて赤く着色した塩酸が入っています。
水より塩酸の方が重いため、下に溜まって層になっています。
そして、0.020gから0.080gまでの、質量が異なる4つのマグネシウムリボンを用意しました。

まず、質量0.020gのマグネシウムの物質量を求めてみます。
マグネシウムのモル質量は24g/molなので、0.02gを24で割ると、

0.02[g]/24[g/mol]=0.00083[mol]

となります。

  • メスシリンダーを水槽内で上下反転
  • 発生した水素は20.8mL

保護メガネを装着し、マグネシウムを金属の網の中に入れます。
続いて、穴空きゴム栓に網をセットし、メスシリンダーに取り付けます。
このメスシリンダーを、水槽の中で上下をひっくり返すと、塩酸とマグネシウムが反応して水素が出てきます。

しばらく待って反応が完全に終わったら、水素の体積を読みます。
質量0.020gのマグネシウムの場合、発生した水素は20.8mLでした(右写真)。

  • 発生した水素は0.00083mol
  • マグネシウムと発生した水素の物質量は同じ

この体積から、発生した水素の物質量を計算します。
ただし、実験を行った環境は標準状態の0℃ではなく、1molの気体の体積は25Lとします。
また、発生した水素の体積は、単位がmLのため計算に注意が必要です。
20.8mLは、0.0208Lです。

0.0208Lを25で割ると、0.00083molとなります。
つまり発生した水素の物質量は、質量0.020gのマグネシウムの物質量と同じです。

同じ手順で、0.040g、0.060g、0.080gのマグネシウムの物質量を計算します。
さらに、塩酸と完全に反応させて発生した水素の体積を測り、その物質量を求めます。

こうして求められたそれぞれの値を比較すると、マグネシウムの物質量と発生した水素の物質量は、ほとんど同じでした(右写真)。

これは、化学反応式で、MgとHの係数がどちらも「1」であることと一致しています。

  • 水素と塩素を1:1で反応させる

所長 「これで、化学反応式と量的関係について、納得できたかな?」

ローザ 「はい、納得しました!」

ケン 「実験で確かめられたので、すっきりしました。」

吉田先生 「実際に工場で薬品を作る場合など、原料となる反応物がどれくらい必要なのかは、化学反応式をもとに計算しています。たとえば、塩酸のもとになる塩化水素・HClを作るには、水素・Hと塩素・Clを1:1で反応させています。

比例式を立てて解く

次に、必要な量を予測して、実験を行います。
ケンとローザに出された課題は、次のとおりです。

【問題】
塩素酸カリウム・KClOに熱を加えると、塩化カリウム・KClと酸素・Oに分解します。
酸素0.75Lを得るためには、塩素酸カリウムが何g必要でしょうか。
化学反応式は、

2KClO → 2KCl + 3O

です。
 
ただし、1molの気体の体積は25Lとします。
また、塩素酸カリウムのモル質量は、122g/molとします。


この問題は、最終的に図中の比例式を立てることで解くことができます。
しかし、比例式の空欄の部分をどのように求めればいいかが問題になります。

この化学反応式から分かるのは、酸素3molを得るのに、塩素酸カリウムが2mol必要になるということです。
ただし、酸素は体積に、塩素酸カリウムは質量に変えなければなりません。
そこで、まずは酸素3molの体積を求めます。

  • 必要な塩素酸カリウムは2.44g

酸素3molの体積は、標準状態では「22.4×3」と計算できますが、ここでは1molは25Lとするため、

3[mol]×25[L/mol]=75[L]

となります。

続いて、塩素酸カリウム2molの質量を求めます。
塩素酸カリウムのモル質量は、122g/molであるため、

2[mol]×122[g/mol]=244[g]

となります。
ここで、ふたつの空欄にそれぞれの数値を当てはめて、比例式を計算すると

75L:0.75L=244g:xg
x=2.44g

となります。
つまり、必要となる塩素酸カリウムは、2.44gということになります。

  • 酸化マンガン(IV)を加える
  • ガスバーナーで加熱

本当にこの量が正しいのか、実際に実験で確認します。
塩素酸カリウムを、2.44g計り取ります。
反応を促進させる試薬である、酸化マンガン(W)を加えてよく混ぜ、試験管に移します。

これを、ガスバーナーで加熱し、発生した気体を水上置換でメスシリンダーに集めます。
加熱が進むと反応が始まって試料がとけ始め、メスシリンダーの中に気体が溜まってきます。

  • 発生した気体は0.75L
  • 次回もお楽しみに〜

装置が十分に冷えてから目盛りを読むと、結果は750mL、つまり0.75Lでした。

この課題は、酸素0.75Lを得るには、塩素酸カリウムが何g必要かという問題でした。
つまり、2.44gで、みごと正解です。


吉田先生 「化学反応式と量的関係から導いた値と、現実が一致する。これが、化学の醍醐味なんですね。みなさんも、ぜひ、この醍醐味を味わっていただきたいですね。」


それでは、次回もお楽しみに〜!

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