NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

今回の学習

第14回

分子と共有結合

  • 化学基礎監修:東京都立府中高等学校教諭 貝谷 康治
学習ポイント学習ポイント

分子と共有結合

なぜ水はHO?
  • 水分子の形が切ない…?
  • HOでもいい?

ローザが、水の分子模型を見てため息をついています。

ローザ 「水の分子、HOって、なんだか切ないわね。だって、水素原子2つが酸素原子の両側にあって、酸素原子を取り合ってるみたいじゃない?酸素は、水素1つだけじゃ満足できないのかしら?」

ケン 「何、言ってるの?別に三角関係ってわけじゃないでしょ。擬人化し過ぎてるんじゃないの?」

ローザ 「だって、HOじゃなくて、HOでもいいじゃない。それとも、水素1つと酸素1つだけじゃ、幸せなカップルにはなれないのかしら?」

所長 「HOは2つの水素と1つの酸素が結びついた、その形がいちばん安定な状態なのだ。一対一のペアになることだけが美しいわけではない。」

ローザ 「そんな!」

所長 「2つの水素と1つの酸素は “あるもの” を共有してしっかりと結びついているのだ。」

分子のなりたち
  • 気体の酸素の分子式
  • 水の分子式

分子とは、決まった種類の原子が、決まった数だけ結びついた粒子のことです。
たとえば、気体の酸素・Oは、普通「酸素原子2つ」が結びついて「酸素分子」として存在します。
このように、同じ原子どうしが結びついて分子になる場合もあります。

そして分子は、構成している原子の種類と数を「分子式」で表すことができます。

気体の酸素は、酸素原子2個が結びついて分子を作っています。
2つ並んだ酸素原子を記号に置き換えると、「OO」となります。
そして、同じ原子をまとめて個数を右下に書き、酸素分子「O」とします。

次に、水分子について考えます。
水分子は酸素原子1個と水素原子2個でできているので、元素記号に置き換えると、「HOH」となります。
そして、同じ原子をまとめて個数を右下に書き、「HO」と書きます。
ここで「O」の数は1ですが、個数が1の場合、省略することになっています。

このように分子式は、その物質を作っている元素の種類と数を示しているため、その分子がどのような元素からできているかが一目で分かります。

共有結合
  • 水素原子の模型
  • 互いの価電子を共有

ローザ 「ところで所長、分子の中で、原子と原子はどのように結びついているんですか?」

所長 「それが、今日のポイントだ。原子やイオンの結び付き方には3種類ある。」


原子やイオンの結びつきとして、これまで、「イオン結合」と「金属結合」という2つを学びました。
「イオン結合」は、陽イオンと陰イオンが、静電気的な引力で引き合って結びつきます。
また、「金属結合」は、金属原子どうしを自由電子が結びつけています。

そして、もう1つの結合のしかたが「共有結合」です。

共有結合は、一般に「非金属の原子どうしの結合」です。
原子と原子が、互いに電子を共有することによって結びついています。


水素分子の場合を、模型を使って考えてみます(左写真)。
原子番号1の水素原子は、K殻に1個の価電子を持っています。
K殻に電子が2個あれば安定しますが、電子が1つ少ない状態です。

水素原子が安定になるためには、右写真のように2つの水素原子が部分的に重なる必要があります。
これは、2つの水素原子が価電子を共有することで、それぞれが2個の電子を持っている状態です。
K殻に2個の電子があることで、希ガスのヘリウム原子と同じように、安定な電子配置になります。

このように水素原子どうしの共有結合では、2個の水素原子が互いの価電子を共有することで結びつき、安定な水素分子・Hが作られます。

  • 塩素原子は最外殻に7つの電子
  • HとClのどちらも安定

価電子を1つ持つ水素原子は、水素原子どうしだけでなく、他の原子とも結びつきます。

次は塩素原子の場合を模型で見てみます。
原子番号17の塩素原子は、一番外側のM殻に7つの電子を持っています。
価電子が8つなら安定ですが、7つしかない状態です(左写真)。

ここで、水素原子と組み合わせると、うまくくっつきます(右写真)。
このとき水素原子は最外殻に2つの電子を持っていることになり、塩素原子は8つの電子を持っていることになります。
こうしてできた塩化水素・HClにおいて、塩素原子と水素原子の電子配置はどちらも安定な状態になります。

  • 電子式
  • 酸素の最外殻電子6個の表し方

このような共有結合のしかたを理解するのに便利なのが、「電子式」です。
左図の右側は水素原子の電子式で、「最外殻電子が1つ」ということが元素記号の横の「・」で示してあります。

次に、酸素について見てみます。
原子番号が8なので、電子は内側のK殻に2個、一番外側のL殻には6個あります。
電子式では、最外殻電子6個を右図中の右側のように表します。

このとき、ペアになった電子を「電子対」、ペアになっていない電子を「不対電子」といいます。

  • 電子式の書き方の悪い例

電子式の書き方には、決まりがあります。
元素記号の上下左右に電子が2つずつ入る箱があると考えて、電子を表す点を書いていきます。
4個までの電子は別々の箱に入れ、5個目からは、すでに電子が入った箱に入れます。
こうして2つ電子が入ってペアになったものを「電子対」、1つしか入らなかったものは「不対電子」といいます。

不対電子として残しておく場所はどこでも構いませんが、空の箱が残らないように電子を表す点を書かなくてはなりません。
上の図は悪い例です。

  • HOだと不対電子が残る
  • 不対電子がなくなり安定に

所長 「ではいよいよ、ローザが悩んでいた、水はどうして “HO” ではなく “HO”になるのかということを考えてみよう。」


水素・Hと、酸素・Oの模型を組み合わせるとどうなるでしょうか。
水素原子の持つ不対電子と、酸素原子の持つ不対電子を共有すると、左写真の形に共有結合します。

しかし、酸素には、もう1つ不対電子が残っており、水素がもう1つ必要になります。
そこで、水素原子をもう1つつなげてみます。
すると、水素の電子はどちらも2個、酸素の電子は8個でどちらも不対電子がなくなって安定します。

  • 共有電子対
  • 非共有電子対

所長 「なぜHOではなく、HOなのか、分かったかな?」

ローザ 「はい。よく分かりました。」

所長 「ちなみに、このときHとOの間で共有されている電子を『共有電子対』、共有結合に関係していない電子対を『非共有電子対』というんだ。」

  • 不対電子が残ってしまう
  • 二重結合

今度は、二酸化炭素・COの共有結合について考えてみます。
ケンが模型の炭素・Cを1個、酸素・Oを2個、左写真のようにつなげました。
しかし、これでは酸素にも炭素にも、「不対電子」が残ってしまっています。


ケン 「え?でも、これはくっつけられない!」

所長 「そうか、悪かったな。この模型では無理だが、実はこんな形だと考えてもいいんだ(右写真)。」

ケン 「これなら全部の不対電子を使って共有結合できる!」

二酸化炭素の場合、右写真のように炭素の左右両側で、それぞれ2組の共有結合を作っています。
これを「二重結合」といいます。

結合のしかたを表す方法

このような結合のしかたを表すには、いくつかの方法があります。

まず水素分子の例を見てみます。
分子式はHです。
電子式は、価電子を点で表します。
図では、共有電子対を分かりやすいようにピンクで囲んでいます。

そして構造式は、共有電子対を線で表します。
共有結合が1つだけの場合、「単結合」です。


次に、二酸化炭素の場合です。
分子式は、COです。
電子式では、共有電子対がCの両側に2つずつできています。
それぞれ2組の共有結合ができているということを表しています。
これを構造式では、二本線を書いて表します。
この状態を「二重結合」といいます。


窒素分子の場合です。
分子式は、Nです。
電子式では、共有電子対が3つあり、NとNとの間に3組の電子対を書きます。
構造式では、それを三本線で表します。
この状態を「三重結合」といいます。

分子の形
  • 貝谷 康治 先生(東京都立府中高等学校 教諭)

ここまで、分子を作る「原子の結合のしかた」について考えてきましたが、今度は「立体的な分子の形」について見ていきます。

分子の立体的な形とその性質との関係について、特別研究員の貝谷 康治 先生(東京都立府中高等学校 教諭)に詳しく解説していただきました。


所長 「貝谷先生、分子の形にもいろいろありますね。」

貝谷先生 「そうですね。実は、分子の形はとても様々です。結合している原子の種類や、共有結合のしかたによって違います。

ケン 「分子の立体的な形って、なかなか想像できないんですが。」

貝谷先生 「それは、分子の立体模型を作ってみると実感できますよ。」

  • 酸素原子と水素原子
  • 角度がついた水分子

ケンはとローザは分子の模型を作ることになりました。

ローザが作るのは、水分子の模型です。
赤い大きな玉を酸素原子、水色の小さな玉を水素原子とします(左写真)。
水の分子はHOなので、水色の玉が2個、赤い玉が1個です。

水素原子と酸素原子は「単結合」のため、赤い玉の両側を、それぞれ白い棒1本でつなぎました。
すると、3つの原子は直線上には並ばず、少し角度がついてつながっています。


貝谷先生 「電子式や構造式では平面的なイメージしか分からないですが、実際には、こんなつながり方をしていることが分かっているんです。」

  • 炭素原子を1個、酸素原子を2個
  • 二酸化炭素は原子が一列に並ぶ

次は、ケンが二酸化炭素の分子模型を作ってみます。
黒い玉を炭素原子、赤い玉を酸素原子とします(左写真)。
二酸化炭素はCOなので、黒い玉を1個、赤い玉を2個使います。

二酸化炭素の結合は二重結合のため、右写真のようにつなぎます。
今度は水分子と違い、3つの原子が一列に並んでいます。


ケン 「電子式や構造式では想像がつかなかった形です。」

貝谷先生 「分子の形を立体的に見ると、いろいろな形があってとても興味深いですね。他にもいくつか作っておきましたので紹介しましょう。」

  • メタン分子の形
  • アンモニア分子の形
  • 窒素分子、水素分子の形

分子によって形はいろいろです。

メタンは炭素1つと水素4つでできており、波消しブロックのような正四面体の形をしています。
アンモニアは窒素1つと水素3つでできており、三角錐形です。
窒素分子は窒素が2つで、三重結合しています。
水素分子は水素2つが単結合しており、ダンベルのような形をしています。

  • 4組の共有電子対が反発し合う

ケン 「先生、どうしてこういう形になるんですか?」

貝谷先生 「それは、分子の形は、『電子対どうしが互いに反発しあい、できるだけ遠く離れる』と考えると理解しやすいんですよ。」


たとえば、メタンの場合は炭素原子1個を中心に、4個の水素原子が離れて存在しています。
炭素と水素の「4組の共有電子対」が反発し合って、互いになるべく遠くに離れるように作用し、このような形になります。

  • 分子構造を似せたものを人工的に作ることが可能に
  • 次回もお楽しみに!

ローザ 「ところで、分子の構造が分かると、どんなことに役立つんですか?」

貝谷先生 「ある機能をもつ天然の分子の構造が分かると、分子の形や並び方を似せたものを人工的に作ることができるようになります。すると、その知識をさらに応用して、人間や自然にとって有用なものを新たにつくり出すことができるようになるかもしれないんです。

ローザ 「それはすごいですね。強くて軽い新素材とか。」

ケン 「新しい医薬品とか。」

所長 「いろいろな可能性が、生まれてきますよね。」


それでは、次回もお楽しみに!!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約