NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第18回

原子量・分子量・式量

  • 化学基礎監修:神奈川大学附属中・高等学校教諭 小柳 めぐみ
学習ポイント学習ポイント

原子量・分子量・式量

  • 太陽の質量は地球の約33万倍
  • ベテルギウスの質量は太陽の約20倍

ケンが天体望遠鏡の手入れをしています。

ローザ 「宇宙の話ってロマンがあって素敵だけど、やたら大きな数字がでてくるのは私は苦手だな。何十億年前にどうとか、何億光年離れたナントカ星雲がどうとか。あれって、どうにかならないの?」

ケン 「壮大な宇宙の話だから仕方ないんだけどね。でも、基準になるものと比較して考えるとイメージしやすいんだ。たとえば、太陽の質量は約2.0×1030kgって言われても よく分からないと思うけど『地球の質量のおよそ33万倍』って言えば、少しはイメージしやすいでしょ?」

ローザ 「まあ、少しはね。」

ケン 「オリオン座のベテルギウスの質量は『太陽のおよそ20倍』とかね。」

ローザ 「ああ、よく広さのたとえに『東京ドームの何倍』とかいうようなものでしょ。日本酒1升のカロリーは、ご飯およそ8杯分だとか。」

ケン 「何でそんなこと知ってるの?」

所長 「基準になるものと比較するのはいい考えだ。金の密度は亜鉛のおよそ3倍。」

ケン 「また、金についてのうんちくですか。」

所長 「もちろん、金とは限らない。たとえば非常に小さいものの質量を考えるとき、何かを基準にして比べると、計算がずっと楽になることがある。」

  • 水素原子で1.67×10<sup>−24</sup>g
  • 原子の質量を表すには原子の相対質量を使う

所長 「ところで、原子の大きさはどれくらいか、覚えているかな?」

ケン 「原子の直径は、およそ1億分の1cmです。」

所長 「では、原子1個の質量はどうかな?」

ケン 「最も小さな水素原子で1.67×10−24gです。」

所長 「その通り。」

ローザ 「マイナス何乗とかっていう、桁数が多い数字って、私キライです。とても扱いにくいんです。」


ローザのこの悩みは、実は昔から多くの化学者も苦労してきたものでした。
現在では原子の質量を表すには、基準として決めたある原子と比較した『相対値』、つまり『原子の相対質量』を使うことになっています。

  • 米・小豆・大豆の質量を量る
  • 比で考える

原子の相対質量を理解する前に “頭の準備体操” として、米・アズキ・ダイズで、一粒の質量の関係を考えてみます。

それぞれの質量を量ると、

・米  0.02g
・アズキ 0.14g
・ダイズ 0.26g

でした。


それぞれの質量の関係を見てみます。
米が0.02gでアズキが0.14gなので、アズキは米の7倍ということが分かります。


ローザ 「でも、小数が並んでいて、ちょっとわかりにくいですね。」

所長 「確かにそうだな。そこでひと工夫だ。米1粒の質量を1とすると、アズキとダイズはどうなるかな?」

ローザ 「あ、比で考えるってことですね。」


米とアズキとダイズの質量の関係は、実際の数値では比較しづらいというのが難点です。

しかし、米1粒の質量を1として、これを基準とした相対値で表すと、「米が1、アズキが7、ダイズが13」となり、互いの質量の比較が簡単になります。

このように基準と比較した質量を「相対質量」といいます。
相対質量は「比」を表した数字であるため、単位はつけないというルールがあります。

  • 炭素12、水素1、酸素16の原子の実際の質量

原子の質量に、相対質量の考え方を当てはめてみます。
上の図には、炭素12、水素1、酸素16の原子の実際の質量が記されています。

炭素12の原子1個の質量は、「約1.99×10−23g」です。
「−23(マイナス23乗)」という、小さな文字を指数といいます。

  • 10<sup>23</sup>
  • 10<sup>−23</sup>

1023は、10を23回かけたもので、普通に書けば「0」が23個並びます。
10−23は、1を10で23回割ったもので、普通に書けば「0.0000……」と「0」が23個並びます。

このように大きな数は正の指数で、小さな数は負の指数で表すことができます。


ローザ 「あー、また私のキライな細かい数字が出てきた。」

所長 「まあそう嫌うな。米とアズキとダイズの関係のように『質量比』を考えてみればいいんだ。水素を基準にしてもいいんだが、現在の化学の世界では、炭素が基準になっているんだ。」

水素と酸素と炭素の相対質量は?
  • <sup>12</sup>Cを基準として<sup>1</sup>Hの相対質量は?
  • このような式を立てられる

12Cの原子1個の質量を12として、これを基準としたHの原子1個の相対質量を求めてみます。
Hの原子1個の質量は、1.67×10−24gです。

比率で考えると、
12Cの原子の質量:Hの原子の質量=12:Hの原子の相対質量
となります。
これに実際の炭素と水素の質量を当てはめると、
1.99×10−23:1.67×10−24=12:x

ここで指数をマイナス24乗に揃えます。
19.9×10−24:1.67×10−24=12:x

  • 炭素を12とすると、水素は1.0
  • 水素原子12個で炭素1個と同じ質量に

これを整理して計算すると、
19.9:1.67=12:x
x≒1.01
となります。

つまり、炭素を12とすると水素は1.0となり、12Cの原子1個とHの原子12個が同じ質量ということになります。

  • <sup>16</sup>Oの原子の相対質量は?
  • 相対質量だと整数で表せる

同様に、12Cの原子1個の質量を12として、16Oの原子1個の相対質量を求めます。
16Oの原子1個の質量は、2.66×10−23gです。

1.99:2.66=12:x
x≒16.04
となり、16Oの原子の相対質量は16.0となります。


同様に12Cを基準として、他の原子の相対質量を求めると、右図のようになります。
主な原子の質量の多くが、相対質量にすると整数で表すことができます。


ローザ 「どの原子の質量が、どの原子の何倍なんていうのも、これなら簡単に計算できますね。」

所長 「そうだな。原子1個の質量は小さ過ぎて扱いにくいが、原子の相対質量で考えると分かりやすくなるんだ。」

原子量を求める
  • 同位体の存在比を考慮する

ケン 「原子の相対質量で考えるといっても、確か同じ元素でも、質量が違う原子がありましたね。」

所長 「そうだ。化学的性質はほとんど同じでも質量数が異なるのが『同位体』だ。」

ケン 「その場合、相対質量はどう考えればいいんですか?」

所長 「元素には質量数の異なる同位体を持つものが多いが、その元素の同位体が自然の中に存在する割合は決まっているんだ。」


天然に存在する炭素原子には、質量数が12の12Cのほかに質量数が13の13Cや、質量数が14の14Cという同位体があります。
天然に存在する割合は、12Cが98.93%、13Cが1.07%であり、14Cはごく微量です。
これらを平均することで、炭素の原子量を求めることができます。

同位体の相対質量と存在比から平均値を計算すると、炭素の原子量を求める式は上の図のようになります。
これを計算すると、炭素の原子量は約12.01になります。
原子量は相対質量を平均した数値のため、単位はありません。


ケン 「なるほど、原子量は同位体の “存在比” を含めて計算するんですね。」

所長 「そういうことだ。炭素12と炭素13があるから炭素の原子量は12.01ということになる。」

ローザ 「しかし所長、今までは、すでに分かっている原子量の数値を使って計算してきました。でも、たとえば原子量が分からない原子の場合どうやって原子量を求めるんですか?」

  • 小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)
  • 塩素の原子量は?

ここで、特別研究員の小柳 めぐみ 先生(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)に詳しく解説していただきます。

小柳先生 「原子量は、最初から分かっていたわけではないので、昔の研究者は、実際に原子を反応させて、その数値を求めたんですよ。」

ケン 「実際に “反応” させてですか?」

小柳先生 「実際にやってみましょうか。たとえば皆さんが良くご存知の塩化ナトリウム・NaClは、ナトリウム・Naと塩素・Clからできています。ナトリウムの原子量は分かっているけれど、ここでは、塩素の原子量がわからないということにして、その原子量を求めてみましょう。」

  • Na(0.23g)
  • 気体を発生させて激しく反応
  • 反応後のシャーレ

ナトリウムの原子量は「23」と分かっています。
用意したナトリウムの質量はすでに測ってあり、0.23gです。
このナトリウムに、薄めた塩酸・HClを加えると、気体を発生させて激しく反応します。

ナトリウムと塩化水素が反応した結果、塩化ナトリウムができました。

  • 塩化ナトリウムができた
  • 反応後から反応前の質量を引く

次に、塩素の原子量がどのくらいか、化合した塩素原子から求めてみます。

ナトリウムと塩酸を反応させたシャーレを電気プレートで5分間加熱し、塩化ナトリウム以外を蒸発させます。
こうすることで、白い固体の塩化ナトリウムだけが残ります。

シャーレを電子天秤に乗せ、シャーレの重さを引いて塩化ナトリウムの質量を求めます。
反応後の塩化ナトリウムの質量は、0.59gでした。

化合した塩素Clの質量は、反応後の塩化ナトリウム質量から反応前のナトリウムの質量を引くことで求めることができます。
      
反応前のナトリウムの質量は0.23g、塩化ナトリウムは0.59gだったので、塩素・Clの質量は、
0. 59−0.23=0.36
となり、塩素の質量は0.36gだということが分かりました。

  • 得られた数値から計算する
  • 周期表とほぼ同じ値

実験で得られた数値から、塩素の原子量を求めてみます。

反応前のNaの質量:化合した塩素の質量=Naの原子量:Clの原子量

という関係から、

0. 23g:0.36g=23:x
0. 23×x=0.36×23
x=(0.36×23)/0.23
x=36

となり、塩素の原子量は36だということが分かります。


小柳 「では、その出してくれた塩素の原子量の値を周期表の値と比べてみましょう。塩素の原子量はいくつですか?」

ケン 「35.45 です。」

小柳 「実験で求めた値は36ですから、ほぼ同じ値になっていますね。このように、実際に化学反応させたときの質量の変化から原子量を測定することができるんですよ。」

分子量・式量を求める
  • 二酸化炭素の分子量

次は「分子量・式量」の値を求めてみます。

「原子量」は原子の相対質量でしたが、「分子量」は分子の相対質量を求めます。
分子量を求めるには、分子を構成している原子の原子量を合計します。

まず、二酸化炭素・COの分子量を求めてみます。
原子量12の炭素が1個、原子量16の酸素が2個です。
これら全てを足していくと、

CO=12×1+16×2
=12+32
=44

二酸化炭素の分子量は44になります。

  • 式量も原子量を合計
  • 次回もお楽しみに〜

次は「式量」を計算します。

式量は、塩化ナトリウム・銅・硫黄や、ナトリウムイオン・硫酸イオンのように組成式やイオン式で表される物質で分子量の代わりに使います。
また、式量は分子量と同様に、構成する原子の原子量を合計して求めることができます。


塩化ナトリウム・NaClの式量を求めてみます。
原子量23のナトリウム原子が1個、原子量35.5の塩素原子が1個なので、

23×1+35.5×1
=23+35.5
=58.5

となり、塩化ナトリウム・NaClの式量は58.5です。
式量にも、分子量と同様に単位はありません。


それでは次回もお楽しみに!

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