NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第22回

化学反応式

  • 化学基礎監修:東京都立青山高等学校教諭 吉田 工
学習ポイント学習ポイント

化学反応式

  • 戻ってきた所長

嬉しそうに手紙を読み、研究所を出ていくフラメル所長。
気になるローザは、机に残された手紙を勝手に読もうとしますが、たくさんの化学反応式が書かれているだけです。
そこへ、所長が戻ってきます。

所長 「見たな!」

ローザ 「すみません!でも、所長があんまり嬉しそうだったから……。」

所長 「古い友人から、急に会いたいという誘いだ。」

ローザ 「でも、化学反応式しか書いてないですよ。」

所長 「優れた化学者は、化学反応式だけで心を通じ合うことができるのだ。」

ケン 「ホントですか?」

所長 「もちろんだ。まだまだ君たちには難しいかもしれないがな。しかし、化学反応式のイロハはしっかり知っておく必要があるぞ。」

  • 化学反応式とは
  • 吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)

化学反応式とは、物質の化学変化を元素記号を使って表したものです。
そのため、化学反応式を見ることで、物質がどう変化したのか理解することができます。

ここで特別研究員の吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)にお越しいただき、実験を行って実例を見ながら、化学反応式の書き方を学んでいきます。

メタンと酸素の反応
  • 用意したもの
  • 電極で火花を飛ばす

はじめに、メタンと酸素を反応させる実験を行います。
ポリ袋と点火装置を用意し、点火装置の電極で火花を飛ばし、気体を反応させます。

  • メタンと酸素を袋の中に入れる
  • 点火すると、「パン」と音がした

まず電極を袋の中に取り付け、袋の中の空気を抜きます。
次に、メタンと酸素を同じ注射器に取り、袋の中に入れて準備完了です。

点火すると、「パン」という音がしました。

  • 水滴が発生
  • 二酸化炭素が発生

吉田先生 「メタンと酸素がどのように変化したのか、よく観察してみてください。中に何か出来ているのが見えませんか?」

ケン 「水滴?」

吉田先生 「そうですね。水滴があります。水が発生したことが分かります。」


ここで、袋から気体を抜き取って調べてみます。
袋から抜き取った気体を石灰水の中に吹き込むと、白く濁りました。
そのため、この気体は二酸化炭素だということが分かります。

この実験の反応を言葉で表すと「メタンと酸素を反応させると、水と二酸化炭素ができた」ということになります。
反応前の物質であるメタンと酸素が「反応物」、反応後にできた二酸化炭素と水が「生成物」です。

化学反応式の書き方 その1
  • 化学反応を確かめていく

では、ここから実際に化学反応式の書き方を練習していきます。
先ほどの実験では、メタンと酸素が反応して、二酸化炭素と水ができました。
これを元素記号を使って表すと、

CH + O → CO + H

のようになります。


ローザ 「これで完成ですか?」

所長 「いやいや、まだだ。化学反応式を書くときには、ひとつ約束事がある。それは、化学反応の前と後で、『原子の種類と数が変わらない』ということだ。

ケン 「どういうことですか?」

所長 「反応の前にあった原子は反応後にも変わらず存在し、反応前になかった原子が急に現れたりしないということだ。『原子の数が変わらない』というのは、反応の前と後で、同じ原子の数は変わらないということだ。」

ケン 「なんだか当たり前のような気もしますが。」

所長 「そう、当たり前だ。この当たり前のことが守られていることが重要なんだ。分子模型を使って確かめてみよう。」

  • 反応の前後で原子の数が異なる

メタンと酸素の分子模型を分解し、どんな原子でできているか確かめてみます。
分解した原子の模型を、それぞれの元素記号が書かれた枠の中に置いていきます(上写真)。

反応物のメタン・CHは炭素が1個と水素が4個です。
酸素・Oは、酸素原子が2個です。
生成物の二酸化炭素・COは炭素が1個と酸素が2個、水・HOは、水素が2個と酸素が1個です。

左右で原子の種類を比べてみると、反応の前後で原子の種類は炭素・水素・酸素の3種類と変わっていません。
次に、原子の数を確かめると、炭素は反応の前後で1個ずつで変わりません。
しかし、水素は左辺が4、右辺が2で数が異なっています。
また、酸素も、左辺が2、右辺が3で数が異なります。


所長 「左右の数が等しくない。つまり、それぞれの分子が一つずつ反応したわけではないということだ。」

ケン 「どの分子がいくつあればいいか、左右に分子が4つもあるから考えにくいですね。」

所長 「それは、分子の数を表す係数を仮に入れてみればいいんだ。まず、含まれる原子の種類が最も多い分子の係数を仮に1としてみる。

  • CH<sub>4</sub>の係数を仮に1とする

この場合、CとHの2種類でできているメタン・CHの係数を、仮に1としてみます(上写真)。
すると、左辺の炭素原子の数は1なので、右辺の炭素原子の数も1になり、COの係数は1になります。

次に、水素原子・Hの数を合わせてみます。
左辺の水素原子の数は4で、右辺の水素原子の数は2です。

ここで、右辺の水素原子の数も4にするためには、もう1つHOが必要です。

  • 反応前後の原子の種類と数が一致
  • 化学反応式が完成

そこで、HOの係数を2とします。

最後に、酸素原子Oの数を合わせます。
反応前の酸素原子の数は2ですが、反応後の酸素の数は二酸化炭素と水から「2+2=4」で、4です。
両辺の酸素の数を合わせるには、酸素分子をもう1つ加えればいいことになります。
ここで酸素原子の数を4にするために、Oの係数は2とすると、化学反応式は、

1CH + 2O → 1CO + 2H

となります(左写真)。
これで、反応前と反応後の原子の種類と数が同じになりました。
しかし、化学反応式の係数「1」は書かないという約束があるので、係数1は外します。
こうして、

CH + 2O → CO + 2H

となり、化学反応式が完成です。

アルミニウムと酸素の反応
  • 集気瓶にアルミ箔と酸素を入れる
  • 白い光りで一瞬にして燃えた

化学反応式の書き方を、もう少し練習していきます。
今度はアルミ箔と酸素の反応についてです。
再び吉田先生に実験を見せていただきました。

家庭用のアルミホイルの約1/30の厚さのアルミ箔を用意し、集気瓶に入れます。
次に、集気瓶に酸素を入れます。
線香に火をつけて集気瓶の中に入れると、非常に明るく白い炎で一瞬にして燃焼しました。
反応後の集気瓶の中は、白くなりました。

この反応では、アルミニウム・Alと酸素・Oが反応して、酸化アルミニウム・Alができました。

  • アルミニウムと酸素の反応

この反応をもとに、化学反応式を作っていきます。
まず、反応物と生成物を書くと、

Al + O → Al

となります。


所長 「酸化アルミニウムAlはアルミニウム2つと酸素3つでできている。」

ケン 「あ、もうできちゃいましたね。」

所長 「こらこら、慌てなさんな。模型を置いて原子の数を比べてみなさい。」

化学反応式の書き方 その2
  • Alの係数を1とすると両辺で合わない
  • 左辺のAlの係数を2とする

先ほどと同様に、分子模型を分解して、原子を各元素の枠の中に置いていきます(左写真)。
反応前は、アルミニウムが1つ、酸素が2つです。
一方、反応後はアルミニウムが2つ、酸素が3つです。

左辺と右辺を比べると、アルミニウム原子の数は左辺が1個ですが、右辺は2個です。
この場合、原子の種類が最も多い化学式である酸化アルミニウム・Alの係数を1とすると、アルミニウムの数が両辺で合いません。
そこで、左辺のアルミニウムの係数を2としてみます(右写真)。

すると、左辺のアルミニウムも2個になり、アルミニウムの個数は両辺で等しくなりました。

次に、酸素原子の数に注目すると、左辺の酸素は2、右辺は3です。
両辺で酸素原子の数を等しくするにはどうしたらよいでしょうか。

  • 化学反応式の係数に分数は使えない
  • Alの係数を2倍する

ローザ 「右辺の酸素の数は3だから、左辺を等しくするためには、係数は3/2ですね(左写真)。」

所長 「確かに、それで計算は合うな。しかし、残念ながら、係数に分数は使えません。係数を最も簡単な整数にするには、両辺にいくつをかければいい?」

ローザ 「2です。Alの係数を2倍すると4になります。Oは2倍すると、係数は3になります。」

ケン 「左辺の酸素も2倍されるから、Oは全部で6個になります。」

ローザ 「Alは、2倍すると係数は2。Alは4個、Oは6個です。」


こうして、

4Al + 3O → 2Al

となり、化学反応式の完成です。

イオン反応式の書き方
  • 硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム水溶液
  • 白色沈殿が生じた

次はイオン反応式の書き方を見ていきます。


ケン 「イオン反応式って、化学反応式とは違うんですか?」

所長 「イオンが関係する化学反応で、変化したイオンだけに注目して表した反応式イオン反応式というんだ。」


例として、硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム水溶液の化学反応の場合を考えていきます。

試験管に入った塩化ナトリウム水溶液、硝酸銀水溶液を用意します(左写真)。
硝酸銀水溶液に塩化ナトリウム水溶液を入れると、白色沈殿が生じます(右写真)。
このとき、試験管の底に沈殿したのは塩化銀です。

反応を化学反応式で表す

この反応を化学反応式で表すと、上写真のようになります。
これをイオン反応式で表すため、イオンが書かれたカードを化学反応式の下に置いていきます。

反応物の硝酸銀は水溶液中で電離しているため、銀イオン・Agと、硝酸イオン・NOに分かれます。
塩化ナトリウムも水溶液中で電離しているため、ナトリウムイオン・Naと塩化物イオン・Clに分かれます。

次に生成物を見ていきます。
塩化銀・AgClは白く沈殿し、硝酸ナトリウムは水に溶けているので、Naと、NOに分かれます。

このとき、塩化銀・AgClは沈澱して出てきますが、NaやNOは反応前も反応後も水溶液中に存在しています。

  • 反応で変化しないイオンを式から取り除く
  • 次回もお楽しみに〜

そこで、NaやNOは変化していないため、カードを外します(左写真)。


すると、イオン反応式は、

Ag + Cl → AgCl

となります。


所長 「だいぶシンプルになったな。イオン反応式では、電荷はどうかな?」

ケン 「左辺はプラスとマイナスで、電荷は0です。右辺も0なので、左辺と同じです。」

所長 「そうだな。イオン反応式は原子の種類や数だけでなく『電気的にも釣り合うようにする』ということを覚えておいてくれ。」


それでは、次回もお楽しみに〜!

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