NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第20回

物質量と気体の体積

  • 化学基礎監修:神奈川大学附属中・高等学校教諭 小柳 めぐみ
学習ポイント学習ポイント

物質量と気体の体積

  • 風船に見とれるローザ
  • 気体の物質量は、体積から求められる

浮かぶ風船を見ると、子どもの頃を思い出すというローザ。
一方のケンは、「風船の中にヘリウムの分子が何個入っているか」というようなことを考えるといいます。


ケン 「この前、物質量のことやったよね。質量が分かれば、物質量が分かり、物質量が分かれば、分子の個数も分かるってことだったよね。」

ローザ 「ま、確か、そうだったけど……。ヘリウムの質量って、どうやって測るのよ?水や鉄なら天秤で測れるけど……。」

所長 「確かに、浮いている風船のヘリウムの質量は、天秤では測れない。気体の質量の測定は難しいのだ。だが、良い方法があるんだ!ヘリウムのような気体の物質量は、体積から求めることができるんだ。」

ケン 「体積から物質量が分かる?どうやって?」

所長 「では、今日は物質量と気体の体積について解き明かそう。」

物質量の復習
  • アボガドロ数と物質量
  • 原子量や分子量、式量に “g” をつける

気体の話の前に、まず物質量の復習です。

6.0×1023個を1molとして物質の量を表すのが物質量で、この “6.0×1023” という数を、アボガドロ数といいました。

では、なぜ1molは6.0×1023個なのでしょうか。
たとえば原子量12の炭素なら1molで12gとなり、分子量18の水なら1molで18gになります。
つまり、どんな物質も1molの質量はその原子量や分子量、式量に “g” をつけた値になります。

このように、物質量を使うと、原子量や分子量と質量の関係が、とても分かりやすくなります。
つまり、物質量が分かれば その原子量や分子量、式量から質量が分かります。
反対に、質量が分かれば、物質量が分かります。

ここまでが前回の復習です。

物質量と気体の体積
  • アボガドロ

ここからが、今日のテーマ「物質量と気体の体積」についてです。

ローザ 「気体の場合、体積から物質量が分かるということでした。」

ケン 「どうして、体積から物質量が分かるんですか?」

所長 「それは、アボガドロの法則があるからだ。」


アボガドロの法則とは、「気体の種類によらず、同じ体積の気体の中には、同じ個数の分子が含まれている」というのもです。
ただし、これは同じ温度、同じ圧力の条件において成り立つ法則です。


「気体の種類によらず」とあるとおり、アボガドロの法則は酸素でも二酸化炭素でも、水素でも成り立ちます。

また、この法則を逆に読むと「気体の種類によらず、同じ個数の分子の気体は、同じ体積である」ということになります。

ここで、同じ個数を「6.0×1023個」とすると、「気体の種類によらず、1molの気体は、同じ体積である」とすることもできます。

実際、いろいろな種類の気体で体積を測ると、ほとんどの気体の1molの体積は標準状態で22.4Lであることが分かっています。
標準状態とは、温度が0℃で、圧力が1.01×10Pa(パスカル)のことです。

  • 通常の大気圧とほぼ同じ
  • 1molの気体

ローザ 「1.01×10Paの圧力って、どれくらいかな?」

ケン 「えーと、10万1000パスカルだから、天気予報なんかでよく使っているhPa(ヘクトパスカル)にすると、1010hPa。だから、地球上の普段の大気の圧力と、だいたい同じくらいですね。」

所長 「そうだ。だから、もしも、この箱の中の温度と圧力が標準状態だったら……」

ローザ 「あ、その箱の体積が22.4Lですか?」

所長 「その通り。1molの気体の体積は、この立方体の体積と同じ22.4Lだ。」

ローザ 「ほとんどの気体で22.4Lって、まさにケミカルワールドの神秘ですね。」

所長 「そしてここで大切なことは、ある気体の体積が分かれば、『1molが22.4L』ということから物質量が分かる。そして、物質量が分かれば……」

ケン 「物質量が分かれば、質量も分かる。」

所長 「その通り。」

  • 物質1molは?

「物質量」1molは、「粒子の個数」にすると6.0×1023個です。
「質量」は、原子量や分子量、式量に「g」をつけた値になります。

さらに、ほとんどの気体では1molの体積は、標準状態において22.4Lという関係があります。

気体の体積から物質量・質量を求める
  • 箱の中の二酸化炭素の物質量は?
  • 0.25mol

標準状態、つまり温度0℃、圧力1.01×10Paの気体の体積から、その物質量と質量を求めてみます。

標準状態で5.6Lの二酸化炭素が入った箱があり、この二酸化炭素の物質量を計算で求めてみます。
右図は、気体の体積から物質量を求める方法を示したものです。

標準状態で、1molの気体の体積は22.4Lのため、5.6Lの気体の物質量の?molは、体積の割合から求めることができます。

つまり、

物質量?[mol]=5.6L/(22.4L/mol)=0.25mol

となります。

  • 箱の中の二酸化炭素の質量は
  • 11g

次に、0.25molの二酸化炭素の質量を求めてみます。
左図は、気体の物質量から質量を求める方法を示しています。

二酸化炭素0.25molの質量?gは、この図から分かるように、1molの質量の0.25倍です。
その二酸化炭素1molの質量は、分子量から求めることができます。
二酸化炭素は炭素原子・Cが1個と、酸素原子・Oが 2個からできており、その分子量は、

二酸化炭素の分子量=炭素の原子量+酸素の原子量×2
=12+16×2=44

と計算でき、二酸化炭素1molの質量は44gとなります。
二酸化炭素0.25molの質量は1molの質量の0.25倍だったので、

質量?[g]=(44g/mol)×0.25mol=11g

と計算でき、二酸化炭素0.25molの質量は11gとなります。
つまり、標準状態で5.6Lの二酸化炭素の質量は、11gです。

  • 体積は同じでも質量が異なる

いくつかの気体の質量を見てみます。

二酸化炭素1molの質量は44gです。
同様に考えて、酸素は原子量16の酸素原子が2個のため、16×2=32gです。
水素は、原子量1.0の水素原子が2個のため、2.0gです。
気体1molの体積は、標準状態でみな同じ22.4Lですが、
気体1molの質量はその気体の分子量に「g」をつけた値になり、それぞれ異なります。

  • 小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)
  • 空気のシャボン玉

ここで、特別研究員の小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)にお越しいただき、気体の質量を比べる実験を行いました。
質量の比較は、いろいろな気体でシャボン玉をつくって行います。

まず、ポンプで空気のシャボン玉をつくってみます。
空気は、1molで約29gで、ポンプから離れた空気のシャボン玉は、ゆっくり下がっていきます。

  • 空気より酸素のほうが少し速く落ちる
  • 二酸化炭素が酸素より早く落ちる

次に、酸素で試してみると、空気と比べて落ちる速さが、少しだけ速いように見えます(左写真)。

今度は、酸素と二酸化炭素でほぼ同じ大きさのシャボン玉をつくって、比べてみます。
酸素と二酸化炭素の玉を同時に落とすと、二酸化炭素の方が明らかに速く下がり、二酸化炭素の方が重いことが分かります(右写真)。

  • 水素でも試す
  • 上に上がっていく

最後に、1molの質量が2.0gの水素で試してみます。
すると、水素は周囲の空気より軽いため、シャボン玉は落ちるのではなく、勢いよく上に浮いていきました。

  • 気体Xの正体は?
  • 質量を酸素と比べる

所長 「では、ここで問題だ。このボンベに入っている気体Xは、どんな物質か、分かるかな。」

ローザ 「そんなこと。急に言われたって……。」

所長 「では、その気体Xが何であるか。先生に、調べ方を教えてもらおう。」

小柳先生 「気体Xの分子量が分かれば、気体Xがどんな物質か推測できます。」

ケン 「なるほど、分子量が2.0なら水素、分子量が32なら酸素ということが予想できますね。」

ローザ 「でも、気体Xの分子量って、どうやって調べるんですか?」

小柳先生 「はい。同じ体積の質量を酸素と比べるんです。」

  • 気体Xの分子量を求めるには
  • 気体Xの質量と酸素の質量が分かればよい

気体Xと酸素を同じ体積だけ取ります。
このとき、体積が同じことから分子の個数も同じです。
これはアボガドロの法則「同じ体積の気体には、同じ個数の分子が含まれる」から言えることです。
ただし、「同じ温度、同じ圧力のとき」という条件があります。

そして、求める気体Xの分子量をxとし、酸素の分子量は、32です。
このとき、気体Xの質量を●g、酸素の質量を■gとします。

すると、分子の個数が同じなので、質量と分子量の間には、「x:32=●:■」という比の関係が成り立ちます。
この式の形を変えると
x=(32×●)/■
となります。

ケン 「あ、気体Xの質量●と酸素の質量■が分かれば、その式から、気体Xの分子量xが分かりますね。」

ローザ 「でも、気体Xの質量●や、酸素の質量■は、どうやって測るんですか?」

小柳先生 「やってみましょう。」

  • 初めに質量を測ったボンベから500mLの気体を出す
  • 酸素500mLの質量を求める

まず、酸素が入ったボンベの質量を測り、次にこのボンベから一定の体積の酸素を出します。
この「一定の体積」を、たとえば500mLとし、出した後の質量を測ります。
最初の質量から、酸素を出した後の質量を引くと酸素の500mLの質量が分かります。

気体Xも、同様にして500mLの質量を求めることができます。

  • それぞれの平均値
  • 結果を先ほどの式に入れる

予め測定しておいた3回の平均値は、左図のようになります。
酸素500mLの質量は0.65g、気体Xは1.15gです。

この結果を先ほどの式に入れてみます。
気体Xの質量を●g、酸素の質量を■gとしたので、

x=(32×●)/■
 =(32×1.15)/0.65
 =56.6…

となり、分子量は約57となります。

  • ブタン
  • 次回もお楽しみに〜

ローザ 「分子量57って、どんな気体かな」

小柳先生 「はい。分子量57は、ちょっと思い浮かばないんですが、58ならブタンです。」


ブタンは炭素原子4個と水素原子10個が、左写真のように結合した気体で、分子式はC10です。
炭素の原子量は12、水素は1.0なので、ブタンの分子量は、「12×4+1.0×10=58」と計算できます。


ケン 「先生、ブタンって、何かで聞いたことがあるんですが……。」

小柳先生 「実は、このボンベはカセットコンロの燃料です。中には、主にブタンが入っているんです。」

ローザ 「コンロの上の鍋の中は気になるけど、ボンベの中のことは考えたことありませんでした。」


それでは次回もお楽しみに!

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