NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、昨年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第10回

元素の周期表

  • 化学基礎監修:東邦大学教授 今井 泉
学習ポイント学習ポイント

元素の周期表

  • メンデレーエフ
  • 周期表のタオル

ケンが本を読みながら居眠りをしています。

ローザ 「ねえ、ケン。元素の周期表を考えた人って誰だっけ?確かロシアの人だよね。ケン? ケン!!」

ケン 「はいっ!今、すごいことを思いついちゃった。宇宙船の素材に使える超合金の合成方法だよ。まず最初にね……あれ?ローザが急に起こすから、忘れちゃったじゃないか!」

ローザ 「ダメじゃん。それに、どうせ夢なんだから。」

ケン 「夢だって馬鹿にできないんだよ。元素の周期表を考案したロシアの科学者・メンデレーエフだって、夢の中で元素の並び方を思いついたって言われているんだから。」

所長 「確かにそういうこともあるな。メンデレーエフはそれまで20年以上も元素の性質について考え続けていたんだ。それがあったからこそ、夢の中で周期表というものを思いついたのかも知れないな。それにしても、この周期表というものは実に奥が深い。」

元素を整理
周期表

周期表では、元素は原子番号の順番で並んでいます。
原子番号は、原子に含まれる陽子の数です。
周期表を理解するためには、3つのポイントがあります。

〜ポイント1〜
原子番号が大きくなるに従って、陽子が一つずつ増えていき、それにつれて原子の質量も大きくなります。

〜ポイント2〜
陽子が一つずつ増えていくに従って、電子の数も増えていきます。
そして価電子の数も規則的に変化していきます。

「価電子」とは、最外殻にあって元素の性質と深い関わりがある電子のこと。
価電子の数が周期的に変化すると、それにつれて元素の性質も周期的に変化します。
これを「元素の周期律」といいます。

〜ポイント3〜
元素の周期律に基づいて、性質の似た元素を同じ縦の列に並ぶように配列したのが、周期表です。
このことから、元素が周期表のどの位置にあるかによって、元素のおおよその性質を推定することができます。

  • 金属元素と非金属元素

ローザ 「周期表が色分けされているのはどうしてですか?」

所長 「それは、金属元素か非金属元素か、という分類だな。青色が金属元素で、黄色が非金属元素だ。これについては、特別研究員の今井先生に詳しく聞いてみよう。」

  • 今井 泉 先生(東邦大学 教授)
  • 金属・非金属元素の境界にあるケイ素

金属と非金属の違いについて、今井 泉 先生(東邦大学 教授)に詳しく解説していただきました。

今井先生 「金属には、金属光沢と呼ばれる独特の輝きがあること、電気を通すことなどの性質があります。この周期表で青色で示されているように、かなり多くの元素が含まれています。しかし、金属と非金属の境界線あたりにあるケイ素・Siなどの元素は、金属元素と非金属元素の中間の性質を持っています。」

ケン 「半導体と呼ばれているものですよね。」

半導体の性質
  • シリコンウェハー
  • 電子オルゴール

半導体の性質を実験で確かめてみました。
実験には、ケイ素でできたシリコンウェハーを使います。
ケイ素は周期表では非金属に分類されますが、光沢があり、まるで金属のように見えます。

まず、電気を通すか確かめてみます。
電子オルゴールの電極を、クギなどの、電気を通すものにつなぐと音楽が鳴ります。
反対に、消しゴムのように電気を通さない物体につないでも音楽は鳴りません。

  • シリコンウェハーは電気を通さない
  • 高温になると電気を通す

この電子オルゴールをシリコンウェハーにつないでみても、音は鳴りません。


今井先生 「シリコンウェハー、ケイ素はこの状態では電気を通さない、つまり非金属なんです。では、ここからが実験です。このシリコンウェハーにガスバーナーで熱を加えます。」

ケン 「えっ、熱を加えると、もしかして電気が通るようになるんですか?」


今度は、ガスバーナーでシリコンウェハーを加熱して実験を行います(右写真)。
高温になった状態で電子オルゴールをつなぐと、電子オルゴールが鳴りました。
このように、シリコンウェハーは温度が上がった状態で電気を通し、金属の性質を示しました。
これは、加熱したことで、電子が移動できるようになったためです。

このように物質は、電子を通す「導体」と電子を通さない「絶縁体」、そしてある条件によって電子を通す「半導体」に分かれます。

半導体の最大の特徴は、温度の変化や光の照射、不純物の添加により電気抵抗率が大きく変化することです。
この性質を利用して、電流を一方向にのみ流すダイオードや、電気信号を増幅したり電気信号の流れを高速でON/OFFにするトランジスタなどの電子部品が作られています。
現在ではパソコンはもちろん、携帯電話などの情報端末から家電製品、自動車、クレジットカード、電子マネーに至るまで、あらゆる分野で半導体が使われています。

周期表で何がわかる?
  • 周期表の見かた
  • 典型元素と遷移元素

周期表の横の行を「周期」といい、縦の列を「族」といいます。
そして、同じ族に属する元素を「同族元素」といいます。

さらに、同族元素の3から11族を「遷移元素」といいます。
遷移元素以外の、1、2族と12から18族を「典型元素」といいます。

典型元素では、同じ族の価電子の数が等しく、互いに良く似た性質を示します。

アルカリ金属の性質
  • アルカリ金属
  • リチウム・ナトリウム・カリウム

リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属が、その一例です。
アルカリ金属が、どのような共通の性質を持っているのか確かめる実験を見てみます。

  • リチウム
  • ナトリウム
  • カリウム

  • 水と反応し気体を発生させるリチウム
  • 水と反応し気体を発生させるナトリウム
  • 水と反応し炎が出るカリウム

リチウム・ナトリウム・カリウムの3つの金属を小さく切り、それぞれ水の入った試験管に入れてみます。

リチウムは、水と反応して気体が発生します。
ナトリウムは水と激しく反応し、やはり気体が発生します。
カリウムの反応はさらに激しく、炎を出して燃えます。

このとき発生した気体は、一体何なのでしょうか。

  • リチウムとナトリウムでは水素が発生
  • フェノールフタレイン溶液を加えると赤く変色

試験管の口に火を近づけてみます。
すると、リチウムとナトリウムは、「ポン」という音を出して燃えました(左写真)。
このことから、発生したのは水素だと分かります。

しかし、カリウムでは反応がありませんでした。
実は、カリウムも水と反応して水素が発生しますが、発生するとすぐに燃えてしまいます。

反応した後の液体にフェノールフタレイン溶液を加えると、どれも赤い色になりました(右写真)。
アルカリ金属と水が反応して、水溶液がアルカリ性になったことを示しています。
アルカリ金属と呼ばれるのは、このためです。

  • 18族の希ガスは安定している
  • 17族のハロゲン

所長 「1族のアルカリ金属が他の元素と反応しやすいのは、一番外側の電子殻にある価電子と関係がある。覚えているね?」

ケン 「価電子が一つだから、それを他の元素に渡して化学反応を起こしやすいんですよね。」

所長 「そう。では、逆に安定しているのは?」

ローザ 「18族の希ガスです。価電子がゼロなので、安定していて、他の元素と反応しにくいんですよね。」

希ガスよりも外側の電子が一つ少ないのが、17族の「ハロゲン」です。
ハロゲンのフッ素、塩素、臭素などは、金属と反応して「塩」を生成するという性質があります。
たとえば塩素とナトリウムが反応すれば、塩化ナトリウム、つまり食塩ができます。

ハロゲン元素の性質
  • 17族の塩素・臭素・ヨウ素
  • 常温で固体のヨウ素

17族ハロゲン元素の性質について、実験で調べてみました。
まず、周期表で縦に並ぶ 塩素・臭素・ヨウ素について、同族元素は性質が似ているということを確認してみます。

ヨウ素の単体は、常温では固体です。

  • さらし粉に濃塩酸をたらす
  • 臭素は常温で液体

次に塩素の常温での状態を確かめます。
試験管の中に小さじ1杯のさらし粉が入っており、濃塩酸を1滴たらします。
すると、煙のような気体が発生しました(左写真)。
発生したのは塩素で、塩素の単体は常温で気体です。

塩素とヨウ素の間に位置する臭素の単体は、常温では液体で、右写真のように暗赤色です。

  • 周期表内の位置から性質が予想できる

このように、常温での状態は、それぞれの物質の沸点・融点と関係があります。
塩素とヨウ素の間にある臭素は、沸点も融点も二つの物質の中間の温度になっています。

  • 硝酸銀水溶液との反応を見る
  • 塩素とヨウ素が沈殿したので…

最後に硝酸銀水溶液との反応を見ていきます。
3本の試験管に 塩化カリウム水溶液・臭化カリウム水溶・ヨウ化カリウム水溶液を用意し、それぞれに硝酸銀水溶液を加えていきます。

硝酸銀水溶液を塩化カリウム水溶液に加えると、白い沈殿が生じました。
次に、ヨウ化カリウム水溶液に硝酸銀水溶液を加えると、これも白い沈殿が生じました。


今井先生 「では、塩素、ヨウ素、どちらの物質でも沈殿が生じたということですが、その間の臭素ではどうなると思いますか?」

ローザ 「同族の元素は性質が似る、ということですから、同じように沈殿ができるんじゃないですか?」

  • 3本とも全て沈殿
  • 上下の性質から予想可能

臭化カリウム水溶に硝酸銀水溶液を加えると、他の2つと同様に白い沈殿が生じました。


所長 「気体、液体、固体と順に並んで、沸点も融点も順に温度が上がっていますよね。硝酸銀水溶液との反応ではどれも沈殿が生じている。」

今井先生 「たとえば、この臭素がもし未知の物質Xであったとしても、“その上下にある物質の性質から、物質Xの性質を予測することができる” というのは、こういうことなんです。」

天才 メンデレーエフ
  • メンデレーエフはゲルマニウムの性質を予想
  • 予想された元素とゲルマニウムの比較

所長 「周期表を作ったメンデレーエフも、そうやって未知の物質の存在を予想していたんですね。」

今井先生 「メンデレーエフは、当時知られていた63種類の元素で周期表を作りました。メンデレーエフの偉大なところは、63種の元素を無理に並べようとせず、性質の変化に大きな飛躍があって、どうしてもつながらないところは未発見の元素として空欄にしていたところにあります。」


空欄にしていた元素の一つがゲルマニウムでした。
メンデレーエフは、ゲルマニウムの上下左右の元素の性質から、未知の元素だったゲルマニウムの性質を予想していました。

右図は、メンデレーエフが未知の元素として予想していたものと、発見されたゲルマニウムの性質を比較したものです。

密度は ほぼ同じで、色も どちらも灰色です。
また、「塩基性は弱い」という性質があります。
塩基性というのは赤いリトマス紙を青に変えるなどの性質です。

メンデレーエフが周期表を発表した当初は、大きな反響はありませんでした。
しかしその後、メンデレーエフが予想した元素が実際に発見されるようになると、周期表は次第にその価値を認められるようになりました。

メンデレーエフが考えた周期表の空欄が後に埋められただけでなく、彼が考えてもいなかった新しい元素も次々に発見されています。
自然界に存在する元素は90ほどですが、現在では新しい元素を人工的に作り出し、命名する時代になっています。

  • 次回もお楽しみに〜

所長 「日本でも113番の元素が作られましたよね。」

今井先生 「これまで、新しい元素を発見したのは欧米の研究者だけでしたから、これは快挙と言ってもいいと思います。今後も、科学者たちの努力によって新しい元素が作り出されて、周期表はどんどん書き換えられていくと思います。」

ケン 「よ〜し、僕も新しい元素作るぞ!」

ローザ 「何かアイデアあるの?」

ケン 「さっき居眠りしてる時に思いついたんだよ。あれ、でも忘れちゃった。」

ローザ 「また寝れば思い出すかもよ。」

ケン 「そうだね、おやすみなさ〜い。」


それでは次回もお楽しみに!!

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