NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第19回

物質量

  • 化学基礎監修:神奈川大学附属中・高等学校教諭 小柳 めぐみ
学習ポイント学習ポイント

物質量

化学者は “粒の数” にこだわる!?
  • 1kgで何個?

ケンがキウイフルーツを食べているところへ、フラメル所長がやってきます。

ケン 「これ、1kg300円で安かったんですよ。所長も、1個どうです?」

所長 「い・ち・き・ろ?おい、ケン!キウイフルーツ1kgとは、何個のことですか?」

ケン 「さ、さぁ……。キウイフルーツ1個は、たぶん100gくらいだと思うんで、9個とか10個、11個……?」

所長 「もし9個だったら、2人で分けられないじゃないか!10個や11個だったら、3人で分けられないでしょ。いいか、ケン。化学者たるもの、質量だけでなく粒の数を把握しなければ、真実に迫ることはできないのだ!」

  • 1kgで300円
  • 米粒の数を数える!?

そこへローザがうれしそうにやってきます。

ローザ 「聞いて、聞いて!スーパーに行ったらね、大安売りしてたの!これ、なんと、1kg300円!とってもお得じゃない?」

ケン 「ローザ、いいかい?化学者たるもの、質量だけでなく、粒の数まで把握しておかないと真実に迫ることはできないんだよ。だいたいローザには、化学者としてのきょうじが……」

ローザ 「じゃあ、粒の数を数えてもらいましょうか!」

そういってローザが手提げ袋から取り出したのは、キウイフルーツではなく、お米でした。

  • 粒子の数が重要

今日は、化学で使われる「単位」について、考えていきます。
質量の単位である「kg」や、長さの単位の「m」と同様に、化学反応を考える場合に都合のいい単位があります。

たとえば、“炭素と酸素から二酸化炭素ができる” という化学反応を考えてみます。
この反応では、炭素原子1個と酸素分子1個から、二酸化炭素分子1個ができます。

このように、化学反応では、「粒子が何個ずつ反応して何個の粒子ができているか」ということが重要になります。
そのため、粒の数をもとにした単位で考えると都合がよくなります。

しかし、原子や分子はとても小さいため、実際に数えることはできません。
それをどのように単位にすればよいのでしょうか。

12gの炭素に原子は何個?
  • 12gのダイヤモンド
  • 6.0×10<sup>23</sup>(個)と計算できる

そこで、単体の炭素の結晶であるダイヤモンドで考えていきます。
用意した合計12gのダイヤモンドの中に、炭素の原子は何個含まれているでしょうか。
炭素原子の個数は、全体の質量である12gを、炭素原子1個の質量で割ることで求めることができます。

炭素原子の質量は1.99×10−23gですが、ここでは約2.0×10−23gと考えます。

すると、右図のように計算でき、6.0×1023個の炭素原子があることが分かります。

この6.0×1023個、すなわち、「炭素12gに含まれる炭素原子の数」のことを、イタリアの科学者アボガドロにちなんで「アボガドロ数」と呼びます。

  • アルミニウムの結晶27g中の原子の数は?
  • こちらも6.0×10<sup>23</sup>個

同様に、式量27のアルミニウムについて考えてみます。
アルミニウムでできている1円玉を27枚用意しました。
1円玉1枚の重さは、1gです。

アルミニウム原子1個の質量は、約4.5×10−23gです。

アルミニウム27gに含まれるアルミニウム原子の数は、右図のように計算することができ、炭素の場合と同じ6.0×1023個となります。

  • 水の場合は?
  • やはり6.0×10<sup>23</sup>個

単体だけではなく、分子の場合についても考えてみます。
水素と酸素の化合物である水18gの中には、水分子は何個あるでしょうか。

水分子1個の質量は、約3.0×10−23gです。

右図のように計算すると、やはり6.0×1023個になりました。

  • 一定数をまとめてひとつの単位とする考え
  • アボガドロ数個で1mol

このように、すべての物質はその原子量・分子量・式量に「g」をつけた質量の中に、アボガドロ数個の粒子が含まれています。
化学の世界では、「アボガドロ数個の粒子の集団」を1つのまとまりとして考えることになっています。
このまとまりの単位は、molと書いて「モル」と読みます。
どのような物質でも6.0×1023個集めれば1molです。

このような「一定の数のモノをまとめて1つの単位とする考え方」は、実は普段から使っています。
たとえば、鉛筆が12本あれば「1ダース」と数えます。
鉛筆だけではなく、キャップや消しゴム、ペットボトルでも12個集まれば1ダースです。

それと同様に、炭素やアルミニウム、水も6.0×1023個集まれば「1mol」となります。

物質量
  • 物質量=粒子の数/アボガドロ定数

所長 「さて、“モル” という単位をどう使うかということなんだが、まず覚えるべき言葉が『物質量』だ。物質量とは、“モルを単位として表した粒子の数” のことだ。そして、その物質量を求めるには、次の数式を使えばいい。」

物質量=粒子の数/アボガドロ定数

アボガドロ定数とは、1モル当たりに含まれる粒子の数で、
6.0×1023/mol
と表されます。
単位は、「パーモル」、か「毎モル」と読みます。

そこで、先ほどの物質量を求める数式は、上写真のような式になります。


所長 「アボガドロ数をもとに、物質量を計算するために設定されたのがアボガドロ定数だ。ちょっと紛らわしいかもしれないが、とにかく6.0×1023という数字が大事だってことだな。」

  • ヘリウム原子の数を「粒子の数」とする
  • 有効数字2桁で答える必要がある

ここで、物質量を求める問題に挑戦です。
使うのは、先ほど出てきた、物質量を求める数式だけです。
問題文にある数値を、式のどこに当てはめれば答えが求められるか考えてみましょう。

Q1.ヘリウム原子4.2×1023個の物質量は何mol?

ヘリウム原子の数を物質量の式の、「粒子の数」に当てはめ、

物質量=4.2×1023/(6.0×1023/mol)
   =0.7mol

ケンはこのように計算しましたが、これは不完全な解答です。

このような問題について考えるときには、有効数字に注意する必要があります。
問題文の有効数字が2桁、アボガドロ定数も有効数字が2桁の場合、答えも有効数字2桁まで書く必要があります。
この場合、7が有効数字の1桁目なので、「0.70mol」と書けば、完全な解答でした。

  • 24は2.4に
  • 両辺の単位を揃える

Q2.物質量4.0molの二酸化炭素には、二酸化炭素分子が何個含まれる?

ローザの解答は、

4.0=x/(6.0×1023/mol)
x=4.0×6.0×1023/mol
 =24.0×1023

となりましたが、これも少し惜しい解答です。
こちらも、有効数字2桁で書くため、「24×1023」と書けばいいと思った人もいるかもしれません。
しかし実は、「○○×10」という書き方をする場合、「○○」は1以上10未満で書くというルールがあります。
そのため、「2.4×1024個」が正解となります。

また、式の中にアボガドロ定数の単位「/mol」を書いているので、4.0にも単位「mol」をつけると、両辺の単位を揃えることができます。

つまり、

4.0mol=x/(6.0×1023/mol)
x=4.0mol×6.0×1023/mol
 =2.4×1024

となり、粒子の数は「2.4×1024個」になります。

モル質量は原子量・分子量・式量に単位「g/mol」をつけたもの

物質量は粒の数だけでなく、質量から求めることもできます。
計算式は、
物質量=物質の質量/モル質量
です。

「モル質量」とは、物質1molあたりの質量のことで、その物質の原子量・分子量・式量に、単位「g/mol」をつけたものです。
モル質量の値は物質によって決まっています。


ここまでの内容を、もう一度、上の図で確認します。

原子量12の炭素原子が「アボガドロ数個」、つまり6.0×1023個集まると、質量が12gになります。
この値が、物質1molあたりの質量、つまり「モル質量」です。

質量から物質量を求める
  • 物質量は0.20molで正解
  • 塩化物イオンの数は不正解

ここで、さらに問題です。
塩化マグネシウム(式量95)19gの物質量は何molでしょうか?
また、塩化物イオンは何個含まれるでしょうか?
問題の後半において、求めるのは塩化マグネシウムの個数ではなく、「塩化物イオン」の個数なので注意が必要です。

式量が95なので、モル質量は95g/molです。
95g/molで19gを割ると、塩化マグネシウム19gの物質量は0.20molとなります。

次に、含まれる塩化物イオンの個数を求めます。

ローザは、物質量にアボガドロ定数をかければ良いと考え、
0.20mol×6.0×1023/mol=1.2×1023
と計算しました。
しかし、これでは不正解です。

  • 小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)
  • Cl<sup>−</sup>はMg<sup>2+</sup>の2倍

ここで、特別研究員の小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)に詳しく解説していただきました。

小柳先生 「これは、とてもよくある間違いなんです。ポイントは、塩化マグネシウムの化学式なんです。」

塩化マグネシウムの化学式はMgClです。
1molの塩化マグネシウムには、Mg2+が1つと、Clが2つ、セットでアボガドロ数個(=6.0×1023個)含まれています。

つまり、Mg2+は「6.0×1023個」ですが、Clはその2倍の「2×6.0×1023個」あることになります。

そこで、
0.20mol×(6.0×1023/mol)×2
=2.4×1023

となり、2.4×1023個が正解です。


小柳先生 「質量の計算は、これから先、いろいろな化学反応を考えたり実験をしたりする上で、知っておかなければいけないことです。似たような言葉があったりして紛らわしいとか難しいとか感じることがあるかもしれませんが、しっかりと意味を押さえて、自分のものにしていってください。」

炭素からケイ素へ
  • アボガドロ定数の決定に使用されたシリコン球体

アボガドロ数を求めるには、これまで炭素が使われてきましたが、最近変化が表れているといいます。


小柳先生 「現在使われているのは炭素ではなく、シリコン、つまりケイ素の結晶の球体です。質量がちょうど1kgになるように、超精密研磨したものなんです。」

所長 「なぜ、炭素ではなくケイ素を使うようになったんですか?」

小柳先生 「半導体産業の繁栄に伴う技術の高度化によって、シリコンの結晶がより高い純度で作れるようになりました。炭素の結晶を使うよりも、より精密な数値が計測できるんですよ。」

  • 今までより1桁多く求められた
  • 次回もお楽しみに〜

この球体は、直径が約93.6mmです。
誤差が1万分の1mmもないという、極めて真球、つまり理想的な球に近い形をしています。
日本の産業技術総合研究所と海外の7つの研究機関との国際プロジェクトで、体積と質量を精密に測定して、アボガドロ定数のより詳しい値が求められました。


所長 「今回、私たちが使ったのは、“6.0×1023/mol”でしたが……?」

小柳先生 「はい、今分かっているのは、6.02214129×1023/molと、今までよりも、1桁多く求まっているんです。」

所長 「このようにして、化学の基礎も日々進歩していくんですね。」

小柳先生 「そうですね。」

所長 「でも、私だったら、すべての基準は、金にしたいところだなぁ……。」


それでは、次回もお楽しみに!

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