NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第21回

溶液の濃度

  • 化学基礎監修:東京都立青山高等学校教諭 吉田 工
学習ポイント学習ポイント

溶液の濃度

  • 実験するローザ
  • 混ぜても緑色にならない

ローザが、酸性・アルカリ性が確認できる試薬、BTBを使って実験をしています。
BTBを入れて黄色くした塩酸と、青くした水酸化ナトリウムを混ぜ合わせると、中性になって溶液が緑色に変わると予想しました。
しかし、実際に混ぜ合わせてみると、緑色にならず元の塩酸と同じ黄色になってしまいます。


ケン 「ローザ、どうしたの?」

ローザ 「濃度が同じ1%の塩酸と1%の水酸化ナトリウムを、同じ量混ぜたんだけど、緑色にならないのよ!」

ケン 「本当?同じ濃度のものを同じ量混ぜたら、中性の緑色になるはずなんだけど……。測り方間違えたんじゃないの?」

ローザ 「そんなことないよ!正確に50mLずつ測って入れたんだから!」

  • 所長登場
  • 「濃度」の真の意味とは?

所長 「それでは緑色にはならないな。BTBを入れた溶液は、塩酸が存在して酸性なら黄色、水酸化ナトリウムが存在してアルカリ性なら青になる。その両方がなくなって、中性になるとき、初めて緑色になるのだ。」

ローザ 「両方ともなくなるって、どういうことですか?」

所長 「塩酸の粒子と水酸化ナトリウムの粒子が、ぴったり同じ数くっついて反応すると、互いの性質を消し合って、違う物質が生まれる。それが『両方ともなくなる』という意味だ!」

ケン 「違う物質ですか。」

所長 「そう!正反対の溶液を混合し、互いを消し合うことで、新たな物質が誕生する。私の先祖の錬金術士たちも、あえて正反対のものを組み合わせることで、新しいものを創造しようとしてきた。それが現代の化学にもつながっているのだ。」

ローザ 「じゃあ、私たちも新しいものを創造できるんですね!」

所長 「そう簡単に言うな。それは “濃度” の真の意味を理解して初めてなし得ることなのだ。今日はそんな『溶液の濃度』の秘密を紐解いていこう!」

溶解と濃度
  • 溶解・溶液・溶質・溶媒
  • 質量パーセント

所長 「さっきから、『濃度』『濃度』と繰り返し言っているが、君らは『濃度』とは何か、分かっているのかな?」

ローザ 「そんなの分かってますよ!お味噌汁の味が濃いとか薄いとかよく言いますよね。」

所長 「それは塩分濃度。まあ濃度の一つではあるな。濃度にもいろいろあるんだが、まずは、濃度を考えるための基本中の基本を確認しておこう。」


ある液体に、ある物質を溶かして、均一な液体ができる現象を「溶解」といいます。
そして、この均一な液体を「溶液」、溶液に入れた物質を「溶質」といいます。
また、物質を溶かした液体を「溶媒」といいます。

「溶媒」に「溶質」を入れて、完全に溶けたら、「溶液」が出来ます。


所長 「そして、『溶液』の中に含まれる『溶質』の割合が、君らがさっきから言っている『濃度』なんだ。ここまでは大丈夫ですか?」

ローザ 「大丈夫です!」

ケン 「僕も濃度のことは分かってますよ!」

所長 「そうか。では『質量パーセント濃度』は分かるかな?」


「質量パーセント濃度」とは、溶液の質量に対し、溶けている溶質の質量の割合をパーセントで表した濃度のことをいいます。

式で表すと、

質量パーセント濃度=(溶質の質量/溶液の質量)×100


となります。


ローザ 「な〜んだ。質量パーセント濃度って難しそうな言葉だけど、溶液の中に溶けている溶質が全体の何パーセントなのかってことなんですね!」

ケン 「こんなの簡単ですよ!」

所長 「ホントに簡単か!?じゃあ、やってもらおう!」

10%の塩化ナトリウム水溶液を作る
  • 10%の食塩水を作る
  • 塩化ナトリウム10gを量りとるケン
  • 水に溶かす

実際に、質量パーセント濃度を使って溶液を作ってみます。
所長からの課題は、「100gの水と、塩化ナトリウムから10%の食塩水を作る」ことです。


ケン 「10%って、10分の1ってことだから、水が100gなら、10gの塩化ナトリウムを測って、これを水に入れてかきまぜて……。10%の食塩水の出来上がり!簡単簡単!」

ローザ 「ケン、これ違うよ!!」

所長 「ローザはケンの間違いが分かったようだな!」

  • ケンが作った食塩水は9.1%
  • 90gの水に10gのNaClなら正解だった

ケンが行った手順から、質量パーセント濃度を求める式を表すと、左図下のようになります。
溶液の質量は、溶媒100gの水に、溶質10gの塩化ナトリウムを足した量になります。
これを計算すると、

10/(100+10)×100=9.1[%]

となり、10%になりませんでした。


ケン 「そうか!90gの水に10gの塩化ナトリウムを入れていれば、合わせて100分の10になって、10%の食塩水が出来ていたんだ。」

ローザ 「所長、質量パーセント濃度のことはよく分かりました。でも、私は最初に、同じ1%の質量パーセント濃度の黄色くした塩酸と青くした水酸化ナトリウムを、同じ量混ぜたはずなんですけど、どうして中性の緑色にならなかったんですか?」

所長 「黄色の酸性の塩酸と青のアルカリ性の水酸化ナトリウムが、ぴったり同じ数くっついて反応すると、お互いの性質を消し合って、中性の緑色になると話したのは覚えているかな?ポイントは、ぴったり同じ数くっついて、全部別のものになる、ということなんだ。その謎を解くためには、“もう一つの濃度” の秘密を紐解かなければならないんだ!」

もう一つの濃度とは、モル濃度のことです。

モル濃度
  • 吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)
  • モル濃度とは

ここで、特別研究員の吉田 工 先生(東京都立青山高等学校 教諭)に詳しく解説していただきました。


吉田先生 「 “モル濃度” はとても便利な濃度なんですよ!モル濃度のことが分かれば、塩酸と水酸化ナトリウムの水溶液をどのように混合すれば、中性の緑色にできるのか、分かるはずですよ。」


まずは「モル」という単位について、簡単に復習です。
「モル」は鉛筆の「ダース」のようなもので、原子、分子の粒子の数をまとめて扱う単位です。

そして、「モル濃度」は、右図のような式で表されます。
単位の読み方は、「モル・パー・リットル」または、「モル・毎・リットル」といいます。

  • 質量パーセント濃度
  • モル濃度

ケン 「 “溶質の量を物質量で表す” ってどういうことですか?」

吉田先生 「溶液1Lの中に溶けている溶質を、『g』で表される質量ではなく、粒子の個数である『mol』で表した濃度なんです。簡単に言うと、溶質が何個溶けているかということなんです。」


質量パーセント濃度と、モル濃度の式を並べてみます。

質量パーセント濃度=(溶質の質量[g]/溶液の質量[g])×100

モル濃度[mol/L]=溶質の物質量[mol]/溶液の体積[L]

このモル濃度に関して、言い換えると「溶質の粒子の数/溶液の体積」ということになります。

  • モル濃度と質量パーセント濃度の違い

吉田先生 「質量パーセント濃度は “溶質の質量”、モル濃度は “溶質の粒子数” というところがポイントです。」

ローザ 「質量と粒子の個数ですか?なんだか頭がごちゃごちゃになってきました……。」

吉田先生 「では分かりやすく説明していきましょう。」

  • 質量パーセント濃度とモル濃度について考える
  • 黄色い球が5個残る

最初にローザが中性にできなかった混合の疑問を解く鍵は、この「質量パーセント濃度」と「モル濃度」の違いにあります。

図を使って、「質量パーセント濃度」と「モル濃度」の違いについて考えていきます。

左図は、先ほどローザが混合した塩酸と水酸化ナトリウム水溶液と同じようなもので、溶質である球1個について1個反応するとします。

分かりやすいように、質量パーセント濃度は、どちらも10%にしてあります。
同じ質量パーセント濃度、同じ質量の水溶液混合で中性にならない原因を、検証してみます。

図の2つの溶液は、どちらも10%なので、100gの中に、それぞれ10g溶けています。
黄色の10%の液体には1gの黄色い球が10個入っています。
一方、青い10%の液体には2gの青い球が5個入っており、数が違っています。

このように、同じ質量パーセント濃度の水溶液であっても、溶質の粒子数が違ってきます。


吉田先生 「さて、この2つの水溶液を混合すると、どうなると思いますか?」

ケン 「所長が言っていたように、黄色い玉と青い玉はくっついて反応して、違う物質になるんじゃないかな?」

ローザ 「でも、数が違うと、どうなるんだろう……。」


2人が考えたように、5個の黄色い玉と5個の青い玉はそれぞれ反応して、中性の別の物質に変わります(右図)。
しかし、残りの5個の黄色い玉はそのまま残っています。
そのため、混合した後の水溶液には酸性の溶質が残っているため緑色にはならず、黄色いままになります。

これを中性にするためには、それぞれの粒子を余らせることなく反応させることが必要です。
そのためには、同じ数の粒子を混合する必要があります。
しかし、目には見えない粒子の数を同じにするには、どうすればよいのでしょうか。

  • モル濃度と質量パーセント濃度との違い
  • 中性になった

そこで役に立つのが、モル濃度です。
今度は同じ混合でも、モル濃度を使うとどうなるのか見ていきます。

10mol/Lの黄色の水溶液と、10mol/Lの青い水溶液を混合させる場合を考えてみます。
1個1molの球がどちらにも10個ずつ入っています(左図)。
モル濃度では、「溶質の個数」は同じですが、溶質粒子1個当りの質量が違うので、「溶質の質量」は異なります。
モル濃度と質量パーセント濃度との違いは、この点です。

これを混合すると、青い玉と黄色い玉は、質量は違いますが数は同じなので全てくっつきます(右図)。
これで余らせることなく、すべての粒子が反応して中性になりました。
こうして、BTBの色は緑色になります。


ローザ 「なるほど!質量パーセント濃度では、同じ濃度で同じ質量でも、粒子の数が違うから混合したときに全ての粒子がピッタリ反応できないので、中性にはならない。」

ケン 「でも、モル濃度なら、粒子の数を同じにして、全部ピッタリ反応させることができるんですね!」

モル濃度を使って混合
  • 0.10mol/Lの塩酸とBTB
  • 必要な水酸化ナトリウムの質量を計算

ここで、ローザが最初に挑戦してできなかった塩酸と水酸化ナトリウムの混合を、「モル濃度」を使って行ってみます。

同じモル濃度の塩酸・HClと水酸化ナトリウム・NaOHを同じ体積混合して、中性になるか確かめます。
0.10mol/Lの塩酸、50mLとBTB溶液があります。
一方、0.10mol/Lの水酸化ナトリウムですが、1Lでは0.10molの水酸化ナトリウムが必要です。

そこで、必要な水酸化ナトリウム1molの質量を計算してみます。
 
まず、1molの質量はNa、O、Hそれぞれの原子量を足します。
Na=23、O=16、H=1なので、

23+16+1=40

今回は0.10molなので、40に0.10をかけると、

40g/mol×0.10mol=4.0g

となり、0.10molの水酸化ナトリウムは4.0gだということが分かります。


吉田先生 「0.10mol/Lの水酸化ナトリウムとは1Lの水溶液中に水酸化ナトリウム4.0gが溶けているということが分かりました。」

  • 4.0gのNaOHを水に溶かす
  • 溶けたらメスフラスコへ
  • ぴったり1Lに

実際に、0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を作ってみます。

まず、4.0gの水酸化ナトリウムをビーカーに入れて、水を加えて溶かします。
完全に溶けたらメスフラスコに移し、水を加えていきます。
ポイントは、最後にぴったり1Lに合わせることです。

これで、0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が完成です。

  • BTBを加えたHCLとNaOH
  • 混合すると中性になり、緑色になる

モル濃度0.10mol/Lの塩酸と水酸化ナトリウム水溶液が、50mLずつ入ったビーカーに、それぞれBTBを加えます。
すると塩酸は黄色、水酸化ナトリウムは青になりました。


ローザ 「質量パーセント濃度が同じ、塩酸と水酸化ナトリウムを混合しても黄色でした。」

ケン 「今度はモル濃度で、粒子の個数も、体積も同じにしたので大丈夫ですかね?」

吉田先生 「では、混合してみましょう。」

ローザ 「あ、緑色になってる!」

ケン 「中性になったんですね。」

吉田先生 「塩酸も水酸化ナトリウムも余ることなく反応しましたね。1対1で反応して、中性になる反応だから、このような結果になったんですね。」

  • 次回もお楽しみに!

所長 「質量パーセント濃度とモル濃度のことは、分かったかな?」

ケン 「質量パーセント濃度は質量、モル濃度は粒子の個数。」

ローザ 「粒子を過不足無くきっちり反応させたいときはモル濃度を使う、と覚えておけばいいんですね!」
 
所長 「そうだな。モル濃度は凄く便利で、これから化学反応を学んでいく上で、きっと役に立つものなので、しっかり覚えておくように!」


それでは、次回もお楽しみに〜!

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